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総務大臣の片山虎之助氏は、やはり嘘つきだった。
今、税理士を取材すると、驚くことが進行中だ。彼らは納税事務を電子申請すべく準備中だが、その際、住基ネットを活用せよと国税当局から指導されており、作業が大変だというのだ。
証言するのは一人や二人ではない。平均年齢の高い税理士は、ただでさえコンピュータが苦手である。そこに住基ネットで個人認証をして、安全を確保しなければならない。都道府県単位の各税理士連盟は、住基ネットや電子申請の安全な運営を担保するにはどうしたらよいか、頭を悩ませているというのだ。
国民に11桁の番号を振り、徴税事務に使えば、それはかつてのグリーンカードシステムに他ならない。金丸信氏がまだ元気なころに論議されたこの仕組みは、強い反対でつぶれてしまった。だが今、あの悪名高かったグリーンカードと同じ仕組みが、国民への説明もなく、導入されようとしている。こんなことが許されてよいのか。
住基ネットに関して、片山総務相は昨年7月21日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」の中で語った。
「だから今ね、税金やなんかの話はね、また別の仕組みを作っていくんですよ。(住基ネットに)つなぐわけではないんですよ」
司会の田原総一朗氏が質問した。
「税金はこの(住基ネットの)中には入らない?」
片山氏が答えた。
「入らない。住基はもう、最後まで住基なんです。完結した仕組みなんですよ。だから、自分で勝手にね、あれもくっつくこれもくっつくと、被害妄想みたいなことをお考えいただくと困るんですよ」
「だからそれは、税金の仕組みは作るんですよ、別に。住基とは別にですよ。電子納税、電子申告の仕組みを作るんですよ。それは別の仕組みを作るんですよ」
納税に住基ネットは使わないと、繰返し明言している。が、税理士には、住基ネットを活用して納税申請をするようにと、政府が指導しているのだ。
中央政府だけではない。地方自治体にも同様の動きがある。一例が兵庫県だ。同県の「本人確認情報保護審議会」は、住民票の写しを必要とする県の事務127のうち、32事務を住基ネットで行うとの答申案を出した。その中に税徴収も含まれている。同答申案を受けて兵庫県が条例を定めれば、住基ネット番号が納税者番号になる。
片山氏は、税の電子申請には「別の仕組みを作る」と明言した。にもかかわらず、政府からも地方自治体からも、正反対の動きが生じている。これら全てをきちんと止めない限り、片山氏は、国民全員に嘘を言って番号を振ったと非難されても仕方ない。
改正住民基本台帳法を読むと、しかし、片山氏の発言は当初から信用できないことが分かる。たとえば、兵庫県が先の条例を作って住基ネットを徴税目的に使うとしても、法律上はなんの問題もないのである。住基ネットは、自治体の判断で、さまざまな目的に使われるように作られているからだ。
つまり、私たちは完全に騙されていた。幅広く使用されるよう意図して作った法律を、片山氏は全く異なる説明で導入した。こんな嘘つき大臣は、自ら恥じて辞任すべきである。
地方自治体を取材すると、住基ネットは、「使う税金に見合うだけのメリットを、自治体にも住民にももたらさない」との回答が非常に多い。嘘から生まれた税の無駄遣い・住基ネットは、今からでも遅くない、皆の力でなくしていくしかない。だから私は、統一地方選挙で、住基ネット見直しを公約に掲げる首長候補者を側面から応援していきたいと考えている。
http://www.yoshiko-sakurai.jp/works/index.html