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ここ何ヶ月か見ていなかったが、何なのかね、この騒ぎは?
雑談は雑談板でしなさいね。ま、ここも終わりだな(w
少し古いかもしれませんが、ちょっと見当たらないようだったので。
http://www.gyouseinews.com/foreign_prospect/feb2003/001.html
水面下で続く世界大混乱
〜〜イラクと北朝鮮の背後に潜むもの〜〜
対イラク戦闘開始?
1月27日の公開協議で、国連監視検証査察委員会のブリクス委員長は「イラク側は手続きとしては査察団に協力的だ」としつつも、実質面では問題が多く、具体的にはU2偵察機やヘリコプターの導入を拒否しているほか、査察団のモスク訪問をイラク側が問題視したことにも疑問を呈した。
さらにイラク政府が提出した申告書の内容は、過去の申告書の焼き直しで新しいものはないとしている。それは具体的にはVXガスなどの化学兵器の行方が分からないことを指摘。さらに、最近見つかった化学兵器用の空の弾頭についても「氷山の一角」の可能性があると述べた。また、濃縮ウラン開発計画書が科学者宅から発見され、イラク側が隠匿しようとした疑いが強まっている。
アナン国連事務総長は同日、安保理協議出席を前に、焦点の1つとなっている査察の継続について、「査察団には必要とされる時間が与えられるべきだ。平和的な解決を望む」と述べている。査察の継続については仏・独が強く主張しており、米英両国も、イラク攻撃決断に向け、数週間の期間なら査察継続に応じるようだと多くのメディアが伝えている。
査察が継続された場合、イラクの大量破壊兵器開発に関する明白な証拠が発見される可能性もかなり高い。また、イラク攻撃の可否を改めて安保理に問う局面もあるとの観測もある。事実、CNNテレビは1月26日、米国務省が採択可能な環境を想定して、新たな安保理決議案の草案を作成中だと報じた。
そうしたなか、1月28日には米ブッシュ大統領が一般教書演説を行い、そのなかで国連安保理の開催を要求することを明らかにした。以下、新聞記事を引用する。
「『イラク脅威看過せぬ』 一般教書演説 来月5日『欺瞞説明』米大統領、安保理要求 ブッシュ米大統領は二十八日夜(日本時間二十九日午前)、議会上下両院合同会議で今年の施政方針を明らかにする一般教書演説を行った。大統領はこの中で、世界的な焦点となっているイラク問題について、サダム・フセイン・イラク大統領が大量破壊兵器の廃棄などに応じる姿勢がないと断定し、『米国は深刻な脅威が蓄積することを看過できない』と厳しい対応をとることを重ねて強調した。そのうえで、米国が二月五日に『イラクの世界に対する欺瞞(ぎまん)を話すため』、国連安保理の開催を要求することを明らかにした。
大統領は、五日の安保理でパウエル国務長官が、イラクによる大量破壊兵器開発計画や、証拠の査察団からの隠匿、テロ組織とのつながりなど安保理決議違反を証明する『情報を公表する』と述べた。そのうえで『われわれは協議を行う』と、その後の安保理などでの話し合いに応じる意思を示した。
一方、『サダム・フセインが完全に武装解除しない限り、米国民防衛と世界平和のため、われわれは彼を武装解除させる同盟を指揮することに誤解があってはならない』と明言し、米国による武力行使を辞さない方針は、安保理協議などの行方に左右されないと宣言した。」(「産経新聞」1月28日夕刊より)
米ブッシュ政権内でも穏健派といわれ、国連との協調を主唱してきたパウエル国務長官が最近になって、「米国は単独でも、あるいは有志諸国との連合でも、イラクへの軍事行動をとる主権的権利を留保する」とか「米国はイラク攻撃への国連の支持はもうこれ以上に必要としない」と述べ、イラクが国連安保理決議の重大な違反を犯したという見解をとり、国連の承認を得なくても軍事力行使に出るという新方針を明らかにするようになった。
