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(回答先: 質問 投稿者 デスラー総統 日時 2002 年 11 月 21 日 21:09:08)
デスラー総統、こんばんわ。
いつもながらの我流解釈になりますが、次のように考えています。
● バチカンとナチス
ドイツはルター派プロテスタント発祥の地であり、カソリックとプロテストタントが数的に拮抗している国です。
ナチスを国家社会主義だと考えれば、同時代の欧州で類似的な理念を国家政策とした主要国は、イタリアとスペインです。
(ドイツ・イタリア・スペインそして日本で、どうして類似的な価値観が生まれたのかということについてはけっこう考えました。簡単に言えば、家族−共同体という価値意識が強く残っていた近代国家という共通性でくくれるという結論になりました)
ご存じのように、イタリアとスペインは名だたるカソリック多数派国家です。
ナチスもカソリック中央党とは良好な関係を築きました。
国家社会主義は、資本制経済システムを基盤としながらも、家族関係を重視し、経済活動の目標を国民福利に置いたものですから、カソリックとの親和性は高いと判断できます。
対外侵攻は、資本制経済システムで国民福利を向上させようと考えたら、必然的に到達する政策であり、既に対外権益を確保している英仏とぶつかっただけということになります。
戦後の“ナチス叩き”の歴史過程により、国家社会主義=悪という馬鹿馬鹿しい等式が出来上がったため、バチカンも“過去”を語らないという姿勢を貫いています。
バチカンの現在の価値観がどんなものか見えませんが、今の時点で、ヒトラー・ムッソリーニ・フランコが掲げた理念や政策に好ましさを感じるとは言えないでしょうね。
(陰謀論的に言えば、ナチスドイツを悪とすることで、カソリック的価値観も吹っ飛ばしたということになります)
● 虐殺対象ユダヤ人
>これは又聞きなんですがヨーロッパではナチスはアシュケナジーム系ユダヤ人を虐殺
>したが、一方でセファルディーム系ユダヤ人には手をつけなかったという研究書がで
>ているそうです。
>実際ワールブルグ財閥の当主が反東欧ソ連系ユダヤ人のドイツ流入に反対する声明を
>のせた新聞もあるそうです。
まず、意図的なユダヤ人撲滅はなかっただろうという立場ですから、収容所に送られたユダヤ人はどういった人たちだったのかということになります。
説明の前に、私が理解しているユダヤ人の識別をまとめておきます。
[Aパターン]
アシュケナジーム系ユダヤ人:金髪碧眼でハザール人だと言われている
セファルディーム系ユダヤ人:セム系で中東から流れた人たち
[Bパターン]
アシュケナジーム系ユダヤ人:西欧ないし米国からの移住者(イスラエルの一級市民)
セファルディーム系ユダヤ人:東欧からの移住者(イスラエルの二級市民)
ミズラヒーム系ユダヤ人:中東ないし北アフリカからの移住者もしくは先住者(イスラエルの三級市民)
シオニズムが起きた19世紀末を考えると、欧州在住のユダヤを、近代国家同化ユダヤ人と伝統的ユダヤ人と識別するほうが理解しやすいと考えています。
近代国家同化ユダヤ人:ユダヤ人としてのアイデンティティとしてユダヤ教を信仰しているが、その教義を生活規範とする意識が希薄なユダヤ人。フランスや英国でとりわけ顕著であり、ドイツでも、第一次世界大戦でユダヤ人がドイツ国民として果敢に戦ったのでそのようなユダ人が多数だった。
伝統的ユダヤ人:東方系ともアジア的とも言われるロシア領から難民として西欧に流入してきた人たちで、神秘主義やトーラー主義の信仰に篤かった。
シオニズムの創始者であるヘルツルは、同化ユダヤ人からは狂信者として受け止められていましたが、彼自身も同化ユダヤ人であり、「伝統的ユダヤ人」の流入で反ユダヤ主義が沸き起こることを心配していました。
伝統的信仰に凝り固まっている東方系ユダヤ人が西欧社会に入り込むことで、反ユダヤ主義が復活し、自分たちの経済権益が脅かされるのではないかと考えたわけです。
そのために、東方系ユダヤ人を第一義的にはパレスチナに移住させる(宗教価値観に訴えやすい)シオニズムという考えを打ち建てたようです。(パレスチナがダメながら南米でもどこでもいう代替案を持っていました)
これは、欧米の主力ユダヤ人が、イスラエルに対して経済的及び政治的支援は行っても、イスラエルに移住しない現実からも納得できるものです。
現在、イスラエルに移住するユダヤ人の中心は東方系です。
このような見方に立てば、ユダヤ人組織とナチスとの交渉で出国したユダヤ人の多くが東方系のセファルディーム系であったということも理解できるものです。
しかし、ナチスドイツの「ユダヤ人虐殺」があったのなら、欧州に残った同化ユダヤ人は、とんでもない見立て違いをしたことになります。
このへんがどうであったかは、ナチスが知っていながら強制収容所に送られなかったユダヤ人がどのくらいいたのか、どうことが原因であれ強制収容所で亡くなったユダヤ人がどれだけいたのかなどのきちんとした調査が行わなければわからないわからないことです。
ナチスドイツの対ユダヤ政策では、「近代国家同化ユダヤ人」と「伝統的ユダヤ人」という新しい識別での検討が必要だと考えています。