現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ24 > 478.html ★阿修羅♪ |
|
■小泉の野郎が白旗を掲げて平壌を訪ねてきた! (週刊文春2月27号)
〈さる9月17日、敬愛する最高司令官同志(注・金正日総書記)にお目にかかるために、日本総理の野郎が白旗を掲げて平壌にやって来た。〉
〈今般の日本総理の野郎の平壌訪問は、日帝が1945年8月15日、偉大な首領さま(故・金日成主席)の前にひざまずいたように、いま一度白旗を掲げて我が国に訪ねて来て、敬愛する最高司令官同志の前に膝を屈し、降伏書に判を押したようなものである。
朝日平壌宣言の採択について、世界はすべてそう認定している。〉
──小泉首相訪朝と日朝平壌宣言に触れた、北朝鮮人民軍の内部文書である。16ページからなるこの文書のタイトルは、『変遷する情勢に、高い階級的識見と革命的原則をもって鋭利に向かい合おう』。朝鮮人民軍出版社の発行で、2002年10月に出たものだから、小泉訪朝のまさに直後だ。
これまで北朝鮮は、事実を短く報じるのみで、小泉首相の訪朝をどう位置づけるか、論評することはなかった。この内部文書は、国際情勢を分析するなかで小泉訪朝を総括したもので、まさに金正日の剥き出しの“本音”が連ねられている。
「9・17以降、北朝鮮と金正日が初めて本音を明かした、極めて重要な文書です。朝鮮人民軍内部で時局について講演する際に用いるテキストで、左上に『隊内に限る』と但し書きがあることから、極秘扱いだとわかります」
と語るのは、この貴重な文書を入手した、「チーム金剛山」に所属する研究者だ。
「チーム金剛山」は70年代から北朝鮮情報を収集・分析してきたジャーナリストや学者のグループ。昨年8月には、かつて国外に持ち出されたことのない北朝鮮の電話帳を独自に入手して、小誌で発表。タイムやニューズウイークも後追いする世界的スクープとなった。
●平壌行きの列車に乗り遅れ
一方、小泉訪朝直前の9月には、やはり人民軍内部の秘密出版物である『軍人生活』の7月号から、
〈日本の軍国主義者たちは、過去から抱き続けてきた朝鮮侵略の野望を決して捨ててはいない。だから我々は、不倶戴天の敵であるチョッパリ(注・日本人の蔑称)たちと、はっきり決算するまでは絶対に我が銃身の標的を変えることはないだろう。〉
という記述を紹介。平和攻勢がカムフラージュにすぎないことを、いち早く警告してもいた。
今回入手した文書からまず、〈日本反動どもも、どうしようもなく我々を持ち上げている〉という見出しに始まる、小泉訪朝を総括した箇所を引用しよう。この中で小泉首相は、「野郎(ノム)」呼ばわりされ続けている。ちなみにブッシュ大統領も韓国の金大中大統領も、「野郎」。唯一、クリントン元大統領だけが「ノム」ではない。
冒頭に紹介した「日本総理の野郎が白旗を掲げて〜」の一文に続いて、
〈歴史上初めて朝日平壌宣言が採択され、10月中旬から朝日国交正常化のための会談が再開されることになった。〉
とある。もっとも注目すべきは、次に引用されている金正日総書記自身の言葉だ。
〈敬愛する最高司令官同志は、
「対朝鮮敵視政策に固執していた日本軍国主義の頭目が、頭を下げて我が国にまずもって訪ねて来たことは、歴史に特記される大事変だ」
とお述べになり、「これはわが党の先軍政治の偉大な勝利だ」とおっしゃった。〉
あの日、金正日は小泉首相の前で拉致事件や工作船問題を認め、謝罪したのではなかったか。国内向けラジオの朝鮮中央放送も同日、「わが方は今後も自主・親善・平和の理念に合致するよう朝日関係を正常化し、両国間の善隣、友好関係を発展させるため全力を尽くす」と報じていたはずだ。
それからひと月も経たない金正日の発言が、これなのである。
次の文章が冒頭二つ目の、
「日帝が1945年8月15日、偉大な首領さまの前にひざまずいたように、いま一度白旗を掲げてわが国に訪ねて来て〜降伏書に判を押したようなものである」という一文。太平洋戦争の日本の降伏文書調印と平壌宣言を重ねていることに注目したい。平壌宣言は北朝鮮の“完全な勝利”として位置づけられているわけだ。
杏林大学の田久保忠衛教授(国際政治)が指摘する。
「小泉訪朝がとんだ茶番だったと、天下に明らかにする文書です。金正日が赤い舌を出している様子が見える。小泉総理は、ワナに嵌められたといっていいでしょう。