米政府のこうした姿勢は、1月まで国連安保理の議長国だったフランスと、2月の議長国のドイツの両首脳が22日、イラクへのいかなる軍事攻撃にも拒否権を使っても反対すると言明したことへの対応として明確となった。ブッシュ政権は、イラクの大量破壊兵器の完全廃棄不履行は明白だと断じ、イギリスやその他の十数の同盟国とともにイラク攻撃に踏み切るという姿勢を明白にした。
各国対米政策の変化
米国防総省は昨年末から今年早々にかけて、米陸軍及び海兵隊の合計13万人に対しイラク周辺への動員令を発令している。この結果2月中旬にはイラク周辺に展開する米軍兵力は十八万人を突破し、今では20万人に達する状況にある。また空母コンステレーションやハリー・トルーマンに加えてエイブラハム・リンカーン等二隻にも出動命令が下された。さらに病院船コンフォートまでが動員されることになった。この病院船には500人の医者が乗っており、3月初旬の攻撃行動に向けて準備万端といった状態にある。
しかしご存じの通り、米国のこうした動きに対してEUのなかでも仏・独は猛烈な反対を繰り返し表明してきた。以下の記事をご覧いただこう。
「(1月)20日に開催された国連安全保障理事会の外相協議は、イラクの大量破壊兵器に関する国連査察団の報告を一週間後に控え、断固とした対応を求める米英両国と、査察の継続を主張するフランス、ドイツがお互いを牽制(けんせい)した。米国が安保理決議の文字通りの適用を主張しているのに対し、仏独は武装解除という決議の理念を強調、開戦は混乱を招くと強調している。」(「産経新聞」1月22日朝刊)
「ブッシュ米政権は、フランスとドイツがイラク攻撃への反対姿勢を強めていることに対し、パウエル国務長官ら政権首脳が両国を一斉に批判するなど、米国と独仏双方の亀裂が鮮明になっている。国連査察団による査察の長期化に意味はなく、早期の行動が必要との立場をとるブッシュ政権は、両国へのいらだちを募らせており、イラク攻撃に向けた国際社会の支援態勢の確保へキャンペーンを強めている格好だ。」(「産経新聞」1月24日朝刊)
米国のラムズフェルド国防長官はワシントンでの会見で、「欧州というと仏独をイメージするかもしれないが、両国は老欧州だ。現在のNATOを見れば中心は東に移っている」と発言。これに対して欧州の盟主を自任する誇り高きフランスが反発。バシュロ環境相などは「私の故郷の英雄、カンブロンヌ将軍の言葉でお応えする」と怒り狂ったという。ちなみに「カンブロンヌ将軍の言葉」とは、英国に降伏を迫られたとき「糞野郎」と答えたといわれ、以後、「カンブロンヌの言葉」は相手への罵倒を意味する。
米国と独・仏を中心とする欧州との間のこの亀裂はいったい何なのか? 中東大混乱の危険性をまったく顧みず、まるで何かに取り憑かれたかのように性急にイラク攻撃を目指すブッシュ政権にはついていけないというのが独・仏を初めとする欧州の本音なのだ。
その奥には中東の石油利権確保の意味もある。中東大混乱がイスラエルに益し、国際ユダヤに活躍の機会を与えることに対する危惧もある。しかし、それらを巧みに利用し、米英と独・仏欧州連合との間の溝をどんどん深めようとする力学が働いていることを看破する必要がある。
明らかに、米国を孤立させようとする影の力が動いているのだ。もちろん米国自身、その存在に気づいている。
また、これまで米国の準同盟国のような形でピタリと寄り添ってきたはずのロシアまでもが、「(国連)査察団はイラクでの業務に困難や問題が生じているとは表明していない」(1月28日/プーチン大統領)と強調。イラク問題は引き続き外交的手段による解決を目指す方針を明らかにしている。
すでに本紙が明らかにしたように、じつは米英間にも水面下で非常に激しい駆け引きが行われている。こうした世界情勢のなか、中東の親米国家にも反米気分が高まるなど、米国にとってはますます厳しい状況が作りだされている。
北朝鮮の背後
