現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ23 > 162.html ★阿修羅♪ |
|
農水省と有機農家の間で妙な論争が起きている。牛乳や酢などを農薬扱いにするかどうか――そんな「農薬の定義」をめぐる議論。当初は「アイガモ、アヒルも農薬に?」という情報もあった。食品にかかわる問題だから、徹底的に話し合ってほしいのだが――。 【上田宏明】
◆悪い冗談
発端は昨年、無登録農薬の販売が全国で相次いだ問題だった。農水省は農薬取締法を改正。無登録農薬の使用を規制する一方、これまで使われてきた天然の資材については、人体に影響がないため規制の対象にしない「特定農薬」に分け、網をかけようとした。そこで全国の生産者団体に候補を募ったところ、アブラムシの防除に使う牛乳から雑草や虫を食べてくれるアイガモやアヒル、スズメ、カエルまで約740種が挙げられた。
法改正により、3月からは登録された農薬以外は使えなくなる。激怒したのが有機農家の団体。アイガモ農法はじめ先代からの知恵を生かし、無農薬での栽培を試行錯誤してきただけに、農水省への反発が強かった。
今月12日には生産者や消費者など26団体が都内で緊急集会を開き、<アイガモや牛乳が『農薬』指定されるなんてあまりにも変です。悪い冗談はやめてください>とのアピールを採択した。
◆牛乳は保留
農水省も困惑を隠せない。「アイガモやアヒルは、あくまで全国から募った意見であって、指定はあり得ない。だれが見ても農薬でない」(澤田清・同省農薬対策室長)と火消しに懸命だ。
今月21日には農水、環境両省の審議会小委員会が開かれ、どれを特定農薬に指定するかの基本方針を検討。アイガモやアヒルなどは指定から除外する方針が確認された。30日の審議会で正式に決まる見通しだが、殺菌効果のある食酢や重曹、天敵昆虫などは指定される方向という。
ところが、牛乳や粉ミルク、米ぬか、トウガラシ液、木酢液など約600種類は「農薬としての効果や安全性が不透明」だとして、判定が保留されたまま。決定は3月まで持ち越される公算が高い。委員からは「牛乳も腐れば有害だ」「トウガラシ液も散布中に目の中に入れば危険でないか」といった意見まで飛び出し、事態の収拾は容易でなさそうだ。
◆「名前が悪い」
こうした混乱を受け、農水省では「『特定農薬』という名前を変えれば、違和感もやわらぐのでないか」との声が浮上している。審議会の委員らに対し、適切なネーミングについて打診が続いている。これまでに「特定防除剤」や「特定防除資材」などの案が挙がっている。
有機農家や消費者、研究者らでつくる「日本有機農業研究会」理事の久保田裕子・国学院大学教授(消費者問題)は「そもそもの問題は農水省の姿勢」だと指摘。「有機農業で使う技術は一括して適用除外すればよい。農家の工夫にいちいち網をかけて有機農業の発展を阻害するのはやめてほしい」と制度そのものの撤廃を求めている。
[毎日新聞1月30日] ( 2003-01-30-15:51 )