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【ニューヨーク12日=夕刊フジ特電】
国連安保理のイラクに対する大量破壊兵器査察決議で、緊張が一気に高まるなか、イラクがサリンやVXガスといった神経ガスの治療薬を、トルコの企業に大量発注していたことが分かった。イラク国会は国連決議の拒否を採択し、フセイン大統領に最終決定を一任。同大統領は受諾する方向ながら、査察が不十分なら、米軍による空爆、地上戦が即実行に移される。今回の治療薬は、それを見越したフセインが、神経ガスを使う捨て身の作戦に出るという示唆なのか。
イラクの神経ガス治療薬の大量発注は、ニューヨーク・タイムズ(電子版)が報じた。
同紙によると、イラクが発注したのは「アトロピン」なる薬品。アトロピンは心臓まひ患者の治療などに使われるが、サリンやVXガスの解毒剤としても使われる。
発注されたアトロピンは、100万回の投与が可能な分量だが、通常の心臓まひの治療などで、これほど大量に使用されることはほとんどない。注射器も発注されたことを考慮すると、「イラクが持つBNC兵器のうち、Cの化学兵器、つまりサリンなどの神経ガスを実戦で使用することが考えられる」(米政府筋)。
こうした神経ガスは、呼吸はもちろん、皮膚についただけでも死に至るとされる。
フセイン大統領が査察を受け入れたとしても、米側が満足した結果を得ることができなければ、ブッシュ政権が開戦を決断するのは必至。米軍との戦いに突入すれば、フセイン大統領が神経ガスを使った、“捨て身”の作戦に出る可能性は捨て切れない。
その場合、防護服などを着る必要が生じるが、風向きなどの条件を勘案すると、米軍兵士だけでなく、イラク軍兵士にも甚大な被害が出ることが容易に想像される。このため、米政府筋は「今回の解毒剤の大量発注は、自国兵士の治療用ではないか」とみる。
それでも、一般市民や周辺諸国に甚大な影響が出ることが考えられ、“アラブの大義”をよりどころに、イラクが捨て身になったときの被害の大きさは計り知れない。
英国際戦略問題研究所の9月の発表によると、イラクはサリンとVXガスなど、各200−300トン分の先駆物質を保持。民間施設では数カ月で化学兵器の製造再開が可能だという。
イラク国会の国連決議拒否採択は、米国では「芝居に過ぎない」(マコーミック米国家安全保障会議報道官)とみられ、米国への脅しとイラク国民向けのポーズとの見方が支配的だ。今回の治療薬発注も「脅し」と見る向きもある。
いずれにせよ、ブッシュ大統領は「重要なのは、国会ではなく、フセインの発言だ」としており、Xデーは着々と迫っている。