昨年(平成14年)12月にイエメン沖で北朝鮮の貨物船がスペイン海軍に拿捕されるという事件が起きた。その直後、イエメン政府はこの船に積まれていたスカッド・ミサイル十五基などはすべて、イエメン軍が北朝鮮から購入したものであると表明。このミサイルは「自衛のためのもの」であるから、すぐにイエメンに返却するように要請した。
イエメンが北朝鮮から武器を購入していることは、すでに十年前から行われていたものだ。だが、かつてはイラク寄りだったイエメンも湾岸戦争以降、親米派に転向。平成12年(2000年)秋に起きたアデン米駆逐艦爆破テロでも捜査に協力し、また一昨年秋以降ののアルカイーダ掃討作戦に積極参加するなど、親米ぶりを発揮していた。そこに今回の事件である。新聞報道はこう語る。
「『ミサイル輸出 イエメン、対米関係に溝も』イエメン政府が11日、同国沖で臨検された北朝鮮船から発見されたスカッドミサイル十五基や弾頭の購入を認め、米国に積み荷の返還を求めたことで、『反テロ戦』に協力的な姿勢を示してきたイエメンと米国の関係がぎくしゃくする可能性が出てきた。イエメン側は『主権国家による自衛のための兵器購入は違法ではない』との論理だが、北朝鮮のミサイル技術拡散を問題視してきた米国の神経を逆なですることは必至だ。」(「産経新聞」12月12日朝刊)
ご存じの通り北朝鮮は、世界中の非難を余所に、昨年末から核施設の封印撤去やIAEA(国際原子力機関)の監視カメラの妨害、査察官追放など、核関連施設の再稼働に向けた動きを進めてきた。そして新年一月十日にはNPT(核拡散防止条約)からの脱退を宣言、あわせてIAEAとの保証措置協定の拘束から完全に脱すると発表。核カードをさらに一枚上乗せしてきた感じである。
さらに北朝鮮は、「NPT脱退はわが国に対する米国の圧殺策動と、それに追随したIAEAの不当な行為に対する自衛的措置だ」と主張。そればかりか、「米国のわれわれへの宣戦布告は実際の動きに移され始め、核問題を平和的に解決する最後の可能性まで消えた」と、まるで米国との戦争を覚悟したかのような主張を繰り返している。
北朝鮮のNPT脱退宣言は、小泉純一郎首相がロシアを訪問し、プーチン大統領と日露首脳会談を行っている最中に出されたものだ。このタイミングは明らかに意図的なものだ。つまり北朝鮮は、「(自国の)核問題に日本やロシアが口を挟む余地はない」と表明したのである。事実、北朝鮮の朴吉淵(国連大使)は、「朝鮮半島の核問題は北朝鮮と米国のみで解決すべきものであり、今後の展開は米国の態度にかかっている」と語っている。日本やロシアだけではない。親北朝鮮派の韓国の次期大統領・盧武鉉が打ち出した「韓国による米朝仲介論」までもを一蹴し、国連安保理で経済制裁が決まれば、「宣戦布告と受け止める」とあくまで強気で押し通している。
これに対し米国は、「必要とあればイラクと北朝鮮を同時に制裁する『二正面作戦』を厭わない」と言明しているが、現実には北朝鮮問題がイラク攻撃を逡巡させていることは間違いない。
さて、話を昨年12月のイエメン沖北朝鮮船舶拿捕事件に戻そう。
この船に対し米国は強硬姿勢に出ることなく、釈放に同意。積み荷もイエメンに渡されたのだが、ここで米国務省はこの船の正体を暴露している。……この船はカンボジア船籍だが、乗員の多くは北朝鮮人であり、北朝鮮の港から途中、支那山東省の港に寄港した後にイエメンに向かった……というものだ。
話を整理する。
スカッド・ミサイル15基等の武器を積んだ北朝鮮の船は、船籍はカンボジアのものだった。船員は北朝鮮人であり、途中で支那の港に寄っていた。そしてこれを捕まえたスペイン船の乗員の多くは米国軍人だった。事件は世界中に大きく報道され、北朝鮮の武器輸出が問題となったが、米国政府はこの影に支那北京政府が絡んでいることを察知し、スペイン船を使ってこれを拿捕。船が支那山東省の港に寄港していた事実を明らかにして、「悪の枢軸=テロ国家=北朝鮮」の背後に支那が一枚噛んでいることを宣伝したのだ。
ここに来て、ようやく世界の動きが見え始める。
