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■北朝鮮との約束は存在しない
■「北に電話もかけられない」
■「あの国は本当にウソつきだ」
「国交交渉の先には補償問題がある。数千億円という血税を北朝鮮は要求してくるんだ。金正日は現金を狙っている。北はそのカネでノドンを整備するかもしれないんだ。浮かれてる場合ではない」――幼稚で単調なパフォーマンスに終始する小泉首相に代わり、北朝鮮対策を一手に背負う男の「情報メモ」を公開。
北朝鮮との約束は存在しない
小泉純一郎首相と、北朝鮮の金正日総書記との電撃会談から2ヵ月あまり。日朝国交正常化交渉は、帰国した5人の拉致被害者と家族の永住帰国を大原則とする日本と、5人を戻すよう要求する北朝鮮側が対立し、暗礁に乗り上げたかに見える。過去の日本の外交交渉は、こうなるととたんに軟弱になり、譲歩するのが常だった。しかし、今回は違う。世論の後押しもあり、北朝鮮に対して強硬姿勢を崩していない。
その日本の“強腰外交”を強力なリーダーシップで引っ張っているのが、安倍晋三内閣官房副長官(48歳)である。もともとバリバリのタカ派として鳴らしてきた安倍氏は、日朝共同宣言に際し、小泉首相に対して、
「総書記から拉致したという確認と謝罪がない限り、署名は考え直したほうがいい」
と、進言していた。帰国を果たした拉致被害者を北朝鮮に戻さないとの政府方針を決めたのも安倍氏だ。国交正常化交渉を進めるために北朝鮮との信頼関係を重視するあまり、ともすれば妥協を図ろうとする外務省に対して、
「日本人である方々が、なぜ国交のない北朝鮮に戻らなければならないのか。そもそも誘拐犯のところに被害者を戻すという法があるのか。人質を前提にした交渉などあってはならない」
と、一喝。第三国で5人が家族と会うというアイディアも一蹴した。
安倍氏はいまや、北朝鮮問題に関して全権を掌握している。中山恭子内閣官房参与を拉致家族の窓口に任命したのも安倍氏なら、政府調査団の団長に斎木昭隆外務省アジア大洋州局参事官を起用したのも同氏だ。拉致議連会長の中川昭一代議士も、安倍氏に全面的に信頼を寄せている。
「われわれや拉致被害者家族、救う会はいけいけドンドンなので、考えを押し通そうとすると政府に潰される傾向にある。そんななかで、安倍官房副長官が政府内の調整に尽力してくれている。安倍氏を中心に、斎木参事官、中山参与、拉致被害者と家族、拉致議連の結束に乱れはなく、北朝鮮に対して強く対応できている」
拉致議連事務局長の平沢勝栄代議士も高く評価する。
「安倍さんは、揺れたりぶれるということがない。福田康夫官房長官―田中均アジア大洋州局長ラインは妥協の道を探ろうとしているが、安倍さんは基本路線を守り通そうとしている」
亀井静香前自民党政調会長も自民党関係者に、
「(父・安倍晋太郎外相の)秘書官のときはマンガばかり読んでいたが、本当に立派になった。清和会が代々受け継いできた国益を最重要視する外交を実行している。晋三君がいなければ、官邸はまた外務省の言いなりになっていた」
と、手放しで絶賛しているという。いまや安倍氏こそが、拉致問題完全解決のキーマンなのだ。安倍氏はどんな情報を持ち、どう考えているのか。北朝鮮国内の知られざる情報にまで触れた、安倍氏の最近のオフレコ情報をここに初めて公開する。
●北朝鮮への反論
11月23〜24日の2日間、田中均局長は、中国・大連で北朝鮮との秘密交渉を行った。家族の来日問題を打開するためだ。しかし、北側は、
「拉致問題で日本は約束を破った。金正日総書記は拉致を認めたのに、日本の世論はわれわれを誹謗中傷している。メンツを潰された。核開発は米国と話す問題で日本は関係ない。日本と国交正常化交渉を続けても意味はない」
と、恫喝まがいの言葉で反発。交渉の成果はなかった。そもそも、何の罪もない日本の民間人を拉致したのは北朝鮮に他ならない。にもかかわらずこう開き直るとは、北朝鮮の言い草は牽強付会けんきようふかいとしか言いようがない。この理不尽な言い訳に、安倍氏はオフレコでこう反論している。
「5人は、このまま日本にいて、子供たちを連れ戻してほしいと公式に表明している。前提が崩れた以上、北朝鮮が言っている約束は、そもそも存在しないんだ。北朝鮮はメンツがどうしたとか言っているが、そんなことは関係ない。そもそも北朝鮮の国内では、5人が日本に戻ったことを含めて一切、報道されていない。事実そのものが国内的には存在していないのに、一体誰に対してのメンツなのか。北朝鮮は、日本は約束違反だと言っているが、それなら、13歳の少女をさらったことをどう釈明するのか」
