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題名: 平成15年3月13日 (一)
投稿者: 西尾幹二(B) /2003年03月13日 20時04分
「フランスはうぬぼれて強国のステータスを要求しているが、過去50年間にフランスがその地位を手に入れたことはない。国連安保理の常任理事国の席を与えられたので、英雄的フランスが反ナチ大同盟の一翼を担ったというつくり話を守りつづけることができたが、むしろ実際にはナチに降伏し、対敵協力した国家なのであった。」
Charles KrauthammerのA costly charade at the UN(金のかかる国連の猿芝居).Washington Post,February 28,2003 はアメリカ人の本音をさらけ出していてとても面白い。
「半世紀たってフランスの見せかけは値段の高いものになった。われわれはフランスをなだめるために安保理決議1441を採択したが、彼らはそれをそっくりゴミ屑箱に捨ててしまい、さらに何ヶ月もアメリカの行動を引き延ばしてきた。」イギリスのブレアを苦しめ、フセインにサボタージュの機会を与え、アメリカ兵の命を砂嵐の危険にさらす結果となった。「フランスがこういうことをしているのはイラクを抑止するためではない。・・・・・アメリカを抑止するためなのである。」
なんとも腹立たしいといわんばかりのクラウトハマーの筆法は鋭い。フランスは超大国アメリカに挑戦するブロックのリーダーと自分を位置づけ、自らも大国となるチャンス到来と張り切っているが、この挑戦はただごとではないですぞと、クラウトハマーは脅しをかける。
「この挑戦には深刻な応答をもってする必要がある。最高の国益問題についてアメリカ合衆国の土台を壊そうとしたことに対しては支払うべき代価があるということを、われわれは思い知らせてやらねばならない。まず第一に、イラクの砂埃りがおさまったらすぐに、われわれは安保理の拡大を強く求めていくべきで、――インドと日本を新しい常任理事国に加えて――フランスのすでに均衡を失った、時代錯誤的な影響力を薄めていかなくてはならない。」
さらにいろいろなことを言っている。イラクにおけるフランスの役割はもうあってはならない。フランスがたとえ心を入れかえても、戦中、戦後をとわず役割はもうない。平和維持活動も、石油の契約ももうフランスは関係ない。借款の返済も順序としては最後で、ロシアの後でいい。ロシアはアメリカの政策にただ単に反対しただけだ。フランスは「アメリカに反対するよう世界に動員をかけた。」
NATOについてもこう言っている。冷戦後の同盟は廃れたので、新しい同盟に置き換える基礎づくりを始めるべきだ。NATOを廃止する必要はない。けれどもトルコ防衛を妨げようとしたフランス、ドイツ、ベルギーのあのグロテスクな行動はNATOの耐用年数が尽きたことを示している。国連とNATOはともに自己不適格のゆえに衰徴していくであろう。
そこで彼の考える構想は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、トルコを取り巻く新しい同盟で、スペインとイタリ―のような古いヨーロッパに、アメリカに深く賛成した東欧諸国を入れて、多分インドと日本をも加え、テロリズム、ならず者国家、大量破壊兵器からの脅威を受けた、心を共にする国々が新秩序を目指すべきであろう。ドイツは東ヨーロッパへの展開基地だから、再考されうる。
「以上はすべて明日のプログラムである。今日の至上命題はイラクの戦争に勝つことである。しかし平和をかち得てもそれは単にイラクの再建を意味すまい。それは何年も前に死亡した同盟の取り替えを意味しよう。その同盟の死亡記事は今年書かれた。死亡記事にあったのはフランス人の名で、ドイツ人の名は脚注になっていた。」
以上のような記事はなかなか日本のマスコミではお目にかかることができない。クラウトハマーは国連を「不思議な国のアリス」と呼んでいる。昨日徳間書店の力石さんから電話があって、クラウトハマーはアメリカの外交政策を一番早く予言し、リードし、有効打を放ちつづけているコラムニストだそうである。私が再三引用しているとおり、私と波長も合い、好みの評論家である。徳間でこの人の翻訳を出したいと言っていたから、ぜひそうするようにと奨めた。
12日付たしか『東京』夕刊――新聞がどこへ行ったか見えない――に、戦後のフランスにイラクの石油の管理を禁じる法律を米議会が模索していると書かれていた。アメリカの法律で他国の手出しを禁じようというのだからすさまじい。が、これをみるとクラウトハマーの言う方向にアメリカ議会が動いているようにみえる。
今夕、東京のワシントン・ポストの女性記者から電話があって、政治家石原慎太郎についてきいてきたので、ついでに彼女に、クラウトハマーの記事をよんだと言っておいた。