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★ 日長国交正常化交渉は米国政権の指示に基づくものであり、そのような米国政権の動きを誘発したのは北朝鮮のミサイル輸出と核兵器開発であるという見方の投稿を行ってきた。
そして、米国がイラクに対するものとは違って北朝鮮に外交的対応を行っているのは、自国本土が標的になるICBMを北朝鮮が保有しているからだとも書き込んだ。
『【米国本土も射程】 北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)を保有 [BBCニュース/テレビ東京「日高レポート」]』( http://www.asyura.com/2003/war20/msg/209.html )
米外交問題評議会が2001年9月にまとめた北朝鮮に関するレポートは、米国支配層の北朝鮮認識や北朝鮮政策のベースを窺い知ることができるものである。
長文なので抜粋した内容を転載させていただくの、全文は( http://www.foreignaffairsj.co.jp/CFR/0201korea.html )を参照してください。
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北朝鮮の意図を確認せよー朝鮮半島政策の次なる課題
Testing North Korea
●朝鮮半島問題タスクフォース共同議長
モートン・I・アブラモウィッツ/センチュリー財団上席研究員
ロバート・A・マニング/米外交問題評議会シニア・フェロー
以下は、二〇〇一年九月中旬に公開された、朝鮮半島問題に関する米外交問題評議会タスクフォース・リポートからの抜粋。
『北朝鮮はイギリス、イタリア、ドイツなどアメリカの同盟国を含む二十カ国を超えるアジア・ヨーロッパ諸国との関係正常化のため、特徴には欠けるとはいえ、見事な外交攻勢に打って出た。しかし劇的な戦術上の変化を別にすれば、平壌の全方位外交が北朝鮮の政権内での重大な方向転換を意味するのか、経済利益や安全保障と引き換えに軍備削減交渉に応じる気があるのか、予断を許さない状態にある。』
『状況は一九九八年八月に劇的に悪化する。米議会でアメリカの朝鮮半島政策を疑問視する声が高まるなか、北朝鮮は日本の領空を越える形で三段階式テポドン・ミサイルの試射を行った。同月、政府情報筋のリポートがニューヨーク・タイムズ紙に掲載され、金倉里に地下核施設が存在する疑いのあることが明らかになる。この二つの状況の変化は、より大きな北朝鮮の脅威を浮かび上がらせることになった。平壌の弾頭ミサイルは、日本、さらにはアメリカも射程内に収め、最終的にはミサイル弾頭部に核弾頭を装填することも可能だからだ。』
『一九九九年五月、ペリーは平壌を訪問した。これは、朝鮮戦争以来、アメリカにとってもっとも高度な政治レベルでの接触だった。ペリーは北朝鮮側に、新たな安全保障上の協力か、あるいは対立かという選択肢を示した。協力という選択肢には、その見返りとして、アメリカとの国交正常化や大規模な外国からの支援を含む、政治・経済上のアメが含まれていた。』
ペリーは大統領に提出したリポートで、北朝鮮のミサイルと核開発プログラムがアメリカの政策にとって大きな課題であることを強調した。すでに確認されている核開発の凍結の重要性を指摘しつつも、北朝鮮内での「核兵器関連の研究が継続している可能性への大きな懸念」を表明したペリー・リポートは、「北朝鮮はアメリカに到達する可能性を持つ射程の長い弾道ミサイルの開発を続けている」と指摘した。クリントン政権はペリー・リポートの提言を受け入れ、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)が規定する上限である「射程三百キロを超えるミサイルの開発・配備を目的とするすべての実験の完全かつ検証可能な停止と、北朝鮮が核開発停止に関する検証可能な保証を実現する包括的で総合的なアプローチ」を採用した。この条件を北朝鮮側がのめば、アメリカとその同盟国は「北朝鮮側が脅威と見なす圧力を徐々に弱め」、北朝鮮との関係の正常化も視野に入れる、とされていた。 』
『いまや朝鮮半島での緊張は、一九九四年以来もっとも緩和しているが、北朝鮮はいまも八方ふさがりの状態にある。確かに、これまでの頑なな姿勢を緩めた北朝鮮には、経済の近代化に向けた兆しも認められる。』
『われわれタスクフォースは、アメリカの政策の基本目標、つまり、軍事的対立状況という脅威の削減と南北和解の促進という不可分の外交目標については継続性が必要だと考えている。金正日は、二〇〇一年五月に欧州連合(EU)の代表団と会談した際に、ミサイル実験の凍結を二〇〇三年まで延長すると表明したが、ミサイル技術の輸出は続けるとも語った。これはミサイル交渉の継続に向けた、北朝鮮からブッシュ政権への間接的招待状だった。これによって、外交上のダイナミクスは大きく変化した。裏読みをすれば、これはブッシュ政権のエンゲージメントの中断が北朝鮮にとって衝撃的だったことを意味する。』
『北朝鮮の軍事能力を削減させるのは、アメリカの安全保障上の投資である。さらにわれわれは、北朝鮮が本格的な経済開放・改革路線をとれば、アメリカと同盟諸国の目的が実現する公算が大きくなると見ている。』
『アメリカの対北朝鮮外交の基本は、北朝鮮がすでに対応を約束している枠組み合意とミサイル問題という安全保障領域の二つの要素にある。われわれの主要な関心事である通常兵器の削減は困難であり、いずれにせよ、北朝鮮が内外の安全保障基盤を放棄することを考えるようになるまでにはかなりの時間を要すると言われてきた。』