先日、元北朝鮮工作員・青山健煕けんき氏の国会証言が、与党と外務省の反対で潰れた。安倍氏は怒りを押さえ、こう皮肉を浴びせている。
「あれは外務省がダメだ。あれだけの話を聞かせてもらってポイ捨てでは、彼がかわいそうだ。ああいう人から情報を取ってきたことについては、外務省に、よくやったと言ってやりたいが、たとえば、日本に帰化させてやるとか、相応のカネを払ってやるべきだった。外務省の官房機密費は、なにもワインを買ったり、馬を買うためにあるんじゃない。彼(青山氏)はいまごろ、アメリカ大使館に行けばよかったと後悔しているだろう」
安倍氏のこうしたオフレコ発言は、大半が自宅前か、あるいはホテルの地下の小部屋での記者との懇談の席で飛び出る。結婚式の親族控え室のような小さな部屋に番記者だけを集めて開かれるのだ。その他にも、講演会場や、自民党議員の主催するパネルディスカッションなどに呼ばれた際に、オフレコと断って重要情報を漏らすこともある。
「あの国は本当にウソつきだ」
●北朝鮮情勢
表面的には強気の北朝鮮だが、安倍氏はその実態をどう見ているのか。
「イラクの動静や韓国の大統領選など、国際情勢を考えると、北朝鮮は今後ますます追い詰められるはずだ。北朝鮮はイラクと違ってイスラム教ではないから、支持する国もない。チュチェ思想なんて、北朝鮮しかないんだから、誰も相手にしない。もしベトナムがチュチェ思想だったら状況は変わっていたかもしれないが、このままでは孤立していくしかない」
北朝鮮は、核開発絡みの安全保障問題でアメリカを交渉相手にすると明言し、日本との国交正常化交渉から対米交渉に重心を移したように見える。ところが安倍氏は、そうした見方を否定する。
「アメリカの北に対する態度は厳しいままで、まったく変わっていない。だいたいアメリカの政府関係者は、北朝鮮があと5年間、現状維持できるとは誰も考えていない。アメリカは北と対話しない。そうしたら、北朝鮮にとっては日本しかないんだよ。北朝鮮が、日本との国交正常化交渉で、今のままの姿勢でいられるとは、誰も思っていない」
こうした読みが、安倍氏の強腰の裏付けにもなっている。北朝鮮の国内事情が相当厳しいという情報も、安倍氏のもとに入っているようだ。
「(帰国した)5人と話したら、北朝鮮国内の現状について、いろいろと教えてくれた。中身は言えないけれども、あの国は本当にウソつきの国だよ。向こうでの5人の生活は、日朝首脳会談の前から、急に食べ物がよくなったらしい」
日本との交渉を前に、金正日が5人を懐柔しようとしたということなのか。
●拉致被害者に対する心配
彼らにとっては、いまだに公式の席で発言できないこともあるだろう。安倍氏は心の面を心配する。
「5人のケアが大切だ。彼らは相当北朝鮮に対して恐怖心を持っている。内心ではもう戻りたくないと思っている。もし戻ったら、二度と帰って来れないという思いがあるからだ。実際、北朝鮮の黄虎男フアンホナム(日本局長)が、北京で日本の関係者に、『5人がこっちに戻ったら、日本に帰すつもりはない』と言ったらしい。
それだけではない。彼らは殺されるかもしれないという恐怖心を持っている。もしかして、過去に、目の前で次々に人が殺されるのを見てきたんじゃないか。田中局長の主張を聞き入れて向こうに戻さなくて、本当によかった。
一時は僕も、5人と一緒に北朝鮮に行こうかと考えた。むろん、僕は付き添って行くのにやぶさかではない。しかし、もし向こうに行けば、北はあらゆる手段を使って、僕と5人を引き離そうとするだろう。その上で5人に脅しをかけて、言いなりにさせる。それがわかっているから、自分も5人も北朝鮮に行くことはありえない」
5人が心配しているのは向こうに残してきた家族だけではないという。
「日本にいても、ある日突然、工作員に殺されるかもしれないという恐怖を感じている。だから『北に戻りたくない』と、はっきり言うことができないんだ。もしその発言が伝わったら、どんな目にあうかわからないと、本気で怖がっている。向こうにいるときは、『いつでも配給を止めるぞ』などと脅されていたようだ。北朝鮮問題のエキスパートとされる人たちが、『本人の意思を大切に』なんて言っているが、全然わかっていない。意思なんか明らかにできないほど脅されているんだ。
マスコミも勝手に被害者の気持ちを推測して、北朝鮮に戻りたがっているなどと無責任なことを書いたり、喋ったりしている。意思はどうかと聞かれるのが、本人にとっても一番辛いことなんだ。5人が自由な意思を表明できる環境を、国の責任で整える必要がある」
相手は拉致を認めながら居直る犯罪国家だけに、何をやるかわからない。真の恐怖は、拉致された被害者にしかわからないだろう。政府と国民が一丸となって、彼らを支援していかなければならないのは、当然のことである。