米国と独・仏欧州との乖離、米英両国間の確執、ロシアの逡巡、親米中東各国の反米機運……。こうしたすべての背後に、明確に意図が見えてくる。冷戦終了後、世界唯一の大国となり世界の警察を自認する米国ブッシュ政権の足を引っ張り、後退させようとする力。……ここまで語ればどなたにも理解できるだろう。そう、間違いなく支那北京政府がすべての策動の背後に存在しているのだ。
それほどまでに支那は強力であり狡猾だったのか……と感心する必要はない。支那北京政府にとっては死ぬか生きるかの必死の戦いの挙げ句が、こうした動きとなって現出しているに過ぎない。支那をここまで必死にさせているのは、じつは米英両国なのだ。
北京政府の憂鬱
北朝鮮がNPT(核拡散防止条約)から脱退したことに関し、支那北京政府の章啓月(外務省報道官)は「北朝鮮の核問題の平和的解決促進に努力する」と、建前論だけを述べたうえで、引き続き米国との対話による平和的解決を訴える姿勢を明らかにしている。平和主義者が大喜びしそうな文句だが、その背後にあるのは、「北京政府はこれ以上努力できない。解決には米国が北朝鮮と『話し合う』しかないのだ」との圧力である。
支那北京政府が北朝鮮問題で米国に協調しないのは当然なのだ。何しろ国家の一部が崩壊するほどの危機に瀕しているからだ。東北三省……旧満州の話である。
支那北京政府=中華人民共和国が誕生したのは1949年(昭和24年)9月(建国宣言は10月1日)のことだった。ところがその五年後には、東北三省は独立運動を展開、その戦闘で膨大な死者を出している。以来、東北三省は反北京勢力の温床となってきた。また北京政府自身も、主導者(毛沢東及び以降の共産党中央)に敵対する実力者たちを東北三省に転任させ続けた歴史を持つ。トウ小平による改革解放経済の好影響も東北三省は無関係で、経済的にも孤立疲弊したこの地域は、瀋陽軍管区を中心に絶えず「反北京」「反中央」「独立気運」に満ちているのだ。また本誌で指摘した通り、この地域には「旧満州」の空気がなお存在し、支那には珍しいほど未だに親日本の気風を持ち続けている。
ところが同時に、東北三省は北朝鮮と接している地域でもある。そしてまた、この一帯には1000万人におよぶ支那国籍の朝鮮族が独自の文化共同体を営んでいる。この朝鮮族の共同体が脱北者、北朝鮮難民の隠れ家になっていることは、多くの報道等によりご存じだろう。
北朝鮮難民たちは建国の父・金日成の教えによって、白頭山こそが朝鮮民族の聖地だと確信している。それは朝鮮族共通の象徴の山であり、そこにはかつての渤海国への憧憬の念も籠められている。
北京中央に反感を抱く旧満州一帯と、そこに居住する朝鮮族。……この地域に独立の気運が高まれば、それは北京政府を根底から揺るがすことになる。旧満州の独立は必ずチベット独立、新疆ウイグル独立運動に連結する。
米国が脱北者支援に想像以上の支援を行っていることは明白である。さる1月29日に北朝鮮から脱出して支那公安当局に拘束されていた日本人妻が帰国を果たした。この時の新聞記事を見てみよう。
「『北朝鮮脱出の日本人妻、四四年ぶりに帰国』(冒頭略) 日本政府は従来、脱北日本人妻らについて日本国籍を持つことなどから内密で渡航書を発給、日中間で水面下の引き渡しが行われ、数十人の帰国を認めてきた。今回のように事実上公然とした状態で帰国が実現したのは初めて。女性は拘束された後、日本側が面会などをし、二八日に正式に中国側から日本側に引き渡された。女性の帰国手配は瀋陽の日本総領事館が担当。同領事館は秘密裏に作業を進めていた。」(「日本経済新聞」1月30日朝刊)
そしてこの時期に、まるでタイミングを見計らったかのように北朝鮮工作員が逮捕され、万景峰号がスパイ活動の拠点として使用されたことが明らかにされる。
