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日本の“ゴジラ”から、世界の“GODZILLA”へ――。巨人からフリーエージェント(FA)宣言し、米大リーグ、ヤンキースへの移籍が決まった松井秀喜外野手(28)が、メジャー挑戦の抱負を本紙に語った。ボンズ(ジャイアンツ)、ソーサ(カブス)、A・ロドリゲス(レンジャーズ)ら大リーグ最強の打者たちと同じ夢舞台に立つ日本の主砲。本塁打王3度など国内では頂点を極めたプロ11年目の松井が、新天地で再スタートを切る。(聞き手 下山田郁夫、津崎勝利)
――ヤンキース入りの実感は
「まだない。やはり向こうの地を踏みしめて初めて、実感がわくと思う」
――メジャー挑戦は、人生最大の決断だった
「決断前は日本でやり残したことがあるのではと思ったし、決まるまでの1か月半も精神的につらかった。11月の日米野球の間は眠れない時もあった」
――その決断を多くのファンが支持した
「どんな反応があっても、最終的には個人的な決断なんだと腹を決めていたが、想像していた以上の声援はすごく励みになった」
――なぜヤンキースなのか
「歴史と伝統を誇る最高のチームで、勝負をかけたかった。常に刺激のある場所でやりたいというのが、僕の信念。1999年にヤンキースタジアムでア・リーグ優勝決定戦シリーズを観戦したが、あの球場は流れている空気が違っていた。あの雰囲気を今度は自分自身が味わってみたい」
◆想像しただけで興奮◆
――そのスタジアムの打席に、今度は自分が立つ
「ベーブ・ルースやミッキー・マントル、ロジャー・マリス。歴史に残る左打者(注 マントルは両打ち)たちと同じボックスに入ることを想像しただけで興奮する。初打席では、足が震えて打てないかも(笑)」
――2月中旬にはキャンプ合流。自主トレの課題は
「シーズン開幕は日本と同じ時期だが、キャンプインが遅いので、例年の日本のキャンプの終盤の状態まで作り上げて臨みたい」
――全162試合。連戦も続く強行日程に不安は
「これはもうまったく未知の世界。きついと思うが、気力と体力で何とか乗り切っていくしかない」
――来季用の新しいバットは、今季までの強打者用からデザインを変更した
「スイートスポットを広げて、確実性を上げたもので、巨人の2、3年目に使ったものとほぼ同じ。メジャーの投手が相手でも、まともにしんを食えば飛距離は落ちないだろうが、2シームなど『動く速球』が多いので、多少しんを外されても対応できるように」
――対戦してみたい投手は
「とにかくいい投手がたくさんいるので、対戦はすべて楽しみ」
――ファン最大の関心は、本塁打を何本打てるか
「数字的なものはまったく分からない。自分が向こうの投手に対し、どう対応をしていけるかによる」
――4年連続3割、2001年は首位打者。打率も意識する
「当然。僕は常に、トータルでいい打者を目指してきた。『本塁打は打つが、率が悪い』とか『率は高いが、本塁打は打てない』という状態にはしたくない」
◆どれくらい通用するか楽しみ◆
――打順、守備位置について
「考えていない。まだ試合に出られる保証もないわけだし、階段を一歩一歩上って行けたらいい」
――自信はもちろんある
「自信のあるなしではない。メジャーでどれくらい通用するのか、確かめられるのが楽しみ。プロ11年目で、新たなスタートを切るチャンスを与えられ、それを生かしたかった」
――初の海外生活。英語は
「出来るに越したことはないが、うまく話せなくても、積極的に人の輪に飛び込みたい。ファンとの触れ合いも多いようなので、米国にも『ゴジラ・ファン』を増やしたい」
「つき物が落ちた」、そんな印象だった。苦悩の決断を経て、松井選手がメジャー屈指の名門チームに入団する喜びや、不安さえも率直に語ってくれた。
昨年11月1日、目を真っ赤にしながら「裏切り者と呼ばれても……」と語ったメジャー挑戦の悲壮な決意に変わりはない。ただ、その背景には、10年間にわたって着実な進化を続け、打者として日本球界の頂点を極めたという誇りがある。
先発の野茂(ドジャース)に抑えの佐々木(マリナーズ)、そして巧打のイチロー(マリナーズ)と豪打の松井――。日本プロ野球の投打のヒーローたちが、メジャーの舞台に勢ぞろいする新たな時代が幕を開ける。
今の心境を一言でとたずねると、じっくり考えて「“一歩ずつ”ですね」。「メジャーでも本塁打王に」というファンの期待は痛いほど分かっている。しかし、松井の現時点での目標は、シーズン開幕戦で先発ラインアップに名を連ねることだけだ。すべての栄光が、この第一歩から始まる。(津崎 勝利)
(1月1日00:04)