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2001年12月に悲願のWTO正式加盟を果たした中国では、順調な海外からの投資、短期間での国内企業の成長、加速する再編や外資との提携などが相まって経済成長が著しい。WTO加盟当初懸念されていた国内産業へのマイナス効果は、経済発展という実質的メリットにかき消されてしまっているようだ。ここにWTO加盟後の1年を振り返ってみる。
1.外資直接投資
2002年、中国への外資直接投資は527億米ドルを突破し、米国を抜いて1位となった。これは世界の資本動向が2001年の米同時多発テロ事件以来、大きくその様相を変化させていることに原因がある。UNCTAD(国際貿易開発会議)によれば、2002年の世界全体での外資直接投資額は5,340億米ドルで、2001年の7,350億米ドルに比べ27%も落ち込んでいる。特に欧米市場への投資額が激減した。米国の同時多発テロ事件を機にブッシュ政権がテロリスト国家と呼ばれる国・地域への強硬姿勢を敷いたことで米ドル離れが起き、金や石油価格が上昇し、世界の個人資産は行き場を失った。この時期に比較的安全な投資先として注目されたのが中国である。中国は、外資投資そのものは23%減少し1,580億米ドルにとどまったものの、外資直接投資は昨年11月で前年比20%以上の500億米ドルを突破し、これが中国の国内産業や企業の改革に有利に働いたといえる。
2.合併、再編等による競争力のアップ
2002年中国の産業界で特に進んだのは、国内大手自動車産業や家電産業と外資系メーカーとの事業提携であった。国有企業系の主要産業部門については、今の時期が最後のチャンスとして大型合併・再編を行った。航空、石油、電力、鉄道、銀行、証券会社などにおいては、外資との提携や上場企業への外資導入が進み、資本再編を加速させた。これらによって各産業の集約度と効率が上がり、競争力を高める結果となった。世界不況の今、GDP7%超増を維持している国家は中国以外には見あたらず、中国はキャピタルファンドや機関投資家の資金の標的となり続け、豊富な外貨資金に支えられて産業の競争力は益々堅強になってきている。
3.中国から海外への投資
UNCTADによると、中国から海外への投資額は2001年実績で18億米ドルだが、2005年には40億米ドルに達するという。中国で海外投資している企業は中国遠洋総公司、中国海洋石油総公司、中国糧油輸出入公司などの国有企業だが、最近は家電や自動車メーカーの海外投資も目立ってきている。2001年4月に海信が韓国大宇の南ア工場を買収、6月には海爾がイタリアの家電工場を買収、2002年9月にTCLがドイツのTV工場を買収、10月に上海汽車が韓国大宇に6,000万米ドルを投資、12月に四川華陵が米エンロン関連会社を買収した。中国政府は莫大な貿易黒字額を緩和するため海外投資を推奨しており、世界経済が低迷している今が大きなチャンスだとしている。こうした状況を見ると、中国には海外投資できるような経営体力を身に付けている企業がすでに多く育っているといえる。
4.再編実例の紹介
次に主な産業の再編動向をみよう。
[自動車]
2002年、中国の産業界で企業再編が最も進み、市場規模が膨らんだのは自動車産業である。中国の自動車販売は2002年には315万台を突破し、世界8位から5位に躍進した。また業界の集約度は飛躍的に向上して、第一汽車、東風汽車、上海汽車の3大グループが出現し、これらによるシェアは50%にのぼった。これに広州本田(ホンダなど)、重慶長安(スズキなど)、安徽奇端(日産など)、瀋陽華晨(トヨタなど)、南京フィアット、浙江吉利(イタリア,韓国等の数企業)の6つの独立系乗用車企業が追従し、3大グループと独立系6社とで市場の占有率は90%を超えた。
[家電]
家電業界1位のハイアールは三洋と包括業務提携し、それぞれの販売ルートを共有した。海外進出を狙う中国企業と中国国内シェア拡大を望む日本企業との思惑が一致したといえる。これを皮切りに松下電器とTCL、海信と日立、長虹と東芝など、日系企業と中国家電企業との提携が相次いだ。
[電信]
2002年の携帯電話利用者は2億人、固定式電話は4億戸、インターネット利用者は5,900万人に達した。この巨大市場に対応すべく、国内電信企業の再編分割が実施された。寡占状態にあった旧中国電信は北方10省と南方21省に分割され、それぞれ中国網通と新中国電信に資産配分された。このほかに、中国聯通、中国移動、中国衛星、鉄通の4社が再編され、今後の通信サービス業はこの6社体制により行われる。
[航空]
中国民航総局は従来の傘下企業を中国航空、東方航空、南方航空の3航空グループと中国航空信息集団、中国航空油料集団、中国航空器材集団の3企業に再編した。3航空グループの中国全体のシェアは80%に達する。
[電力]
中国国家電力総公司は全国の発電資産の72%、送電資産の100%を保有し、国有企業の中でトップの資産を有する企業だが、この再編について2002年4月に再編案が国務院を通過し、10月に詳細が明らかにされた。それによると国家電力監督管理委員会を新たに設立し、資産を送電網と発電に2大分割する。送電網については国家電網公司、南方電網公司の2社となり、発電については中国華能集団、中国華電集団、中国龍源集団、中国電力投資集団、中国大唐集団の5社となる。