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フセイン大統領の長男に提供、ヤフーのアカウントとMSのパスポート
Brian McWilliams
2002年11月11日 2:00am PT 米国務省によると、イラクのサダム・フセイン大統領の長男、ウダイ・サダム・フセイン氏(38歳)は、殺人者で強姦魔で拷問人で密輸犯だという。また、殺しの脅迫電子メールを送付したことでも知られている。
それならなぜ、ウダイ氏に対して米ヤフー社は無料の電子メールアカウントを提供し、米マイクロソフト社は『ドット・ネット』(.NET)の『パスポート』を発行したのか。
ウダイ氏が運営するイラクの国営日刊紙『バビル』のウェブサイトでは、訪問者に対して、『udaysaddamhussein@yahoo.com』宛てにメールを出せば社主と連絡を取れると伝えている。
米財務省によると、ウダイ氏に電子メールサービスを提供するというヤフー社の行為は、米国のイラクに対する貿易制裁措置に反している可能性があるという。財務省は海外資産管理室(OFAC)を通じてイラクに対する貿易制裁を実施している。
財務省は「無料アカウントであっても、イラク在住者にサービスを提供するのは米国の法律に違反している。プロバイダーはこのアカウントへのサービスを打ち切るべきだ」と述べ、米国の企業がイラクに対して、特に認可された食糧や医薬品以外の「物品、技術、サービス」を輸出することは、1990年の大統領命令で禁止されていると指摘した。
ヤフー社の関係者は自社のプライバシー方針を理由に、ウダイ氏の名前で登録されている電子メールアカウントに関するコメントを拒否した。同社は「米国の貿易法を理解して遵守している」し、求められれば当局にも協力すると述べた。
しかし米国の情報当局は、問題のアドレスを閉鎖させずに、このアカウントを監視していることは「ほぼ間違いない」と、米中央情報局(CIA)の元局員であり、サイバー防衛のシンクタンク『OSSネット』の創設者でもあるロバート・デビッド・スティール氏は述べた。
「おそらく米国政府はこのアカウントのすべてのメールを読んでいて、ウダイ氏がこの電子メールを持っていることを非常に喜ばしく思っているだろう」とスティール氏は述べた。
ウダイ氏は父親同様、ホワイトハウスから標的と考えられていることは間違いない。国務省のウェブサイトにあるウダイ氏のプロフィールには、同氏は「殺人や拷問、成人女性や少女の強姦といったきわめて暴力的な行為の経歴」を持つと書かれている。またウダイ氏は、「国連の制裁に反するイラクの密輸や、違法な金融取引に関係している」とも書かれている。
『udaysaddamhussein@yahoo.com』にメッセージを送付したが、返答は得られなかった。
伝えられるところによると、ウダイ氏は昨年、他のメールアドレスを使ってイギリスのジャーナリストに死の脅迫メールを送付したという。クルド人とクルディスタンのためのニュースサイト『カーディッシュメディア・コム』(KurdishMedia.com)の記事によると、ウダイ氏の署名つきのメッセージが『babil@uruklink.net』から記者のR・M・アーマド氏に送りつけられ、「われわれはおまえの現在の居場所をいつでも突き止められる」し、「われらの勇敢な(若い)兵士が、こちらが決めた時間と場所で、おまえのような人間を消すこともできる」と警告した。
カーディッシュメディア・コムの創設メンバーへの電子メールによるインタビュー依頼には、返事がこなかったし、サイトに記載されていた電話番号は現在使われていなかった。
今年10月、ウダイ氏のbabil@uruklink.netアカウントには、父親のアカウントと同じセキュリティー問題がある(日本語版記事)ことがわかった。パスワードが簡単に推測できてしまうのだ。フセイン大統領のアドレス『press@uruklink.net』と同様、ウダイ氏のバビルの受信箱も、アカウント名と同じ5文字のパスワードを入れれば読みとれてしまう。
イラク政府が管理するインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が使用するドメイン、『ウルクリンク・ネット』(Uruklink.net)[ウルクはイラクの地に栄えた古代シュメールの都市名]の登録記録には、メールアドレスとして『ama_72@yahoo.com』と記載されている。
だが、フセイン大統領のウルクリンク・アカウントとは違って、ウダイ氏の受信箱には、ウイルスやスパムメール、宣伝メール以外にはほとんど入っていなかった。
バビルの受信箱に入っていたのは、Babil@Uruklink.netのドット・ネットのパスポート登録が完了したことを通知するマイクロソフト社からの10月1日付けの確認メールだった。パスポートはマイクロソフト社のオンライン認証用電子財布システムだ。
マイクロソフト社ではBabil@Uruklink.netへのパスポート発行についてコメントしなかったが、同社はすべての貿易法を遵守していると述べた。
OSSネットのスティール氏は、「多くのアラブ人が、米国情報機関の大部分は、サイバースペースでは無能だと考えていて」、イラクに関する情報を収集しようとする現在の米国政府の努力を過小評価していると述べた。
結局、ウダイ氏は自分のアカウントが監視されているとは思っていないだろうと、スティール氏は述べた。
ヤフー社のアカウントは「それほど価値がなく」、米国のテロリストを追跡する当局にとって豊富な情報源とはならないようだと、スティール氏は続けた。電話の盗聴と同じで、電子メールを監視しても「得るものは何もない」のだ。
[日本語版:天野美保/小林理子]
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20021113207.html