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日本はまだまだ心の貧しい国ではないか。
4月から始まる障害者の「支援費制度」で、ホームヘルプサービスの補助金をめぐる厚生労働省の主張、対応をみると、そう感じさせられる。
「支援費制度」は、国や自治体が一方的に施設入居やサービスを決めてきた「措置制度」を、180度転換させるものだ。
利用者が必要なサービスを選ぶ。所得や利用度に応じ利用料に公費補助(支援費)をする。
ホームヘルプの補助金は地域のグループホームや自宅などの在宅介護を支える大きな柱だ。
厚労省は来年度予算で278億円を自治体に配分する。その際の基準を設けようという方針に障害者が反発する。反発は当然だ。
00年に社会福祉法の成立により、支援費制度が決まってから、厚労省はホームヘルプサービスで「上限は設けるな」と市町村にも指導してきた。障害者は多様だ。脳性まひなどによる全身性障害の場合、長時間の介護が必要で、一律に上限を決められない。
ところが、厚労省は補助金の配分基準を、例えば1人当たりのサービス量を全身性障害の場合、120時間までと決め、それを超える分は自治体がまかなう、という方針を示す。「基準は上限ではない」というのだ。
実際は、そうではあるまい。
ホームヘルプサービスは市町村によって大きな差がある。
例えば、東京都の場合、全身性障害のヘルパー派遣で、1人月240時間程度まで認めている。今回の基準が適用されれば、残り120時間分は都の負担となる。
都も「負担を地方にしわ寄せするもので、実質的に障害者に対する利用制限となる」と反対する。都よりも財政が厳しい市町村も少なくない。これまでのサービスを維持するのは難しくなる。
無制限に金を出せ、とはいわないが、来年度のホームヘルプの補助金額278億円といっても、高速道で5キロ弱、東京の地下鉄だと1キロ足らずの建設費に過ぎない。厚労省は「苦しい中で、前年度より14.5%も上積みさせた」と強調するが、説得力はない。
施設より地域で普通に障害を持たない人たちと暮らす。ノーマライゼーションと呼ばれる戦後、デンマークから始まった障害者の権利を尊重する考えの広がりが、今回の改革を生んだ。
施設から在宅、地域へという流れを前提にした改革である以上、在宅サービスの充実は当然だ。
ところが、現実をみると、その受け皿となる市町村での基盤整備は大きく立ち遅れている。
さらにコーディネーターの役割を担ってきた障害者地域療育等支援事業も、来年度予算で国の補助が一方的に打ち切られる。
今回の改革は何より「利用者本位」のはずだ。なのに、障害者や市町村との話し合いが決定的に不足している。「仏作って魂入れず」とは今回の改革のことだ。
障害者の声に耳を傾けよ。それを抜きに改革はあり得ない。