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11/11 16:32 占拠事件で強まる差別 ロ経済にチェチェン系浸透 外信49
共同
ロシア南部チェチェン共和国の独立派イスラム武装勢力によるモ
スクワの劇場占拠事件は、チェチェン問題の深刻さを世界にあらた
めて示した。モスクワなど各地では事件直後から、共和国を離れ定
住しているチェチェン人に対する差別が一層露骨になっている。一
方でチェチェン系実業家らはロシア経済に浸透、ネットワークを広
げている。
「占拠事件の後、モスクワで大勢のチェチェン人が拘束された。
たばこも酒もやらない十八歳の私のおいも、ポケットの中に○・○
一グラムのヘロインが入っていたとして捕まった。警察官がポケッ
トにヘロインを放り込んで拘束したのだ」
モスクワ市内の質素なアパート。ロシアからの独立を訴え続けて
いるチェチェン人詩人ムサ・ゲシャエフさん(62)が訴えた。
妻のファティマさん(43)は自宅で育てている末の二歳半の息
子エリスハン君を見詰めながら、保育園でも「チェチェン人の子供
はいじめの対象」と顔を曇らせる。チェチェン人というだけで就職
もままならず、大学を卒業した二十四歳の長男は仕事が見つからな
いままだ。
ロシア政府によると、チェチェン共和国を除くロシア全土に散ら
ばるチェチェン人は約五十万人。人口一千万人以上のモスクワに住
むチェチェン人は約二十五万人とされるが、実際はもっと多いとみ
られる。
ロシアの人権団体「メモリアル」は、事件後から「チェチェン人
住宅への令状のない家宅捜索や身体検査が頻発、指紋採取、顔写真
撮影などが強要されるケースが増えた」と、警察による人権侵害を
指摘する。
ゲシャエフさんのおいのケース同様、身体検査や捜索などの際、
警官が意図的に麻薬や武器を現場に置き、拘束の口実にしている事
例も珍しくないという。
学校で教師が転校してきたチェチェン人の少女を「あなた方は知
らなければいけないことですが、チェチェン人です」とクラスに紹
介した事例もあった。
一方で、民間シンクタンク「ゴルバチョフ基金」のソロベイ研究
員は、チェチェン人社会が経済・金融界に「大きな影響を持ってい
る」と指摘。差別の中で暮らすチェチェン人の結束は強い。
米系ハンバーガーチェーン、マクドナルド社のロシア子会社の社
長ハズブラトフ氏もチェチェン人。モスクワ最大の地下ショッピン
グセンター、石油会社など実業界中枢にチェチェン出身者が名を連
ねる。
また武装勢力の武器の大半はロシア製で、ロシア軍内部からの横
流しというのは半ば公然の秘密だ。
同研究員は「米当局の見方」として、武装勢力の資金源の70%
はロシア国内と指摘。チェチェン独立派を支えているのはロシア経
済に深く浸透した「チェチェン・マネー」のようだ。
チェチェン人差別、警察の不当捜査、ロシア軍からの武器流出―
。チェチェン紛争はロシア社会の病理を映し出している。(モスク
ワ共同=及川仁)
(了) 021111 1632
[2002-11-11-16:32]
11/11 16:53 「祖国」の独立夢見て支援 トルコのチェチェン系社 外信50
欧州とアジアにまたがるトルコ。チェチェン系を含め約六百万人
のカフカス系住民が暮らしている。十八世紀以来のカフカス戦争や
ロシア革命を逃れてきた人々の子孫だ。彼らは「祖国」の独立を夢
見て、チェチェン人への支援活動を展開している。
イスタンブールに拠点を置き、チェチェン人難民らの救済活動を
する「カフカス・チェチェン連帯・文化協会」。協会副会長のムク
テディル・イルハン弁護士は、モスクワの劇場占拠事件を「テロ」
と指摘しながらも、背景にはロシアによるチェチェン人に対する「
抑圧」があると強調する。
一八六五年に祖先がトルコに移住したというイルハン氏は「祖国
」を訪れたことはないが、代々受け継いできたチェチェン語も話す
。チェチェン独立派政府発行の自らのパスポートを見せながら「百
四十年間の闘争のためにも独立しなければならない」と言う。
一九九九年からの第二次紛争以降、トルコには千五百人のチェチ
ェン人が逃れてきた。同協会は難民への食料や医療費などの支援の
ほか、「祖国」の人材育成のため若者四十人をトルコの大学に入学
させ、学費を支給してきた。
活動費はチェチェン系住民や他のトルコ人から寄せられ、昨年は
二十万ドル(約二千四百万円)集まった。独立派武装勢力への支援
についても「お金があれば、すぐにでもする」とイルハン氏。
トルコにはチェチェン、カフカス系の団体が約八十ある。九一年
に独立を宣言した故ドダエフ大統領など、チェチェンゆかりの名前
を付けた通りや公園も多い。国民の大半がチェチェン人と同じイス
ラム教徒で、カフカス系住民も多いことが背景にある。
劇場占拠事件で犯人側がトルコへ電話連絡を取っていたとも伝え
られ、ロシア政府はトルコ政府に、イルハン氏の協会を含め計十七
団体を閉鎖するよう要請してきた。だがトルコ政府は公に登録され
たこれらの団体に閉鎖命令を出していない。
トルコでも、チェチェン系武装勢力がホテルを占拠するなどの事
件を起こしてきたが「トルコ国民に危害を加えることが彼らの目的
ではないと知っており、取り締まりも甘くなりがち」(イスタンブ
ールの外交筋)だ。(イスタンブール共同=折坂浩史)
(了) 021111 1652
[2002-11-11-16:53]
11/11 16:43 チェチェン人とは 外信51
チェチェン人 古来カフカス地方の山岳地帯に居住する民族で、
16世紀末イスラム教受容が始まり、19世紀前半には支配的宗教
に。カフカス支配に乗り出した帝政ロシアにチェチェン人ら諸民族
が抵抗した18世紀以来のカフカス戦争を経て、居住地域が185
9年、帝政ロシアに併合。第2次大戦中、スターリン政権はナチス
・ドイツに協力したとしてチェチェン人を中央アジアなどに強制移
住、多数が死亡した。ソ連体制下でイングーシ人とチェチェン・イ
ングーシ共和国を構成していたが、ソ連崩壊直前の1991年11
月、共和国のチェチェン人ドダエフ大統領が独立を主張し、94年
12月ロシア連邦軍が軍事介入(第1次チェチェン紛争)、96年
8月停戦。99年9月再び連邦軍が進攻し第2次紛争となった。(
モスクワ共同)
(了) 021111 1642
[2002-11-11-16:43]