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小泉首相は、安保理決議なしのイラク攻撃にどう対応するかについて、「その場の雰囲気で決める」という愚昧な発言を野党の党首に放った。
国家の究極的な対外活動である戦争に関して「その場の雰囲気で決める」と発言した代議士が、今なお総理大臣の地位にあるということが日本国の国柄をそのまま示している。
(その時の晩飯に美味いものを食ったのか不味いものを食ったのか、その時に上機嫌なのかむしゃくしゃしているのかによって、日本国の行く末に重大な影響を与える戦争への関与の仕方が決まりかねない政治状況にあるとも言える。外的雰囲気をどう感じるかは、その人の精神状態に大きく左右される。いらいらしていると、普段ならなんでもないことに怒りを感じたりした経験をお持ちだろう)
小泉首相の無能性も問題だが、それほど無能な首相をきちんと批判し首相の地位から引きずり下ろそうとする動きが見えないことのほうがより重大な問題だと考えている。
小泉首相の発言は小泉氏個人の無能さの現れであるが、それを国家の重大事として受け止め、首相という最重要ポストがそのような人物によって占められていることを国家の危機とは考えない人々が国会議員や主要メディア論説委員の地位を占めていることになる。
小沢自由党党首は、小泉首相との会談を「人生の貴重な時間を無駄にした」と最大級の侮蔑の言葉で表現した。
しかし、私人と私人の会談であればそれで済むが、小泉氏は首相であり、小沢氏は政権獲得を志向する野党の党首である。
小沢氏が感じた「人生の貴重な時間を無駄にした」は、そのまま「日本の危機であり、日本の今後の時間を災厄に満ちたものにする」かもしれないのである。
「その場の雰囲気で決める」というような発言をする小泉首相に言っても無駄だとは思うが、ある判断(決断)がもたらす変化や結末についてはできるだけ多くの想定をしなければならない。
自分の願望通りになることは稀で、ある場合には、とてつもない災厄が降りかかり、そのような決断をしたことを悔いても悔いきれないことにもなる。
小泉首相は、米国の政権に付き従っていれば、ベストではなくてもベターな日本の未来があると考えているのだろう。
米国に攻撃されることはないし、他の国とおかしな関係になっても支援してくれるだろうし、経済活動もこれまでの枠組で継続できるから、そうではない状況になるよりは悪くはならないと見通していると推察する。
世界の多くの国そして世界の大多数の人がブッシュ政権のイラク攻撃に反対している。
米国民にしても、国連決議なしでのイラク攻撃には40%の支持があるかどうかという状況である。
主要メディアに頻繁に出ている“親米派”森本 敏氏までが、「9・11以降の米国は狂気に陥っている」と表現している。
今回のイラク攻撃は、第一次世界大戦・第二次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争・リビア空爆・パナマ侵攻などとはまったく異なる「世界政治状況」のなかで踏み切られようとしているのである。
そのような状況で開始された戦争が政治的戦略目標を達成できずに敗退することになったとき、どのような結末が待ちうけているか、小泉首相はよく考えるべきである。
法的政治制度としてはブッシュ大統領は最高権力者であるが、世襲制でもなく、独裁者でもない。(大統領が国策を決めているわけではないという「陰謀論」的な視点は持ち込まない)
開戦前から米国の動きに反対する動きが沸き起こっていることを考えれば、虐殺と破壊を繰り返したあげく、思うようにいかないからもう手を引くという事態になったときに世界から米国に向けられる“目”がどのようなものであるかくらいは想像できるだろう。
米国はその後も存続するのだから、何とかしてそのような危機的状況から脱却しようとするだろう。
そのためには、イラク攻撃の責任者を生け贄に捧げることも厭わないだろう。
そして、米国だけが悪いわけではないという責任の分散化をはかるだろう。
現在既に見えている米英の責任の押し付け合いも行われるだろう。
しかし、米英は基本的に同根であり、米英が協調して、責任を押し付ける別のターゲットを求めることも容易に考えられることである。
