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(1) 「メロンは将軍様の大好物」
万景峰号の送金の手口
≪メロン≫とは、すなわち現金を指す。
朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)を頂点とする在日各組織から、毎年、金正日総書記への贈答品として大量の高級メロンが北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に送られる。
そうしたメロンを詰めた段ボールの底には、1万円札がぎっしり敷きつめられているのである――。
北朝鮮の元山(ウォンサン)と新潟の間を往復する大型貨客船『万景峰(マンギョンボン)号』(9672トン)は、年の瀬が近づく12月から翌年1〜2月にかけての日本海が荒れる時期、本国に向かう在日朝鮮学校の修学旅行生など旅行客がいなくなると、貨物専用船に変わる。
本誌は、在日組織の複数の幹部の内部証言をもとに、万景峰号に積み込まれる食糧や日用品、家電製品などの貨物に隠されて多額の現金が北朝鮮に不正送金されている実態を報じた。
在日組織の金融部門幹部に何度目かの取材を行なった時に、ある人物を紹介された。
「金正日の大好物がメロンだというのを知ってますか?」
万景峰号の積み込み作業に直接かかわったというその人物はそう切り出し、新潟港での作業は独特の符丁やルールがあると、≪現金輸送船≫の知られざる実態を明かした。
「現金の輸送には主にメロンが使われます。厳重に梱包した1万円札の束を高級メロンの桐箱に入れ、本物のメロンと混ぜて段ボールに詰める。他の貨物は新潟港にある在日組織の倉庫に保管されていますが、メロンだけは船積み当日、別の場所から運ぶ。クレーンによる積み込み作業の際には、現場の担当者が、『メロンは傷みやすいから注意しろ』と声をかける。それが合い言葉で、万景峰の乗組員にも将軍様の現金だとわかる」
もちろん、本物のメロンの方も北朝鮮の庶民の口に入ることは絶対にない。外国からの賓客や在日組織の最高幹部らが本国を訪問した際に、金正日総書記からの「歓迎のしるし」として出されるという。
ピーク時には万景峰号の1往復で数十億円単位の現金が運ばれていたとされるが、この数年は有力な資金源である朝銀の相次ぐ破綻で送金金額が大きく減り、
「在日組織の資金調達担当幹部の間では、『今年もメロンが不作だ』といってため息をつき合っている」
そう証言を締めくくった。
万景峰号は現金だけではなく、ミサイル開発に必要な電子部品などの≪軍事物資≫を北朝鮮に運ぶ役割も担ってきた。その詳細は後述するが、本誌報道をきっかけに、日本政府がこれまで万景峰号の入港を認め、外国為替管理法をかいくぐって北朝鮮に金や軍事技術が流出するのを事実上黙認してきたことに批判が強まっている。
万景峰号が前回入港した際(02年11月)、外務省の外郭団体『日本外交協会』はコメなど40万食分の食糧を人道支援として送った。全国の自治体が災害に備えて保管していたコメを、賞味期限が迫って交換する際に引き取ったものだ。いわば国民の備蓄米である。
そのコメが飢餓に苦しむ北朝鮮国民の生命線の一部を支える側面はあるにしても、日朝間で拉致被害者と家族の救出交渉が暗礁に乗りあげている折も折、カネも軍事物資も食糧も、北朝鮮に送られるままに放置してきた政府の責任は重い。そのことが、たいへんな事態を招いたからだ。
(2) 日本国内に「工作員養成機関」
金正日総書記が在日組織に出した指令の中で最も重要とされているのが、
<軍事利用可能な日本の技術を盗め>――というものだ。
金総書記が在日組織に送金指令≪9月マルスム≫(※)を出したのは86年9月だったが、その2年後の88年から、核開発に不可欠の化学薬品が大量に北朝鮮に輸出されるようになった。
在日組織では、資金づくりを担当する金融部門より、技術部門の方がより秘密性が強い。とりわけ軍事物資や技術の調達に関する指示は、本国の人民軍直轄機関から在日組織の技術部門に直接出されるため、総連の最高幹部クラスでも知らないことが多い。
在日組織は日本企業から“軍事技術”を盗むための工作員、いわば≪産業スパイ≫を日本国内で養成する機関をひそかに設立した。
中堅幹部の証言から、工作員がどうやって養成されるのかを追った。
総連傘下の『朝鮮大学校』は、在日朝鮮人組織が子弟の教育のために設立した各種学校で、出身者は超エリートとして組織の各部門に配属される。金日成思想=主体思想による徹底した民族教育が行なわれ、政治経済学部を頂点に、経営学部、理数学部、外国語学部、師範学部などがある。
「朝鮮大学校では軍事訓練とか諜報活動とか、そんな教育は一切ありません。主体思想が柱で、金日成大元帥と金正日将軍父子への忠誠心を叩き込まれます。進路が分かれるのは卒業の時です。卒業前に全員が『総括』を行なう。といっても、日本の過激派のやったリンチではありません。金日成父子にどれだけの恩を受け、いかに祖国に忠誠を誓っているかを文書で提出させられる。その際、今後の進路、就職だけではなく、生涯を組織に委託すると宣言させられる。そのうえで、政治経済学部の出身者は総連本部の専任職員、経営学部なら朝銀や各地の商工会の職員、師範学部は朝鮮学校の先生などと振り分けられます。原則として本人の希望は通らない」
