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10/29 15:49 進むかクルド人の人権改善 トルコ、EU加盟へ法改 外信49
クルド人人口が世界で最も多いトルコで八月、念願の欧州連合(
EU)加盟を目指し、クルド語学習の許可や死刑廃止など、人権問
題の改善を図る法案が一括成立した。だが、分離独立を求めるクル
ド人過激派との抗争が十五年以上続いてきただけに、複雑な感情も
漂う。EUの求める人権水準に到達するのは容易な道のりではなさ
そうだ。
「EU加盟の条件を満たしたと確信している」。十月上旬、首都
アンカラで共同通信などと会見したトルコのギュレル副首相兼外相
はこう強調した。
トルコは一九九九年十二月、正式にEUの加盟候補国に認められ
たが、クルド人問題などで欧州各国が強く批判し、加盟交渉は開始
されずにいる。同法は、十二月のEU首脳会議で加盟交渉対象国に
「格上げ」されることを目指して「大慌てで強引に成立させた」(
外交筋)のが実情だ。
改善項目は(1)クルド語などによる学習の権利と放送の許可(
2)死刑制度の廃止(3)国家や政府、軍などへの批判に関する罰
則廃止―などで、エジェビット首相は「これでトルコは自由で民主
的な欧州国家になった」と胸を張った。
だが、非政府組織(NGO)トルコ人権協会の幹部でクルド人の
シャバン・ダヤナン氏は「人権改革はうわべだけ。問題は法律の制
定ではなく運用状況だ」と批判する。法案成立後も同協会には、集
会参加者が警官に暴行されたり、わが子にクルド語の名前を付けた
ため裁判所に呼び出されたなどの報告が相次いだ。
EU側は、クルド人などが母語による教育を受ける権利を求めて
いたが、実際に認められたのは民間の語学学校での学習の権利。「
国家の統一性などに反してはならない」との条件付きで、九九年以
降、沈静化しているクルド人独立派の武装闘争の再燃を警戒する内
容だった。
EU欧州委員会は十月上旬、加盟交渉に関する年次報告書を公表
、人権問題などを理由に時期尚早としてトルコとの交渉開始の時期
を明記しなかった。トルコ政府側は「欧州はクルド人問題をトルコ
への政治圧力に使っている」(政府職員)と強く反発している。
アンカラの外交筋は「トルコ政府は八○年代、クルド人はいない
と主張していた。それを考えると、飛躍的な変化なのだが、欧州側
が求める水準とはまだかなりのギャップがある」と述べ、EU加盟
の困難さを指摘している。(アンカラ共同=渕野新一)
(了) 021029 1549
[2002-10-29-15:49]
10/29 16:04 開設難しいが、希望失わず 語学学校のクルド人経営 外信52
トルコの人権問題の改善を図る法案の一括成立を受け、イスタン
ブールの語学学校が八月、トルコで初めてクルド語講座の開設を申
請して注目を浴びた。だが、二カ月後、教育省からの思わぬ通達で
、クルド人の学校経営者は開設断念に追い込まれた。
申請したのは「イングリッシュ・ファスト」の経営者ナジフ・ユ
ルゲン氏(53)。法案成立に「やっとトルコも民主化した。言語
が政治的なものではなく、文化的なものだと認められた」と喜び、
すぐに書類申請した。マスコミは大きく取り上げ、クルド語を知ら
ないクルド人の子供たちからの問い合わせもあった。
だが、ユルゲン氏は「クルド人だから申請したわけではない」と
強調。分離独立を求めて武装闘争を行うクルド労働者党(PKK)
にも批判的で「自分の子にはまずトルコ語、次に英語を覚えてほし
い。その次にクルド語を学びたいと思ったら、ここで学べばいいと
思った」と語る。
しかし、教育省は十月に突然、クルド語講座の開設には新しい事
務所と職員が必要との通達を出し、申請書類が返還された。「かな
りの投資が必要になった。採算が取れるかどうか分からない」と悔
しがるユルゲンさん。
「自由に開設させるほど、まだ官僚たちに準備ができていない。
クルド語だけ別組織にさせるのは、政府が調べやすくするためだ」
と不満を漏らすが、それでも「政府の規則はいずれ変わるだろう」
と希望を失っていない。
将来は欧州の大学や研究所のように、トルコでもクルド語などの
少数言語の研究が自由に行われ、文化的な背景も併せて教えられた
らいいと願っている。(アンカラ共同=渕野新一)
(了) 021029 1603
[2002-10-29-16:04]