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東京、城南の老舗の歯科商店が突然廃業した。原因はよく分らないが、歯科の先行きに悲観的で、傷口をこれ以上拡げて、他に迷惑をかけないうちにと社長が廃業を決めたという。その1月程前、やはり城南の別の歯科商店が倒産した。こちらの原因は銀行が触資を渋り、倒産に追い込まれたと聞く。年商12億円余、黒字は出ていたというから、ちょっとした隙を突かれたのだろう。2つの事例をかいま見るといくつかの問題点が浮上してくる。
まず歯科医院の体力低下である。歯科医院の経営自体容易ならざる状況に追い込まれてい
る。歯科医師急増、競争激化、経済不況、医療収入の低下、収支差額の悪化、歯科医院のこうした環境が流通にも反映している。必然的に材料の購入は低下し、販売競争は激しくなる。通信販売の普及で、消耗品を中心に材料購入が他の業者へ移っている。
次に歯科業界に対する銀行の融資の厳しさがある。歯科医院への融資は、一段と厳しくなり、リースであっても2割程度は不成立となるという。こうした事実は、当然ながら歯科商店にも向う。残念なのは、″歯科″全体の職種別ランキングが悪くなり、銀行融資が難しくなっていることである。
日本の歯科材料の流通は独自のシステムで運営されていて、欧米流の合理性では理解しづらい所があると思う。我々もディーラーの戸別訪問に慣れていて、利便性の上にあぐらをかいている。「アスクル」という文具の通販業者がある。文字通り、今日頼めば明日商品が届く。価格も安く、少量でもOKなので、使っている。現在2万軒の歯科医院と取引があるとのことだが、このアスクルが、歯科材料の通信販売に乗り出す模様だ。もしこれが事実ならば、歯科流通に大きな影響を与えることになろう。
メーカー、例えはモリタ、ヨシダ、GC、松風は商品を開発し、研究を重ねて、市場に出す。商品は流通の経路を経て歯科医院に届く。メーカーが直販するシステムをよく指摘されるが、配達、在庫、資金回収、いろいろな点でネックがありそうだ。だから非能率、高価格を指摘されながらも、流通改革には踏み込めない。しかし前述の2例と更に今年起った他のもう2つの歯科商店倒産の事実を知ると、見えない手が容赦なく働いているように思う。
メーカーにとって、歯科材料の真のユーザーは歯科医飾ではなく、患者である。こうした観点でのユーザー(消費者)対策は、はとんど行われていない。流通は歯科医院にとっても大きな問題である。ただ静観していないで、皆で考えるべき時期が到来しているのではないか。
(02・8・13)