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【エルサレム海保真人】イスラエルのシャロン連立政権の一翼をなす労働党が政権を離脱する可能性が29日、濃厚となった。同党は30日に開かれる国会の03年度政府予算案の承認採決で反対に回り、党首のベンエリエゼル国防相、ペレス外相ら閣僚6人が辞表を提出する方針という。シャロン首相は引き止めない意向で、発足以来1年半余り、安泰だった政権は本格的な危機を迎えそうだ。
労働党離脱に至った場合、シャロン首相は新たに極右政党を与党に加えて連立を存続させたい方針だ。だが、失敗すれば、早期総選挙をも辞さない構えという。
労働党はもともとパレスチナ自治政府との和平推進派だったが、昨年3月のシャロン政権発足以来、シャロン首相が率いる右派政党リクードと結託、自爆テロを頻発させるパレスチナ過激派掃討
を掲げた軍事作戦を後押してきた。ただ、政権内で一定の歯止めとなってきたことから、離脱した場合、シャロン首相の右傾化に歯止めがきかなくなる恐れがある。
問題となった予算案は、ユダヤ人入植地へ充てられる予定の19億シェケル(4億ドル)のうち7億シェケルについて労働党が「社会福祉に充てよ」と要求。同党は27日の党中央委で、要求が通らない場合は反対し、政権離脱すると決めた。首相側との交渉は29日午後現在進展していない。
「挙国一致内閣」を掲げてきたシャロン政権だが、労働党が離脱した場合、与党勢力は国会120議席のうち80議席から一気に55議席と過半数割れの危機に陥る。当面は極右勢力の7議席を連立に取り込み、過半数を維持する構えだ。
極右勢力取り込みに失敗した場合、来春にも前倒し総選挙となる見通しで、パレスチナ衝突激化を受けた世論の右傾化を背景に、リクードの圧勝は確実とみられる。だが、シャロン首相は総選挙前に行われる党首選で、政界への復活を期すライバルのネタニヤフ元首相に党首の座を奪われ、首相続投を阻まれる可能性もあり、先行きは予断を許さない。