『アメリカは、北朝鮮に毎年提供する重油の代わりに、北朝鮮における既存の電力発電・供給システムの復旧を手助けすると申し入れるべきだろう。石油価格の高騰ゆえに、重油提供に関するアメリカのコミットメントはコストがかさんできているし、北朝鮮側も五十万トンの重油すべてをうまく使いこなせずにいる。このアプローチの切り替えは、軽水炉が完成するまでエネルギーを供給するというコミットメントとも一体性を持っている。』
『北朝鮮の長距離核ミサイル開発計画の解体を交渉するのはアメリカの国益である。留意しておくべきは、核開発が核不拡散条約(NPT)やIAEAに象徴される国際合意で規制されているのに対して、北朝鮮のミサイル問題が国際合意では明確に縛られていないことだ。つまり、北朝鮮のミサイル問題は安全保障問題であり、国際法の問題ではない。われわれタスクフォースは、北朝鮮側はさまざまな交換条件に基づくアメを確保さえすれば、長距離弾道ミサイル開発計画を縮小することに乗り気であるようだと、注意深くアメリカ政府に喚起を促してきた。』
『●長距離ミサイルの配備を解除させよ。すでに配備されているノドン・ミサイルの脅威をなくすことが日本の安全には不可欠であり、日本政府もこの交渉には関与してくるだろう。一方、テポドン・ミサイルはアメリカ領土を射程内に収めることができる。ミサイルに関する包括合意には、(MTCRの規制を超えた)長距離ミサイルの配備をなくすことが重要になる。』
『●ミサイル関連技術輸出とミサイル開発問題を区別せよ。同一の包括的枠内において、まず、ミサイルおよび関連技術の輸出問題に取り組み、その後、ミサイルの開発および配備問題に対処していくべきである。ここにおけるロジックは、簡単なことをまず先にというものだ。輸出問題への対処が基本的に経済補償の問題であるためにより対処しやすく、平壌にミサイル技術の放棄を求める必要もないし、それが守られているかどうかも確認しやすい。』
『●韓国と日本がIMFと世界銀行への北朝鮮の加盟を支援することを、ワシントンは認めるべきである。ワシントンは、国務省のテロリスト支援国家から北朝鮮の名前が消えるまでは、国内法の制約から北朝鮮の国際金融機関への加盟を支持できない。仮にアメリカが北朝鮮の加盟に反対したとしても、韓国と日本が北朝鮮の加盟を積極的に支援していけば、加盟プロセスが覆されることはないだろう。』
『朝鮮半島の問題が和解へと近づいてくれば、日本が果たす役割は大きくなるだろう。日本政府は国交の正常化が百億ドルの援助を意味するかもしれないと示唆しており、北朝鮮が経済改革を模索すれば、日本の援助や投資は重要な要因になる。また、朝鮮半島の問題がどのように管理され、最終的に決着するかが、日米同盟に大きな衝撃を持つ可能性もある。』
【タスクフォース・メンバー=共同議長を除く】
リチャード・アレン(レーガン政権国家安全保障問題担当補佐官)
エドワード・J・ベーカー(ハーバード大学東アジア研究所)
ダニエル・E・ボブ(リードスミス)
カート・キャンベル(戦略問題国際研究所)
ヴィクター・D・チャ*(ジョージタウン大学外交学部準教授)
ジェローム・A・コーエン(米外交問題評議会シニア・フェロー)
ステファン・コステロ*(米大西洋評議会韓国移行期プログラム・ディレクター)
ジェームズ・E・デラニー(防衛分析研究所コンサルタント)
ウィリアム・M・ドレナン・ジュニア(米平和研究所)
ロバート・デュジャリック*(ハドソン研究所)
L・ゴードン・フレイク(マンスフィールド太平洋問題研究所事務局長)
ロバート・L・ガルーチ(ジョージタウン大学外交学部学部長、元朝鮮核問題担当米大使)
ウィリアム・H・グレイスティーン・ジュニア*(ブルッキングス研究所非常勤上席研究員)
ドナルド・P・グレッグ(韓国協会会長)
モートン・ハルペリン(米外交問題評議会シニア・フェロー)
フランク・ジャンヌジ(米上院外交委員会)
アーノルド・カンター(国際政策フォーラム上席研究員)
リチャード・J・ケスラー(元カーネギー国際平和財団研究員)
ジェームズ・T・レイニー(元駐韓国米大使)
ケニス・G・リーバーサル(ミシガン大学経営学部教授)
ウィンストン・ロード(国際救済委員会、元国務次官補)
マーカス・ノーランド(国際経済研究所上席研究員)
ドナルド・オーベルドルファー(ジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツスクール助教授)
コンダン・オー(防衛分析研究所)
ダグラス・H・パール(アジア太平洋政策センター所長)
ミッチェル・B・レイス(ウィリアム&メリーカレッジ)
ロバート・リスカッシ(元在韓米軍総司令官)
ジェイソン・T・シャプラン*(パシフィック・センチュリー・サイバーワークス社副社長兼上級顧問)
ウェンディ・R・シャーマン*(オルブライト・グループ)
スコット・A・スナイダー(アジア基金駐韓国代表)
ステファン・J・ソラーズ(ソラーズ・アソシエーツ会長)
ヘルムート・ゾンネンフェルト(ブルッキングス研究所特別研究員)
ナンシー・バーンコフ・タッカー(ジョージタウン大学教授)
ウィリアム・ワッツ(ポトマック・アソシエーツ代表)
ジョエル・ウイット(ブルッキングス研究所特別研究員)
ドナルド・S・ザゴリア(全米外交政策委員会)
*印はこのリポートを大枠では支持してはいるが、別の見解および反対意見、またはそのいずれかを表明した人物を示す。