「官房長官『―万景峰号問題、事実を頭に入れて対応』 福田康夫官房長官は二九日午前の記者会見で、北朝鮮と日本を結ぶ連絡船『万景峰(マンギョンボン)号』が北朝鮮の工作活動に使われていたことについて『そういう事実をよく頭に入れて対応したい』と述べ、入港規制の強化などを検討する考えを表明した。与党内で同船の入港停止を求める声が上がっていることに関しては『法律は国会で色々議論してもらう』と指摘した。」(「日本経済新聞」1月30日)
こうした動きは日本の外務省、警察、公安当局だけの力で作られたものではない。この背後にも米国の影が存在している。
脱北者支援を積極的に行わない日本政府に対して、声を大にしてこれを非難する勢力や運動があることはご存じだろう。「人道的な立場から……」という修飾語の背後に何があるのかも理解しようとせず、また非政府組織の活動・非営利組織の運動だからと安易に賛成に回る無責任庶民がここに利用されていることは言うまでもない。
こうした動きに対し、当然のことながら、支那北京政府は米国が旧満州(東北三省)の独立運動(あるいは旧満州復興運動)に手を貸し、策を弄していると判断している。昨年十二月中旬から、支那北京政府は中央の公安当局者を大量に動員し、北朝鮮側と連帯して東北三省(とくに吉林省)で大々的に脱北者狩り作戦を展開(現在も展開中)。「百日戦闘」と呼ばれるこの作戦では、一カ月足らずで数千人の逮捕者を出し、これらをことごとく北朝鮮に送還していることが明らかにされた。支那公安当局は脱北者を密告した住民には3000元(50万ウォン)の賞金を与えている。3000元とは東北三省の一般労働者の半年分の給料で、現在の日本で言えば200〜300万円といったところか。さらに脱北者を匿うと同額の罰金を科すとしているから、当たり前だがたちまち脱北者が捕まってしまうのだ。
支那政府と北朝鮮の間では、昭和61年(1986年)に『国境地域の国家安全及び社会秩序維持業務のための相互協力議定書』という中朝条約が存在しているが、現実のところこれに基づいて脱北者が強制送還される例は毎月数人単位でしかなかった。それが一気に、月数千人である。
忘れられていた国境条約(議定書)を持ち出して支那が脱北者狩りを始めた時期は、カンボジア船籍の北朝鮮貨物船がスペイン船(米国主導)に拿捕され、北朝鮮のミサイル輸出が世界中で話題になった時期と重なる。
この時期、「米国はイラク攻撃をやめて北朝鮮を爆撃するのではないか」との観測が世界を駆けめぐった。支那北京政府による脱北者摘発は、まさに米国の圧力によって始められたものなのだ。
米国による旧満州独立支援運動……。
明治27年(1894年)の日清戦争とそこから始まった日本の支那大陸進出政策。そして四十年近い歳月を経て満州国が誕生した歴史……。70〜80年も昔に日本が辿った道を、今、米国が歩もうとしている。
満州独立は即ち、チベット、新疆ウイグル独立運動に繋がる。ここで思い起こすのは、李登輝(前台湾総統)が提唱した「七つの中国論」(李登輝著『台湾の主張』=支那大陸七分割論)である。この李登輝の支那大陸七分割論は、平成10年(1998年)に英国の世界戦略研究所が発表した「支那大陸九地域分割論」を下敷きとして作成されたもので、そこにはアジア全域を支配したことのある英国の強烈な願望が滲み出ている。アヘン戦争の例を取り上げるまでもなく、英国は支那大陸を熟知しているのだ。
そしてまた英国は、インドを熟知し、アフガンもパキスタンも……。
こうして整理していけば、誰の目にももう一つの世界が見えてくる。国際政治を動かす巨大な勢力が見えてくる。……かつて七つの海を支配した大英帝国の幻である。
日本の核武装
米ワシントン発行の『ニコルソン報告書』は昨年、韓国大統領戦で盧武鉉当選が確定したとき「ブッシュは韓国次期大統領のことで頭を悩ましている」と分析した。「反米気流に乗ってドイツのシュレーダー首相が登場し、ブラジルでは労働党のダルシバ大統領が誕生した。これに続く盧武鉉の当選はブッシュにとって『青天の霹靂』だった」というのだ。さらに同報告書は「ブッシュ政権は体面を維持しながらどのように対北朝鮮政策を修正するかというジレンマに陥っている」とも分析する。
