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政府筋の情報によれば、拉致被害者の家族全員が早期に帰国できるよう、政府は北朝鮮に対する圧力の一環として国民世論を沸騰させようとしており、関係地方自治体に対しても拉致被害者に関する情報を積極的にマスメディアに流すよう指導している。拉致被害者の動静や話題が連日のようにテレビや新聞に登場するのはそのせいだという。
さらに最近、天皇、皇后両陛下にまで拉致問題について発言させている。戦後今まで、天皇や皇后が政治や社会の具体的な事件について発言したことはない(もしそれほど拉致被害者の存在に心を痛めておられるのであれば、それより遥か前に、中国残留孤児についても心痛の念を持たれてもよいはずだ)。国家の政策に天皇を利用して世論を煽るなどとんでもない話で、放置してよいことではない。
そもそも、日本の世論がいかに騒こうが金正日が動じるとは思えない。独裁国の辞書には世論という言葉はないからである。圧力として有効なのは、アメリカの軍事力と経済援助を後ろ盾にした外交努力のほかになかろう。