現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ24 > 1092.html ★阿修羅♪ |
|
■人類史上最大のデモ
米国によるイラク攻撃企図が露になる中で、反戦の声が空前の高まりを見せています。昨年から欧州や米国内で行われてきた数十万の反戦デモは今年に入ってさらに巨大なうねりを見せ1月の世界同時デモに続き、2月14日の国連査察団の報告を受けて米国が戦争姿勢を強めたことで世界的な大デモに発展しました。
15日にはシドニーをかわきりに、欧州、アジア、中近東の各都市で数十万から200万という空前の大デモ。それは、「ウェーブ現象が地球規模で起きたよう」(朝日新聞)というように150都市、1000万を優にこえ、ベトナム反戦運動をしのぐ人類史上最大のデモとなりました。
14日、国連ではドビルパン仏外相の熱弁に各国外交団から一斉に拍手が起き、安保理事国15カ国中12カ国が武力行使に反対の演説。マレーシアで114カ国が参加して開かれた非同盟諸国会議も米国の武力行使に反対する特別声明を出しました。
市民だけでなく、世界各国の政府や国際機関にまで広がる巨大な反戦の声。それは、醜悪な戦争を何としてもやろうとする米国に対する世界的な抗議の声であり、新しい時代の到来を実感させるものでした。
■誰が日本の国益を正しく考えているか
そうした中、あろうことか、日本政府はここにきて米国支持を鮮明に打ち出し始めました。
18日、この問題で各国の意見を聞く国連の場で日本の国連大使は「イラクが完全に協力していない査察をこれ以上続けても意味がない。安保理が一致して行動できないなら国連の権威を傷つけるだけでなく、イラクに誤ったメッセージを送る。国際社会の断固とした決意を示すために、新たな国連決議が必要」と演説。これは、米国が企図していた「新たな国連決議案提出」を先取りして、その必要性を訴えるという対米従属丸だしの態度表明でした。
なぜ、こうなのか。朝日新聞の「窓」欄には「離れられぬ理由」という題目の記事で、「アメリカにそっぽを向かれたら日本はどうなるのか。他に
親しい友達はいない。ただの嫌われものになってあちらこちらからいじめられる。冗談とも本音ともつかぬ話しを一線の外務官僚がしていた」という話しが紹介されていました。
米国を離れて日本の国益はない。これは、最近、米国支持を打ち出す日本政府の常套句ですが、だから日本は戦争でも何でも米国に従うべきだとなるのでしょうか。それが本当に日本のためになるのでしょうか。
これだけ世界が反戦の声をあげているときに、日本がこのような態度を取り続けるなら、日本は本当に世界の孤児になり、立ち行かなくなります。
それにもかかわらず、米国支持を鮮明にした政府は、茂木副大臣を送って「イラクを説得する」などと米国のお先棒をかつぐようなことをやり、難民支援や石油流出防止の支援などと、戦争を前提にしたような対応策を自慢げに話しています。
「人間の楯」としてイラク行きを決心した若林徹さんは、「戦争前から『戦後復興』をやかましく唱えるだけの今の日本でいいのだろうか。私は恥ずかしい」と言いながら「イラクの人と運命を共にするつもりです。いつの日か『イラク人がいちばん苦しいとき日本の先生がいてくれた』とイラクの子らが語ってくれたらどんなに素晴らしいか。・・親日的だった中東の若者の日本を見る目も変わってきたようです」と言っていました。
本当に、大衆の方がよほど物事を正しく見ています。
小泉首相は、反戦デモに対して、イラクに誤ったメッセージを送ると言いましたが、それは自身へのメッセージと捉えるべきではないでしょうか。
■米帝国の崩壊過程
週刊金曜日(1/3合併号)の編集後記「金曜日」欄に、こんな文章がありました、米国で知り合った米国人ジャーナリストに、この国はどこに向かうのだろうかと尋ねたところ、「滅びるのさ」という答え。怪訝な表情を見透かしたように彼は、「君は何かい、歴史上覇権を握った世界帝国で滅びなかった例を知っているとでもいうのかね」と続けたそうです。フランスの人類・歴史学者エマニュエル・トッド氏(昨年著した「帝国後」が有名)も「我々が目撃しているのは、帝国としての米国の崩壊過程だ」と言っています。
米国は滅びつつある。確かに米国の常軌を逸した狂気ぶりは滅び行く者のあがきと見るべきなのかもしれません。
すでに、米国バブルは崩壊しました。株価は低迷、米国への直接投資は5分の1に急減、欧州からの投信(株式投資)も逆流に転じました。有事に強いドル神話も崩れ、イラク戦争危機を前にドルは下がり、金が高騰しています。
米の一極支配も揺らいでいます。イラク問題をめぐってロシア、中国だけでなくEUも反米色を強め、NATOは親米と反米の間で「分裂の危機」に陥っています。第三世界諸国でも、南北格差が拡大する中で反グローバリズム、反米意識が強まり、ブラジル、トルコ、ベネズエラなどで、反米的な政権が誕生しています。
そして米国内でも、ブッシュの「反テロ」を掲げたファッショ的施策、そして「バブル崩壊」による生活苦の増大に米国民の不満がうっ積しています。
グローバリズムと市場原理を掲げ、他国の自主権を踏みにじり、社会を弱肉強食のるつぼとし、詐欺的手法で「米国の一人勝ち」を演出してきた米帝国主義は、その理念と原理の不正義性、非人間性の故に自らを崩壊させつつあり、それをくい止めんとブッシュ政権がぶち上げた「反テロ」を掲げた「21世紀型戦争体制」もその崩壊過程を促進するものでしかありませんでした。
人類史上最大のデモはそれを如実に示す、大いなる出来事なのではないでしょうか。
■新しい時代と日本の進路
米国の一極支配体制は終焉を迎えつつあります。多極化、自主化が時代の趨勢となり、誰も米政権を相手にしなくなり、米国はイラク問題でも朝鮮問題でも、打つ手がなくなっています。
時代は、まったく新しい段階に突入しつつあるのだと思います。そうであれば、その時代は、米帝国を支えたグローバリズムと市場原理とは正反対のそれらと真っ向から対決する、各国の民族的自主性を擁護尊重しながら互いに協力し、各国各民族内部では愛と信頼に基づき人々が互いに心を合わせ助け合い国と民族の発展に尽くしていく時代ではないでしょうか。
我々には、この正しい時代認識が要求されていると思います。世界に比べると、日本の反戦デモはまだまだです。外国の反戦活動家がそれについて、「日本人は自分たちが何も変えられないと思っているのかな」と言っていました。新たな時代への認識を深め、今、目の前に現出している人類史的な大激動に積極的に参加していくとき、真に我々の運命、日本の運命を切り開いていくことができるのだと思います。