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デビッド・クローネンバーグ という映画監督は、
なかなか興味深い主題の映画を作り続けている監督と言える。
そのクローネンバーグの、日本公開予定2003年春の新作映画の原作が、
パトリック・マグラア 著 の「スパイダー」。
これがハヤカワ文庫から、最近出版されたので読んでみた。
原作の内容、を一言で表現すれば
■ 少年 当時に起こした 殺人事件 を回想する 精神分裂病 の男の物語。
この原作の何処に商業映画としての可能性があるのかは、
私には率直に言って判らなかった。
原作は 少年が殺人に至るまでの淡々とした過去の回想 が主たる内容。
精神分裂病患者に典型的な、現実と妄想が混在した不確かな感覚が、
少年に殺人を起こさせたという結論は、まあ理解できるのだが、
これが決して商業映画として万人受けする内容では無いのは確かな所。
簡単に言えば「原作はあまり面白く無い」。
私が注目するのは原作が描いている、
■ 少年 殺人事件 精神分裂病
というテーマの方。
私はクローネンバーグが映画の題材として取り上げた今回のこのテーマについて
ある疑念を持っている。
過去のクローネンバーグの映画は、「ある観点」から考えると意味深なテーマが多い。
映画の中で、「超能力」「遠隔透視」「予知能力」「マインドコントロール」
「遺伝子操作」「ドラッグ」「バーチャルリアリティ」「疑似体験」
などの題材が、どれもかなり具体的に描写されている。
これらの題材は、すべて「ある人たち」と大いに関係している。
「ある人たち」とは「フリーメーソン」であり、「イルミナティ」。
彼らに特有の暗示や隠喩が、クローネンバーグの映画には明確に存在しているのだ。
そういった意味で、この新作映画の題材である、
■ 少年 殺人事件 精神分裂病
は興味深いモノと言える。
私は、近年日本で発生した少年事件の「酒鬼薔薇事件」あるいは「西鉄バスジャック事件」
と「ある人たち」の関係を考える上で、この映画は参考になると感じている。
この題材の裏側には、何かの仕掛けが存在する。