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日本経団連は、1991年の「経団連地球環境憲章」において、地球的規模の環境問題に積極的に取り組むべきことを宣言した。同憲章が期待したように、環境や社会に対する責任を自覚する企業は増え、今日、製造・物流・リサイクル等の環境対策については多くの企業が着実な成果を挙げている。また、1997年以来、自主行動計画に基づきCO2排出量の抑制や廃棄物の削減にも積極的に取り組んでいる。
さらに、2003年1月、「活力と魅力溢れる日本をめざして」とする新ビジョンを策定し、とくに日本が持つ環境技術などを活かした「環境立国」を目指すことを発表した。
自然保護の分野では、1992年に「自然保護基金運営協議会」を設置し、主としてアジア太平洋地域における自然保護プロジェクトの支援を開始した。10周年を迎えた今日までに、支援の総数は421件に達した。同協議会はこうした支援のほか、セミナー、シンポジウムを開催し、また企業幹部がプロジェクトの現場を見る機会を設ける等、経済界が自然保護に取り組む環境づくりに努めてきた。しかし、今日、地球環境への対応が一層問われており、経済界に対してはさらなる自然保護活動への取り組みが期待されている。
宣 言
私たちの経済社会は、地球上の自然の恵みを享受しつつ、また一方では多かれ少なかれ自然に負荷を与えながら今日まで発展してきた。言い換えれば、自然界のメカニズムに支えられながら発展してきたといってよい。
今日、地球環境の保全に人類の叡智が求められており、企業に対しても、企業活動と自然との関係を見つめ直し、『自然界と共栄できる経済社会』の実現に向けて努めることが期待されている。
私たちは、私たちを取り巻く大気圏や生物圏、あるいは水の循環圏などについて、一層理解を深めるとともに、人類にとって多様な生物が共存することが、豊かな生活環境をもたらすものであることを改めて認識し、生物多様性の保全を重視した自然保護活動を推進する必要がある。
自然保護活動を効果的に推進するためには、自然の摂理の科学的な解明はもとより、各国・各地域の事情を把握理解する必要があり、国内外の政府、学識者、NGO、市民等々との国際的な協力関係が不可欠である。
個々の企業が積極的に活動するとともに、さらに経済界が一体となって取り組めば、日本および世界における自然保護への貢献は大きいと確信している。ここに、経済界が自然保護活動に取り組む意義と使命がある。
日本経団連は、以上のような認識に立ち、世界の自然保護に一層固い決意で取り組むことを宣言し、そのための行動指針を発表する。
行動指針
(1) 自然保護に対する意識向上に努める。
自然保護を企業の環境マネジメントの重要なテーマとする。
企業の自然保護活動の事例を整備するとともに、啓発普及を図る。
自然環境教育プログラムの開発を推進する。
わが国政府・自治体に対し、自然との関わり合いを深める学校教育の推進を働きかける。
(2) 国内外の情報・知見等の交流促進に努める。
国内外のNGOと企業との交流の場をつくる。
NGO支援プロジェクトの情報データベース化を進め、共有化を図る。
自然保護のあり方は多様であり、地域性が強いことに鑑み、生活、文化、歴史など社会科学分野を含む有識者との連携を求める。
企業の持つ科学的知見や組織運営のノウハウ等をNGOが活用する方途を探る。
(3) 自然保護プロジェクトの推進に努める。
アジア太平洋地域を中心に、国内も含めNGOが行う生物多様性関連のプロジェクトを支援する。
経営者および従業員のボランティアによる自然保護活動を奨励する。
自然保護の担い手たるNGOを財源的に支えるため、NGO等への支援税制の見直し等について働きかける。
わが国政府に対し、地球環境の保全・再生と環境教育を目的とするODAを増やし、NGOを活用するよう求める。
以 上