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長引く不況、働く高齢者を直撃！？。高齢者の働き口をあっせんする、社団法人田辺市シルバー人材センター（同市元町）では年間の契約金額は伸びているものの、60歳以上の会員が増えていることから就業率が約60％と低迷。仕事に就けない高齢者の＜失業問題＞が表面化している。特に民間からの発注増に期待が持てないため、公共の主力である市当局に助け舟を求めているがここ数年横ばい状態。年間契約金額が、倍の実績を持つ社団法人新宮市シルバー人材センターの場合と、行政側の対応がどう違うのか、実情を探った。（田渕博司）
●会員増に追いつかず
田辺市シルバー人材センターによると、公共、民間合わせた契約金額は90年の設立以来順調に増加。98年度に初めて前年度比を下回ったものの、その後も伸び続け昨年度は過去最高の7687万円（うち会員に支払う配分金は6569万円）を記録した。本年度も８月末現在で、昨年度同期比255万円増の3693万円の実績を上げている。
一方、登録会員数も本年度が昨年度より25人多い362人（男性207、女性155人）と、毎年４月の更新時に入退会するものの増え続けている。このため、会員増に受注量が追いつかず、仕事に就けない人も少なくない。一時80％を超えていた年間就業率も、ここ数年は60％前後と低調。昨年度は58％で、10人に４人が失業した計算だ。
●公共の受注増に期待
昨年度の配分金額でみた受注率は公共53％、民間33％、個人14％と、公共は半分を占めているが、受注件数が62件と、民間248件、個人456件に比べ極端に少ない。また最近の契約金額も、民間・個人は97年度の4150万円をピークに3600万円台で推移。これに対し公共は96年度の3600万円を除き3300万円台とほとんど増えていないのが実情。長引く不況で民間は大幅増が期待できないことから、田辺市や県など公共関係の受注増に望みをつないでいる。
このうち、事務費を除いた配分金は大口である田辺市からは昨年度3600万円と、新宮市が同市シルバー人材センターを通じて会員に支払った5600万円に比べ少ない。
現在、人口約７万1000人の田辺市と、約３万3000人の新宮市。65歳以上の高齢者人口も約１万4000人、約8000人と田辺市が６割近く多いが、逆に会員数は新宮市の方が５７人多い419人。新宮市シルバー人材センターの、昨年度契約金額は１億4241万円（うち配分金１億2919万円）で、このうち市が6080万円を占め、田辺市の3900万円と大きな開きがある。
●ボランティア精神も
これについて、田辺市のセンターは「市当局には仕事を回してくれるよう、お願いしているが一向に増えない。高齢者支援への対応に格差があるためでは」といい、新宮市のセンターは「95年の設立当初から市の全面支援を受け、会員でこなせる仕事は発注してもらっている。今年も公共分は増えている」と、両市の高齢者支援に温度差があると指摘する。
窓口の新宮市健康長寿課では「高齢者雇用を支え育てていくため、出来るだけ市の業務を委託しており、今では支援態勢も定着している」という。
田辺市やすらぎ対策課では「仕事の発注は各課からしており協力していると思うが、今後は発注量を増やすよう、各課と調整して検討したい」と話している。
第一線で働く男性会員（72）は「仕事量はあまり減っていないが、単価が低いなど厳しい。仕事を回してもらうのに無理も言えないし、ある程度ボランティア精神もないと…」と話す。
●独自事業も模索
センターの当面の目標は契約金額を１億円の大台に乗せ、就業率70％台を回復させること。事務局長の清水節雄さん（62）は「発注元への啓発活動や会員の資質向上に力を注ぎ、本年度は何とか8000万円を確保し次は１億円をめざしたい。厳しい不況が続くなか、独自事業の展開も含め、知恵を出し合い高齢者が働ける方向性を模索したい」と意欲的だ。
上部団体である県シルバー人材センター連合会の話 センターの運営は行政の支援が必要不可欠。田辺と新宮の温度差には地域事情（地域性）もあるようだが、要は急テンポで進む高齢社会を、行政がどう認識しているかだ。特に高齢化率に含まない60〜65歳の人口もかなり増えており、実態を把握して必要な手だてをすべきだ。
センター会員は希望する職種を登録しておき、気に入った仕事であれば請け負い、仕事量に応じてセンターから配分金（報酬）が支払われる。年会費1000円。職種によって受注、契約件数にばらつきがあるが、ホテルの清掃、草刈りなどの軽作業や簡単な大工仕事、植木・せん定など技能職、家事サービス・介護などサービスに人気がある。
田辺市シルバー人材センターの問い合わせは０７３９・２４・０３９９。
【草刈り作業をする田辺市シルバー人材センターの会員ら（同市新庄町で）】
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。