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宮内庁は28日午後、天皇陛下は前立腺の検査の結果、複数のがん細胞が確認されたと発表した。がん細胞の転移は認められないという。陛下は1月中旬をめどに、東大医学部付属病院(東京都文京区)に入院し、前立腺を摘出する治療を受ける。同庁は「手術によって根治する可能性が高い」としている。元日に皇居・宮殿で行われる新年祝賀行事や2日の一般参賀は予定通り実施するが、元日と3日に予定されている皇室祭事への陛下の出席は取りやめる。
会見した金澤一郎・皇室医務主管によると、確認されたがん細胞は高分化型の腫瘍で、「比較的たちが良いもの」という。今回、中心となって検査をした東大医学部泌尿器科の北村唯一教授、国立がんセンターの垣添忠生総長らが協議した結果、前立腺そのものを摘出する手術を実施することを決めた。手術は、東大医学部泌尿器科と国立がんセンター泌尿器科の合同チームで行う。
手術後は、万全を期すために約1カ月間入院し、退院後も相当期間、お住まいの皇居・御所で静養する。手術時に自己血液の輸血が必要になることに備え、週1回の割合で採血する。28日に第1回の採血をした。
陛下の入院、手術による国事行為の代行の委任手続きや日程の変更は、今後発表するという。 【真鍋光之】
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天皇陛下は、前立腺がんと診断され、前立腺の摘出手術を受けることになった。今回の公表は、検査結果を告知したうえで、陛下の了解に基づいてなされた。【大久保和夫、真鍋光之】
「陛下はサイエンティストで、(病状を)きちんと受け止めていただいた」――天皇陛下の前立腺がんを28日午後7時からの記者会見で発表した金澤一郎・皇室医務主管は、検査結果を伝えた時の陛下の様子をこのように語った。「転移はない」「ほぼ100%完治する」……。陛下への説明は生体検査の結果が出た直後だったが、「冷静に受け取められていた」と言う。告知については治療の必要性からはっきりと述べたとし、公表することの了解も得られたと語った。
1989年に逝去した昭和天皇の病気は十二指腸乳頭周囲腫瘍(しゅよう)とされたが、当時の侍医長は「がんであることを完全に秘して治療を行った」と語った。がんは部位や種類によって体への影響は大きく異なるが、前立腺がんは現代医学ではほぼ完治し、術後も従来と変わらない生活ができるため、公表に踏み切った。
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前立腺は膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあり、膀胱から尿が漏れるのを防ぐ括約筋の働きをするほか、精液の一部が作られる。
前立腺がんは、男性特有のがんで、9割が60歳以上。欧米人に多かったが、近年、欧米型の食習慣が普及したことなどから日本人でも増加している。進行が遅いため、周囲への転移がなければ根治も可能。00年の日本人の前立腺がんによる死亡数は3993人で、男性のがんによる死因の中で8番目だった。死亡率は胃がんや肺がんの4分の1から5分の1と低い。
治療法は前立腺そのものを摘出する外科手術(全摘)のほか、放射線を当てる化学療法、ホルモン療法などがある。全摘の場合でも、慎重に処置すれば日常生活に支障はないとされる。
元日本大学板橋病院院長の岡田清己・日本大学総合科学研究所教授(泌尿器科学)の話 前立腺がんは、高分化型で、比較的良性の腫瘍であれば一般的に、すぐに手術すればまず治る。同じような患者さんを何百例と治療した経験から言えることで、来年1月に摘出手術をするなら安心だ。
[毎日新聞12月28日] ( 2002-12-28-22:17 )