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母親は日本生まれ、NBAのファン
金正日総書記ファミリーとされる記念写真。前列右が長男の正男氏
テロ国家・北朝鮮の独裁者、金正日(キムジョンイル)総書記が16日、61歳の誕生日を迎えたのを期に、二男、金正哲氏(ジョンチョル)(21)の後継説が急浮上している。金総書記の実質的な夫人で、喜び組出身の母親、高英姫(コヨンヒ)女史の偶像化作業が、その根拠とされる。放蕩息子で腹違いの長男、金正男(ジョンナム)氏(31)を飛び越え、独裁国家の三代目襲名が取りざたされる息子と母の素顔は−。
注目の高女史は1953年、「大阪で生まれた女」のほか、東京で生まれ、関西で育ったなど諸説ある。
父親は済州島出身で、「北柔道の創始者」とされる。60年代初め、在日朝鮮人の帰国事業で両親と北へ。72年ごろ、その美貌で、北トップの「万寿台芸術団」のマドンナに抜擢された。
「美女を集めて接待させた総書記直属の“喜び組”による宴席で、正日に見初められた」(北ウォッチャー)
同芸術団の元ダンサーで韓国に亡命した申英姫(シンヨンヒ)さんの手記では、「パーティー会場に入る時から正日と一緒で、正日から直接コートまで脱がせて」もらう仲に発展。「73年には来日公演もしている。76年ごろ、総書記の官邸の一つ蒼光山官邸があてがわれ、79年ごろから同居。もっとも寵愛を受けた」(同)
金総書記には、元映画女優で2番目の妻、成恵琳(ソンソンリム)との間に、長男のドラ息子、正男氏がいたが、81年に高夫人との間に正哲氏が生まれると、総書記の愛情が移っていった。
総書記は子供2人に正という字を当て、「儒教の国にあって、正日がそうだったように、正男には長男というスジ目がある」と専門家は指摘してきたが、「親と似て酒と女を好む正男。2001年には日本への不法入国事件が発覚、その母親が昨年ロシアで死亡した後、勘当された。正哲が後継者になってもおかしくはない」とみる北ウォッチャーもいる。
正哲氏の生活ぶりはベールに包まれてきたが、94年、スイス留学中の姿がマスコミに捕えられたことがある。
当地で、正哲氏は「ムン・カン=チョル」(当時13歳)の偽名を使い、VIPの子弟が多いことで有名なスイスの私立の名門「インターナショナル・スクール・オブ・ベルン」に通学。ベルン市内の高級アパートに住んでいた。
その顔立ちはジャニーズ系で、つねにボディーガードの学友を伴っていた。スキー学校では、複数の美女を従え、母親らしき女性がソニーの最新ビデオで撮影している光景が目撃されていた。
「総書記の日用品は日本製が圧倒的に多いとされる。日本で生まれた高女史の影響でしょう。80年代、10代の横田めぐみさんが日本語の話し相手として高女史や子供と接する機会があったのではないかとの見方もある」(北ウォッチャー)
韓国誌によると、正哲氏は米NBAの大ファンで、「総書記は正哲のため、各地の招待所にバスケットボール場を建ててやり、平壌新安体育館と呼ばれる体育館をバスケ場に改築。正哲の影響で総書記もバスケに関心が大きい」(同)。
現在は労働党中央委員会・組織指導部、党煽動宣伝部に所属しているなどの説がある。「ともに権力最高の核心部署で、総書記も、この部署に勤務しながら金日成主席の後継過程を学んだとされています」(公安筋)
金総書記が後継者として公式に決定されたのは74年の党中央委員会だが、事実上の後継者となったのは、30歳になった72年。
正哲氏が30歳になるのは2011年。翌12年は故金日成主席の生誕100周年にあたり、後継のタイミングとしてはもってこいだが、コリア・レポートの辺真一編集長は「二男が後継となれば、お家騒動になる。正男が今なお本命と思う」。
その理由として、「高女史の偶像化キャンペーンが事実なら、60年代後半にあった金日成主席の後妻、金聖愛(ソンエ)のキャンペーンと同じ。実の子の金平日(ピョンイル)を後継にしようとしたが、結局、ひっくり返された歴史がある」という。
さらに、「年が10以上離れているのも正日の時と似ている。しかも、正男がコンピューター委員会で金を握っているのに、正哲はまだ若い。正日自身がそうだったように、家督は長男が継ぐ国。ただ、正哲後継が事実なら、正男は巻き返しをはかることになるだろう」と話している。
ZAKZAK 2003/02/21