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仕事上の事故で負傷しながら、事業主がその事実を隠ぺいする「労災隠し」について、全国の労働局と労働基準監督署が99〜00年の2年間で、419件の事例を把握していたことが20日分かった。このうち、6割の254件で、関係者が労働安全衛生法違反(報告義務違反)などの容疑で書類送検されていなかった。送検に至らなかったケースも含め、厚労省当局が把握する労災隠しの実態が明らかになったのは初めて。厚生労働省の甘い対応が労災隠しを助長しているとの批判も出ている。
労災問題に取り組む「関西労働者安全センター」(大阪市)の情報公開請求に、厚労省が一部開示した。労災隠しは、労災保険の給付が受けられないなど被災労働者の不利益につながる。一方で、事業主には「無事故記録」のノルマがあったり、労災事故で公共事業への入札資格に影響するなどの事情から、労災隠しが横行する背景がある。
開示された資料によると、90年に把握した数は88件(うち書類送検38件)。これに対し、99〜00年は419件(同165件)で、内訳は労災報告の未提出が328件、虚偽報告が91件だった。01年の送検件数は126件と急増傾向を示していた。
6割を送検していないことについて、厚労省労働基準局は「意図的とは考えられない場合などには、警告などの行政指導にとどめているケースがある」などと説明している。
これに対し、元労働基準監督署長の井上浩さんは「労災発生の報告義務はほとんどの事業所が知っているはずで、労基署が把握した労災隠しは、意図的だったと判断すべきだ。警告にとどめたものも、原則としてすべて書類送検すべきだ」と批判している。 【大島秀利】
[毎日新聞12月21日] ( 2002-12-21-18:53 )