訪朝は譲歩に過ぎず、平壌宣言は拙速極まりない外交の汚点だと、指摘してきた通りです。拉致問題に一言も触れることなく、日本側は過去を謝罪し、金額の明記こそないものの賠償を約束した。『降伏書に判を押した』という北の見方が、当たっているのが皮肉です」
小泉首相は「拉致」の文言を宣言に盛り込めなかったことを、「読めばわかる」と強弁したが、そんな詭弁は国際社会では通用しない。
文章はこう続く。
〈しばらく前まで日本の野郎は我々の「核威嚇」とか「ミサイル威嚇」とか言って騒ぎ立て、こうした問題が解決される前には我々と向かい合って座らない、と空威張りしていた。
そんな奴らがどうして慌ただしく我々に接近するのか。
敬愛する最高司令官同志の先軍政治による無敵必勝で固めた我らの軍事的威力を、はっきり理解したからである。
日本の奴らは、自分たちが我々の打撃圏内にあり、我々に対して引き続き、質悪く振る舞えば、決して無事でいられない、と気づいたのである。(略)
今日まで米帝と南朝鮮傀儡たちは、「対北政策」実現で日本の野郎と共同歩調を取ると約束し、日本の野郎はその約束を鉄のように信じてきた。
しかし、米帝と南朝鮮傀儡たちが最近になってその約束を投げ捨て、あれほど我々に接近しようと努力している。
結局、ぼうっと座っていて約束だけ信じていたが、平壌行き列車に乗り遅れているのは自分たちだけだ、ということに気づいたのである。〉 小泉首相自らが、意気込んで訪朝した意義についても、
〈金正日国防委員長が、局長級のようなものは相手にもされないことから、(略)日本が級が低い人物を送って北朝鮮との関係を改善しようとしても、平壌行きの列車に絶対乗り遅れてしまうものだった。こうして一番に総理の奴が白旗を掲げて平壌に訪ねてきたのである。〉
と、片付けられている。
●米帝がなぜ「おべっか」を
さて、この文書は最初に、自国の置かれた状況を、こう位置づけている。
〈今日、我が革命の内外情勢は急変している。
特に注目されるのは、いままで我々を敵対視してきた米帝と日帝、南朝鮮傀儡たちが、最近になって我々との前例のない「対話再開」と「関係改善」に躍起になっていることだ。(略)
今日、我々において一番、危険なことは敵と平和に対して幻想をもち、思想的に油断することである。
敬愛する最高司令官金正日同志は次のようにも指摘された。
「敵たちが我々に頭を下げて訪ねてきても、勝利に陶酔し、緊張を緩め、自惚れていては駄目である」
最近の情勢の流れを分析してみると、敬愛する最高司令官同志が繰り広げておられる先軍政治の威力で、内外情勢が我が革命に非常に有利に逆転していると見ることができる。〉
わかりやすくいえば、日本やアメリカ、韓国の対話路線は、北朝鮮の軍事力を恐れてのこと。しかし人民軍はそうした動きに気を許してはならない、と戒めているのだ。
話は次に、対米関係に移る。
〈このところ、米帝が我々との「前提条件なしの対話」だとか、「特使派遣」だとか、「人道主義的支援」だとか言いながら騒いでいる。
米帝が最近になって、どうして我々に対しておべっかを使うのか。
敬愛する最高司令官同志の比類なき胆力と度胸、知力が怖く、先軍政治の威力の前には、奴らの「対北強硬政策」が揺れ動いたからである。
米国大統領ブッシュの野郎は元来、父親に似て極悪な戦争狂信者である。〉
核開発をめぐって激しく対立するアメリカに対しては、剥き出しの敵意を隠さない。
〈この野郎は2年前に大統領の椅子に座るやいなや、前大統領クリントンの「融和政策」を投げ捨て、力を元にした「強硬政策」を打ち出した。
「クリントンの『対北政策』は北朝鮮に引きずられたよくない政策で、北朝鮮が核兵器とミサイルの生産と販売を止めず、前線に配置した武力を後方に下げなければ、戦争も辞さない」
これがすなわち、ブッシュの野郎がとっている「対北強硬策」の本質である。
ブッシュの野郎は続いて我が国を「悪の枢軸」と言い、「悪の枢軸」を除去するのは米行政府の背くことのできない政策だとまでほざいた。
●金大中は金正日に献上品
だがそんな米帝は、我々が奴らに頭を下げることなく、かえって強硬には超強硬でどんどん向かい合うや、弱気になり頭を下げ始めた。
我々の敬愛する最高司令官同志がどれほど胆力と度胸の強いお方であるかを、米帝は知ったのである。〉