韓国の盧武鉉はかつて議員時代に在韓米軍の完全撤退を主張するなど、筋金入りの反米民族主義者である。米軍車両が訓練中に女学生を轢き殺すという事件が元で、韓国内に反米感情が盛り上がっている最中に盧武鉉大統領が誕生したことは、米ブッシュ政権には相当な痛手だったようだ。
一月に入ると米『ワシントン・ポスト』紙が「唯一の対北カードは日本の核武装だ」というコラムを掲載している。その大意は以下の三点の主張とそこから導き出された三点の結論、そしてそれを超えた最終結論から成る。それは……。
一、目前のイラク情勢に囚われるあまり北朝鮮情勢を甘く見ている。このような情況判断こそが米国が危機に陥った証拠である。二、湾岸に派遣されている大兵力を直ちに朝鮮半島に配置換えすべき。時間を逸すると核拡散はさらに拡大し、世界は危機的情況に陥る。三、米軍には『二正面作戦』は不可能。北朝鮮はそれを十分理解している。
たしかに以上の指摘は筋が通っている。そしてここから導き出された結論とは……。
1・北朝鮮の核施設を爆撃、破壊せよ。
2・秘密工作部隊を潜入させ、平壌先制攻撃の準備を進める。
3・経済封鎖による締めつけを直ちに実施せよ。北朝鮮の港湾だけではなく、支那、韓国の港湾も封鎖する必要がある。
ところが現実には、こうした行動には北京政府はもちろん、韓国も賛同することがあり得ない。となると、米国に残されたカードはたった一枚しかない。それは、「日本が核武装するために米国が積極的に協力してミサイルを供与し、日本の核攻撃力によって北朝鮮の核脅威を取り除くこと」だというのだ。さらに、「日本の核武装こそが北京の悪夢である限り、米国の態度を見れば北京指導部は米国の対北朝鮮作戦(北朝鮮処分)に協力せざるを得なくなるであろう」といった内容である。
一月末に来日したコーエン米前国防長官もこれに関して注目される発言をしている。以下新聞記事を引用する。
〔米前国防長官『北核武装』容認案 日本側の感触探る〕 来日中のコーエン米前国防長官が二十日午前、東京都内のホテルで開いた防衛庁長官経験者ら国防関係議員との朝食会で、今後の対北朝鮮政策の一つとして、日米が北朝鮮の核保有を容認するシナリオを日本が受け入れるかどうかを打診していたことが分かった。
コーエン氏は現在は『私人』だが、共和党重鎮の立場から、米側の対北朝鮮政策における硬軟さまざまな選択肢の一つを“観測気球”として、日本側の反応を探ったとみられる。
関係者によると、朝食会には元防衛庁長官や現防衛庁幹部ら約十人が出席。この席でコーエン氏は『北朝鮮が八個から十個の核兵器を持つことを日本は容認できないか』と切り出し、続けて『その場合、日本に独自の核武装論は台頭するだろうか』と日本の対応を探ったという。
これに対し、日本側からは『その考えはおかしい。イラクより核開発を進めている北朝鮮の方が脅威だ』などと米国は北朝鮮問題をもっと重視すべきだとする反論が出たとされる。
出席した議員の一人は『米国にとり北朝鮮の核の脅威は日本ほど切実ではない。また、イラクとの二正面作戦は困難だから、米国は北朝鮮の核容認に踏み切る可能性とその場合の日本の対応を探っていたようだ。米国には、危険を冒してまで北朝鮮を押さえ込む意思はないのではないか』との懸念を示している。」(「産経新聞」1月22日朝刊)
民族は覚醒するのか
米国による対イラク軍事制裁が直近に迫ったと報道されたとき、わが国政府だけでなく国民庶民大衆は正直なところ、傍観者としての「適当な対応」で済ませていた。しかし問題が北朝鮮になったとき、その反応は恐ろしく不安定となる。
問題なのは、日本人の庶民大衆の一人として自らどう判断すべきかと判断を下せる者が非常に少ないことである。
……日本は、ただひたすら米国に追従するだけで良いのか?それが日本人として当然の姿なのか? あるいは日本人として何をすべきなのか?日本民族の自存自衛のためにいったい何をすれば良いのか?
