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From : ビル・トッテン
Subject : 日本の国際貢献
Number : OW564
Date : 2003年3月10日
世界にはさまざまな国があり、その国の成り立ちや背景を考慮することなく、ただ他国に追随して現在や将来の政策を考えては決してならないと思っている。そして難民対策もその一つであると思う。
(ビル・トッテン)
日本の国際貢献
昨年5月、中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込み、亡命を求めた一家が中国公安当局に取り押さえられる事件が起きた。ドイツ人の医師を中心に欧米人や韓国人がつくっている非政府組織(NGO)によって企画されたもので、一部始終を撮影されていたために日本のニュースが大きく取り上げ、その映像は何度も放映された。
難民受け入れ問題
その後、在北京日本大使が北朝鮮の亡命希望者を大使館から追い出すよう館員に指示していたことが明らかにされ、難民といえばアフリカやコソボといった遠い国の問題だと思っていた日本にも、難民政策の見直しが現実問題として意識されるようになった。
さらに、最近起きた北京の日本人学校に北朝鮮からの脱出住民が駆け込んだ事件は、難民を受け入れたがらない日本政府の体質転換を迫るためにNGOが意図的に仕掛けたものだったという。
2カ月ほど前にも、ある大新聞が日本はもっと難民を受け入れるべきだという趣旨の社説を掲載した。個人、そして国家として苦境にあえぐ人々に手を差し伸べる道義的責任があるにもかかわらず、日本は国際社会における弱者救済に熱心ではないといった内容であった。
その理由は、日本の難民認定制度によって、過去にわずかしか難民を受け入れていないからだという。それに比べて西洋の先進国は年間多数の難民を受け入れているという。
難民政策は20世紀始めの国際連盟から始まり「難民の地位に関する条約」が国連で承認され、条約加入国は現在141カ国に上る。条約における難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見や、または特定の社会集団に属するなどの理由で自国にいると迫害を受けるか、あるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義されている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータで受け入れ国と難民の国籍をみると、例えば2001年にイギリスは主にイラク、アフガニスタン、ソマリアといった国から約8千人を難民と認定して庇護(ひご)し、アメリカは約7千人の中国人、メキシコ人、コロンビア人を受け入れた。
経済援助が現実的
これをみて私が最初に思ったのは、もしイギリスがアメリカとともに長年にわたってイラクに経済封鎖や攻撃を行っていなければ、イラク難民は母国を脱出する必要はなかったのではないかということだ。アフガニスタンにしても同じである。
アメリカは歴史的にも移民の安価な労働力に依存して国を繁栄させてきた国である。中国、メキシコ、コロンビアなどからアメリカに入国を認められた人々は、まさにアメリカのその目的にぴったり合致する。
もちろん、現状の日本の難民政策でいいと言っているのではない。東アジア情勢からみても、より明確な難民政策を打ち出す必要はある。しかし、その政策を日本とはまったく違う条件の国に合わせて変更するべきではないし、またなぜ大新聞が、苦境にあえぐ国際社会の人々に日本があたかも何もしていないかのように論じるのか私には分からない。
例えばUNHCRへの拠出金はアメリカに次いで世界で2番目であり、国連通常分担金にしても日本は全体の約20%を拠出している。ODAも世界最大の貢献国である。
日本のように経済的に優位であって、かつ世界的にも人口が多く、国土の狭い国がすべきことは、その優先順位として難民受け入れ数を増やすよりも、例えば大新聞が例に出したニュージーランドのような人口の少ない国が難民を多く受け入れるのであれば、それを経済的に援助することではないか。
非難される理由なし
難民受け入れ数の少なさを非難されても、別の形で国際貢献をしていると主張すればよいのである。難民政策は国の歴史や成り立ち、社会を考慮せずして安易に変更すべきではないからだ。
中国には北朝鮮から多くの難民が入っているといわれているが、中国政府はこうした人々を難民と認定することを避けている。そして経済難民、つまり弾圧を受けての逃亡ではなく、自国の経済問題がその理由だとして、見つけると違法入国者として強制送還している。
中国がこのような方針をとるのは、彼らを難民とみなせば国内に難民キャンプを作って定住を認める必要がでてくる。そうなれば、そこを基点として北朝鮮人による反北朝鮮政府グループの活動が始まる可能性があるからだといわれており、中国のこの地理的、政治的理由を諸外国が批判することはできないだろう。
繰り返すが、日本の難民問題に対する貢献は小さくはない。UNHCRに対する政府の拠出金だけでなく民間人からの寄付もトップクラスである。
日本にはさまざまな技術や優秀な人々、知恵が豊富にある。八方美人になってすでに人口過剰な列島に難民を受け入れるのではなく、お金と知恵を使って難民を支援し、武力の代わりに経済力を使ってアフガニスタンやイラクにこれ以上の難民が出ないようなリーダーシップをとるという国際貢献を日本は堂々とするべきである
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著作:株式会社 アシスト 代表取締役 ビル・トッテン
発行/翻訳/編集:株式会社 アシスト
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