それら朝鮮大学校出身のエリートの中から、特に優秀で組織への忠誠心が強いごく少数の学生が選抜され、特別の任務を帯びる。
≪工作員養成コース≫に進むのである。
家族や親戚を丸ごと組織の中に取り込まれているため、決して指示には逆らえない。
※9月マルスム/金正日総書記が朝鮮総連に対し、積極的に営利事業を展開して収益を北朝鮮に寄付するよう求めた極秘指令。「マルスム」とは朝鮮語で「お言葉」という意味だが、在日組織においては<偉大なる首領・金日成同志と親愛なる指導者・金正日将軍の教え>という意味で用いられる
3) 北指令「特殊電子部品を入手せよ」
在日組織では、日本や韓国に対する工作を≪革命活動≫と呼んでいる。
在日の若い学生たちが、祖国の統一と発展を夢見て、金正日総書記の命じるままにアンダーグラウンドの世界に踏み込まされる現実はあまりに残酷である。
工作員には2種類ある。
「荒っぽい任務が必要な工作員は高校生を中心とする青年同盟の中から闘争心があり、忠誠心の強い生徒を選び、空手などの武道で鍛える。彼らは主として裏ルートのカネ集めや、対南工作、つまり韓国の情報収集活動を担うことが多い」(技術部門の中堅幹部)
もう一つが、理工系エリートたちを対象とした≪産業スパイ≫養成課程だ。北朝鮮の核やミサイル開発を陰で支えてきた工作員たちである。
具体的にどんな任務が与えられたのか。在日組織で技術輸出の窓口となってきた人物に接触することができた。
「朝鮮大学校を卒業後、総連傘下のコンピュータ関係の会社に就職するように指示されました。規模は大きくはないが、大手のコンピュータメーカーと取引があります。会社の商売は決して違法なものではありません。ただし、通常の仕事とは別に、組織から機械制御関係のテーマを与えられ、各メーカーの能力、ソフトの優劣などを調査し、定期的にリポートを提出しなければならない。あるコンピュータメーカーに行った際、社外秘の資料を見せてもらうことができたが、当然、コピーは厳禁でした。その時は、内容を丸暗記して、戻るとすぐにリポートにまとめた」
ある電子部品の密輸出にもかかわったという。
「私は制御システムの理論やソフト面を担当させられていましたが、ある時、特殊な電子部品が手に入らないかと組織から連絡を受けた。勤めていた会社の機械と関連がある部品だったので、メーカーに頼んで『機械の調子が悪いから新しい部品のサンプルを持ってきてほしい』と注文し、そのまま組織に渡した。ミサイル技術に転用可能で、正規ルートでは本国に輸出できないものでした」
4) 日本人研究者を買収して送り込む
北朝鮮の≪産業スパイ≫の活動範囲は広い。一見、軍事とは何の関係もないように思える食品加工分野や土木・建築分野でも、情報収集活動が行なわれている。
そうした工作員への指導、養成を担当しているのが在日の非公然組織『科学者協会』である。その存在が明らかになるのは初めてだ。
どんな組織なのか。前出の技術部門幹部の証言だ。
「朝鮮大学校では理科系の学部は少ないし、学問的水準も高いとはいえません。そこで、在日同胞の中で日本の理工系大学出身者や大学の研究者をスカウトして、調査研究部門をつくった。協会は、例えば機械、コンピュータ、建築や土木工学、化学など各分野に分かれている。祖国はあらゆる技術が遅れています。耐震構造の高層ビルを建てる建設技術、北で獲れる魚やカニを輸出するための冷凍保管と食品加工など、広く技術を得るためにつくられた。そもそもは祖国の民生技術の発展を目的としていた」
ところが、金正日指令で北朝鮮が核・ミサイル開発を中心に軍事技術の強化に力を入れ始めると、科学者協会の役割も軍事技術の習得に重点が置かれるようになった。
「ミサイルを飛ばすには、燃料の研究から姿勢制御、材料工学など多くの先端技術が必要です。燃料の再処理や原子力発電所の運用も同じ。そこで、企業などに潜入させた工作員に必要な技術や情報を習得させ、リポートにして提出させてきた。それでも、核やミサイル開発の中核となる技術については末端の工作員にはつかめない。そういう場合、在日同胞でなくても、日本の先端企業や研究所の研究者の協力を求める。大金を払って密かに祖国に入国してもらい、技術指導を頼んだケースもある」
北朝鮮では、核やミサイルを開発すると同時に、軍事関連施設を地下に建設し、首都・平壌の地下要塞化にも取り組んでいる。
「地下工場の建設には土木技術がいる。チルド食品のような加工技術も軍隊の食糧に応用できる。だから日本で一定の技術を身につけた在日同胞には、帰国命令が出ることがある。万景峰号で凱旋し、祖国では英雄扱いされる。しかし、その後がたいへんです。どんなに日本で勉強しても、祖国では機械や資材ばかりか電力も不足して思うように技術を生かせない。日本に比べると生活ははるかに苦しい。それでも、二度と日本に戻ってこれないことが多い。そうしたエリートは裕福な在日同胞の子弟が多いから、いってみれば人質にされるのです」
万景峰号では、カネや核・ミサイル開発のための物資に加えて、日本の先端技術を習得した≪産業スパイ≫まで北朝鮮に送っていた。