その回答を一人一人が持っているのか?
昨年末、親日として知られるアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙『アル・ハリージュ』が米国追従の日本を強烈に批判する記事を掲載した。それはまさに異例の出来事だったと言ってよい。その記事の内容は、狭量な利益ばかりを優先させる日本を批判したもので、最後に凡そ以下のような意味の文章を載せて記事を締めくくっている。
「……ただの商人ではなく世界的なリーダーへの精神的変革が日本に求められている。良い子ぶるためにイラク査察支援の特使を中東諸国に派遣することは、賢いことではない。日本に求められているのは、戦争を防ぐ責任ある行動であり、それは犠牲と結果を背負うことである」……。
中東の親日国はまさに、日本に対して、わが国国民に対して覚醒を呼びかけているのだ。そしてじつはこの記事のなかには、場合によっては日本の準国策会社であるアラビア石油の現地採油権をこれまでのように無条件で継続することがないとの示唆もしている。
わが国の目に余る対米追従姿勢を批判しているのは、中東諸国だけに限らない。
こうした中東諸国などの動きとは異なるが、支那北京政府もまた、わが国の方向性を何とか変化させようと苦慮しているように見える。
中共党機関誌『人民日報』の著名な論説委員である馬立誠が昨年十二月に発表した論文『戦略と管理』は、わが国でも『読売新聞』が七段抜きの記事として紹介したほどだ(十二月十二日朝刊)。この論文のなかで馬立誠は、「対日関係の新思考」と題して、支那全土に蔓延している「反日」論調を強烈に批判し(反日運動を「愛国の旗をうち振るった非理性的な妄動」と批判)、客観的事実に即した日本の実姿を評価しているのだ。その歴史認識として、「謝罪」の問題はすでに解決済とし、世界第二位の経済大国となった日本を「アジアの誇り」とまで呼んでいる。さらに、日本人が支那に対して悪感情を持つ原因の一つとして、日本に不法滞在する支那人の犯罪問題までを詳しく取り上げているのだ。
支那北京政府ももちろん馬立誠の論文を理解している。いや、江沢民から胡錦涛への指導部交代劇に併せて、反日・排日感情を沈静化させ、日本を対米追従から親支那的なものへと変身させようとする意欲も読み取れる。
北京政府には、近い将来の対米全面対峙は避けられないという観測がある。そうした近未来において、日本を一方的に米側に追い込むことは得策ではない。
ここにきて、思い起こすのがハンティントンの『文明の衝突』(日本語版・集英社刊)である。すでに本誌では度々ご紹介しているので、多くの読者は耳にタコ状態だろうが、ここで再度大意を要約しておく。
……世界的な文明の衝突の時代が到来する。その時代を迎えたところで、日本は米国・支那の狭間で呻吟し、最後には日本固有の文明はズタズタに引き裂かれ、日本という国家
・民族は消滅していくだろう……。
支那北京政府はまさに、米国一辺倒の日本に手を伸ばし、これを我が物とするよう本気で行動を開始した。では、ほんとうに日本は、ハンティントンの予言通り、その固有の文明を潰され、引き裂かれ、断末魔のなかに国家、民族の終焉を迎えるのだろうか。
その答えを知るのは、いま日本という国に生きているすべての日本人である。
その最初の回答は間違いなく、平成十五年の今年中に下される。
世に蔓延している大新聞、大TVの情報に惑わされることなく、たった一人の日本人として真実を見極める意思さえ存在していれば、最大の危機とも思える今年の状況は一気に好機に転じる。
読者諸氏の今年の肚づもりに期待したい。