文書は、返す刀で太陽政策をとる韓国もバッサリ。昨年末の大統領選を引き合いに出し、〈南朝鮮傀儡たちが北南関係改善〉を図る国内事情を、こう見透かしている。
〈金大中大統領の野郎と民主党の輩たちが政権末期の落ちた地位を回復し、次期政権を再び占めようとして、我々との関係をよく保っておかなければいけないからである。
南朝鮮ではきたる12月に大統領選挙があり、金大中の野郎は来年(2003年)2月で任期が終わる。
3年前に敬愛する最高司令官同志と会いにきた金大中の野郎と民主党の輩たちは、最高司令官同志に一度お目にかかりさえすれば、南朝鮮では人気がとても高くなることをよく知っている。
朴ク恵(注・朴正煕の娘)が最近、敬愛する最高司令官同志にお目にかかって人気が大変高くなるや、民主党代表、漢和甲をはじめ、政界の人間が平壌訪問の意向を示した。〉
〈それで今日、南朝鮮傀儡たちが我々におべっかを使い、我々がしろという通り、腰を折っているのである。〉
2000年6月の南北首脳会談の直前、現代グループの現代商船が、北朝鮮に2235億ウォン(約224億円)を秘密裏に提供していたことが明るみに出て、会談実現のための秘密資金ではないかと、野党に追求されたことがあった。金大中は資金を提供したことは認めたが、政府は「会談実現の対価」であることは否定した。しかし内部文書は、ずばりその本質を衝き、米国の放送が伝えた内容として、こう書く。
〈1995年に入ってから、ソウルでは不吉な空気になった。北朝鮮の金正日国防委員長の先軍の銃火で南朝鮮の生きとし生けるものすべてが死んでしまう。火の海になるという恐ろしいうわさが流れたためである。彼らの予感は決して的外れなものではなかった。北朝鮮の気を損ねてはおしまいだというのが、当局者たちの到達した結論だった。結局、金正日国防委員長の先軍政治が南朝鮮当局者をして腰を抜けさせ、それで献上品を持っての平壌行きとなったのである。〉
そして、北朝鮮の現在の外交姿勢は、文書の後半に出てくる、次の文章に集約されるだろう。
〈今日、わが党が対日、対米戦略を繰り広げているのは、わが革命に有利な環境をつくるためということであって、決して政策の変化ではない。〉
〈活動家と軍人たちは党の意図をよく心に刻んで、いつのときよりも階級的覚醒を高めなければならない。〉
金正日はこう呼びかける。
〈敬愛する最高司令官同志は自身が何度も話しているが、
「人民軍隊は北南対話にかかわりなく戦争準備を完成させ、あらゆる力を集中させなければならない」
と指摘された。〉
KEDO合意、日本のコメ支援、南北会談、平壌宣言……。いかなる交渉を経ても、北朝鮮の本質である軍事独裁体制が動揺することはなかった。
内部文書は次のように終わる。
〈銃身が強ければ、対敵闘争で主導的に勝利することができる。
あらゆる活動家と軍人は、党で平和スローガンを掲げれば掲げるほど、
・革命的戦争観点とわが党の武力統一観で、より徹底的に武装しなければならない。
・戦闘訓練をはじめ戦争準備にあらゆる力を集中し、ただちに敵との決死の戦いに進めるように万端の準備を整えなければならない。
・醸成される情勢の要求にあわせて事業と生活をより革命的に、戦闘的にしなければならない。
あらゆる活動家と軍人は高い階級的見識と革命的原則性をもって変化する情勢を鋭利に注視し、緊張して動員された態勢で戦争準備をより隙なく完成させなければならない。〉
結論は、相も変わらぬ戦争準備遂行なのだ。前出の「チーム金剛山」研究者が解説する。
「日本のみならず金大中大統領との南北首脳会談にも言及し、いずれも偉大な将軍に会うために頭を下げにやってきた、と解説しています。
要するに、日韓との関係改善を装って革命に有利な情勢を作り、陰では戦争準備を進めている。金正日体制の危険極まりない正体が、改めて暴露された文書です。
かつて日本のコメ支援に対し、金容淳書記が韓国誌『マル』で、『差し出すというからもらってやるんだ云々』と発言して物議をかもしたが、今回の内部文書の衝撃はそれどころではない。
小泉首相は金正日に完全にだまされたのであり、我々『チーム金剛山』が出発前から警告していた通りの事態となった。政府は早急に、北朝鮮政策を見直すべきです」
前出の田久保教授も、こう主張する。
「平壌宣言の内容がいかに嘘っぱちか。すぐに廃止を公言し、有事法制や集団的自衛権の法整備を進めるのが焦眉の急。ここまで金正日の真意がわかれば、かえって日本も覚悟が固まるのではないでしょうか」