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ＮＰＯを隠れみのに増加中　◇クリーンなイメージを悪用

長引く不況は人の心もむしばみ、悪徳業者も増えるのか。全国の消費者相談窓口などに寄せられる悪徳商法に関する相談は増加の一途で、２００２年度（４〜１１月）の相談件数は、前年同時期を約１６％も上回る４８万６３９３件（国民生活センター調べ）に達している。不況に乗じた新たな悪質手口を緊急検証した。

　「最近、ＮＰＯ関係の相談が増えてます」とは東京都消費生活総合センターの相談員。

　「民間非営利組織」と訳されるＮＰＯ法人はボランティア活動などを行うのが目的で、９８年の特定非営利活動促進法の施行後、急速に増えた。だが、クリーンなイメージを悪用する輩が増えているというのだ。

　例えば、流出した多重債務者リストを元に「債務整理の相談を受けます」というダイレクトメール（ＤＭ）を送りつけ、簡単なアドバイスだけを行い、弁護士を紹介しているＮＰＯが複数存在する。

　悪徳商法に詳しい高原誠弁護士は「弁護士を紹介すること自体は違法ではないが、対価を目的に反復、継続されていれば弁護士法違反になる」と指摘。問題のＮＰＯは紹介料ではなく、弁護士からも寄付を受ける形にし、法の網の目をくぐろうとしている。

　昨夏には福岡県のＮＰＯ法人が、阪神大震災時のボランティア活動の記録といった厚い本を不特定多数の個人や法人に送りつけ、本代などとして約６万円を請求。消費者相談窓口に苦情が殺到し、『福岡県がＮＰＯ認定の見直しに動く』と報道される騒動があった。

　だが、このＮＰＯ側は「関連会社が勝手にやった」と釈明。「今のところ処分する予定はない」（県庁担当者）。

　さらに、秋には「〇〇消費生活センター」といった自治体の消費者相談窓口に酷似した名前の法人がＮＰＯに認定された。悪徳商法被害者の相談を受け、アドバイスするというのだが、その宣伝のため、被害者にＤＭを送付。本物の消費者相談窓口に「このＮＰＯは大丈夫なのか」といった相談が寄せられた。

　アドバイスを受けた一部の者は、数万円の賛助金を支払う会員になるよう求められたという。

◇新しい“サービス”も…

　問題のＮＰＯを直撃すると、責任者は「できるだけのアドバイスを行っていれば、その趣旨に賛同してくれる人はいるはず。今後、内容証明の作成を代行する司法書士の紹介も行いたい。法的にＮＰＯが収益を上げてはいけないわけではなく、会員が増えれば新しいサービス（有料）も提供できる」と話していた。

　確かに、ＮＰＯも収入は必要だろうが、何が適正な営利活動なのかは微妙で、現状ではチェックも甘い。

　こうしたＮＰＯの増加について、都道府県の消費者相談担当者が「なんで悪徳業者をＮＰＯに認定するのか」と、同じ役所内の認定部署に問いつめたところ、「今の仕組みでは、書類などが整っていれば認めざるを得ない」との答えが返ってきたという。

　今後もＮＰＯを隠れみのにする悪徳業者は増えそうで、高原弁護士は「ＮＰＯの基本はお金を求めないはず。自分から積極的に勧誘するところもうさんくさい」と注意を促している。
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