米国は、まず、自国の責任者を血祭りにあげて贖罪に走るだろう。
英国は、幸か不幸か、国民世論の圧倒的な反対が伝えられ、政権与党の過半数も反対の意思表示をしている。ブレア一派を責任をあげつらうのはそれほど難しい話ではない。
イタリア政権が引いたことから、ブッシュ政権の安保理決議なしのイラク攻撃を支持しそうなのは、日本の他にはスペイン・オーストラリア・韓国・ブルガリア他の東欧諸国である。
オーストラリアは英国の子供のようなものであり、同じかたちで責任をとるだろう。
韓国は臨戦体制にある国家としてやむをえない選択をしたと大目で見てもらえる可能性もある。
ブルガリアなど東欧諸国は、戦後史のツケを背負っているという共通認識から、しかるべき国内対応をすれば、仕方がない選択だったと免罪される可能性もある。
スペインはどうするかわからないが、よその国の話だからスペイン国民自身で決着をつけるべき課題である。
米英が責任の分散化をはかる格好の標的は、冷静に考えれば、日本になるのではと予測するのはそれほど難しくはないだろう。
日本政府は、米国政権のイラク攻撃正当化論理をオウム返しするかたちで世界に発信している。
日本政府は、イラク攻撃を容認する決議案の多数派外交工作を率先して行っている。
日本政府は、資金難に苦しみ財政的には戦争をできるはずもない米国に資金協力を約束している。
この三つだけでも、「日本が強硬にイラク政権の非をあげつらい、戦争資金の多くまで負担すると申し出て、攻撃が安保理で容認されるよう積極的な外交を行ったから、我々も戦争に踏み切った」と米国の“新政権”が言い募ることが可能だとわかる。
日本は、米国のこのような“言いがかり”を許さないよう、それ以前に国内で“責任”をとれるだろうか?
私には、「大東亜戦争」という大災厄でさえ“敗戦責任”を明確にしていない日本にそのようなことができるとは思えない。
「ただ、米国を支持しただけではないか」、「北朝鮮問題があったからじゃないか」という無責任な思いをベースに国内的な責任もとらずに、米国などから“言いがかり”を声高に叫ばれたら、世界における日本の位置がどうなるか想像して欲しい。
米国が、これまで外国や諸勢力をどう遇したか顧みて欲しい。
この論の焦点でもあるイラクのフセイン政権と過去にどのような蜜月関係にあったのか、反ソ闘争の聖戦士として褒め上げ様々な支援を与えたイスラム勢力は“世界最悪最強”のテロリストとされており、独立運動の戦士と持ち上げられていたチェチェン勢力もちょっと前に国際テロリストの烙印を押され、政治的ビジネス的同士であったパナマのノリエガ将軍は今はフロリダの刑務所に収監されている。
米国の歴代政権は、様々な国家や勢力を、利用できるときにはとことん利用し、不都合になったり邪魔になれば手のひらを返すように捨て去ることをやってきたのである。
日本は例外だと信じるならそれもいいだろう。
しかし、それは個人(私人)には許されても、首相や国会議員には許されない“信仰心”である。
だからこそ、国際法や道義に反する侵略を支持するのなら、米国の勝利を祈るだけではなく、憲法に反することになっても総力を上げて参戦すべきだと挑発してきたのである。
親米派の方々にも言いたい。ここに書いたような結末を迎えれば、押しとどめようとしても収まらない「反米」が噴出することになる。
それは、イラク攻撃に反対するという「反米」にもならない「反米」ではなく、「大東亜戦争」まで遡って噴出する憎悪に基づく「反米」の嵐となる。
それは、イスラム世界や中南米の国民レベルが抱いている反米意識を超えた反米主義が日本を覆うことを意味する。イスラム世界や中南米の国民が抱く反米意識は、それなりに理性的判断に基づくものであるが、ここに書いたような経緯で沸き起こる反米意識は、感情の露出になる可能性が高いからである。
小泉首相ならびに国政に関与する権限を持っている国会議員は、イラク攻撃問題を遠くで起こる米国のちょっと困った過激行動と軽く考えるのではなく、日本の行方を決定的に規定する重大な歴史的過大だと受け止め、その基礎の上で自身が採るべき判断と行動を決めなければならない。
※ 参考書き込み
『妄想陰謀説:W.ブッシュとシャロンは祭壇に捧げられる子羊だった』
( http://www.asyura.com/sora/bd15/msg/829.html )