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五十嵐仁氏:五十嵐仁の転成仁語 2・5 (トニー・ベン氏のフセイン大統領インタビュー紹介)
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 06 日 19:33:11:


2月5日(水)

20年ぶりの邂逅でした。先日、このHPで紹介したNさんが、研究所を見学しに訪ねて見えました。
 1982年4月末から2週間、一緒にヨーロッパ5カ国をめぐって以来の再会です。お会いした途端、20年前のあの時の懐かしい顔がよみがえってきたから不思議です。


 お会いして、あの当時の話をすると、20年ぶりとは思えません。つい昨日のことのように思われます。
 あれから過ぎ去った20年は、一瞬の夢であったのかもしれません。月日の経つのは早いものです。
 でも、あのヨーロッパ旅行の直後に生まれた私の長男は、今年成人式を迎えました。過ぎ去った20年は決して夢ではありませんでした。
 現に成人へと成長した息子の姿は、20年という月日の実在をいやが上にも実感させてくれます。それだけの実質も重みもある20年です。


 先日、このHPで書いた広島県沖美町の夜間発着訓練(NLP)誘致問題は白紙撤回され、沖美町長は辞任して決着するようです。予想通りの展開だといえるでしょう。
 町長が誘致を決めた理由ははっきりしています。お金が欲しかったからです。これについて、町長は次のように述べています。
 「(関連事業で)町に130−150億円の投資や基地交付金が期待できた。国や県が財政難である以上、補助も見込めず、起死回生にはこれしかなかった。」


 一方での、地方自治体の苦境があります。財政難でお金がなく、藁にもすがる思いの沖美町長は基地にすがろうとしたわけです。
 他方での、基地交付金があります。札束でひっぱたくようにして、無理を呑ませようとするやり方です。
 しかも、町長は、「国のトップシークレットなので一切漏らしてはならないと厳命され、議会や住民、県、近隣町村に説明できなかったことが最大の反省点」だと言っています。根回し不足が災いしたと言いたいようです。


 しかし、事前に根回ししても、うまくいったでしょうか。多分、同じような反対意見は出てきたでしょう。
 今回の白紙撤回には、広島県知事が「平和県広島への誘致は断じて容認できない」と反対したのが大きかったといいます。県知事のこの主張はもっともです。
 このような主張は、事前に相談すれば変わったのでしょうか。どのような根回しをしても、広島県が「平和県」でなくなることはないでしょう。
 この問題は、国内だけで解決しようとしても不可能です。NLPの中止に向けてアメリカと交渉する以外に、根本的な解決の道はないでしょう。


 町長さんも気の毒な気がします。防衛施設庁に乗せられてしまったのではないでしょうか。
 裏で、誰が、どのように暗躍していたのか、その「舞台裏」を知りたいものです。単なる町長の独走だったのでしょうか。
 それにしても、札束をちらつかせて無理難題を呑ませるのが政治だと勘違いしている人が、まだいるようです。このような利権誘導型政治は、一刻も早く一掃しなければなりません。


 ところで、イギリスのテレビ・チャンネル4は、イラクのフセイン大統領が英元下院議員トニー・ベンと会見した模様を放映したそうです。これについて、日本ではどのような反響があるのか、オランダにいる娘からEメールで聞いてきました。
 トニー・ベンですか。懐かしいですね。まだ、元気だったんですね。
 この人は、イギリス労働党左派の論客だった人です。一時、注目を集めましたが、その後、名前を聞かなくなりました。
 今回、フセイン大統領との会見で、再び脚光を浴びたというわけです。このような形での活躍を見るのは嬉しく、感慨深いものがあります。


 この会見で、フセイン大統領は大量破壊兵器の保有やアルカイダとの関係を強く否定し、米英によるイラク攻撃を正当化する理由はないと主張したそうです。
 大統領は、「核や生物、化学兵器をポケットに隠せるわけはない。何度でも言うが、イラクにそれらの兵器は一切存在しない」「もし、アルカイダとつながりがあるなら、我々は恥じることなく認めるだろう」などと述べました。
 また、大統領は「長年の経済制裁で人々が味わった苦しみを考えると、イラク側に国連査察団への反発や不満はあるかもしれない」と発言しつつも、査察を妨害する意図はなく、国連決議で課せられた義務を果たしている、と強調しています。
 ブッシュ政権がイラクと対決姿勢をとる背景には、イスラエルへの共感と石油資源を支配する野望があると指摘し、「戦争は米国の一部有力者を喜ばすにせよ、一般国民の利益にはならない」と、大統領は訴えています。


 この記事は、今日の夕刊にも報じられています。しかし、それに対して日本国民がどのように反応しているか、私には分かりません。
 少なくとも、現時点で言えることは、対イラク攻撃を始めるための準備が着々と進められており、これに対して日本国民の多くが警戒心と不安を高めているということです。ブッシュ米大統領にとって、もはや証拠のあるなしはどうでも良くなっているのかもしれません。
 少なくとも今の時点では、ブッシュよりもフセインの言う方が、冷静でまともなように聞こえます。フセインの声は、イギリスのブレア首相やアメリカのブッシュ大統領にまで届いたでしょうか。


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