現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
【ニューヨーク中島哲夫】米ホワイトハウスは12日、ブッシュ大統領が同日の国連演説でフセイン・イラク政権の脅威を訴える際、根拠として活用する文書を記者団に公開した。「欺まんと反抗の10年」のタイトルで全部で22ページ。フセイン政権による度重なる国連安保理決議の無視や、大量破壊兵器開発、国際テロ支援などの状況を詳述している。これを国際社会がどう判断するかが、対イラク軍事攻撃を含めた今後の展開を大きく左右することになる。
7項目で構成される文書のうち、特に重要なのは大量破壊兵器に関する部分。ブッシュ政権の強硬派はイラクの大量破壊兵器の脅威の深刻さを訴え、これを除去するために先制攻撃の必要性も主張している。これに反対する米国内や国際社会の見解の多くは「脅威の証拠」が不十分だとしてきたため、文書が列挙する内容が「証拠」と判断できるかどうかが焦点になる。
同文書は、例えばイラクから亡命した民間技術者の証言を引用し、この人物が昨年、化学兵器、生物兵器、核兵器の秘密施設20カ所を訪問したと指摘。イラク政府の契約書や、技術的な仕様書なども多数、実在するとしている。
また、すでに公表されている国連機関や米国防総省の報告を多数引用し、炭疽(たんそ)菌や口蹄疫(こうていえき)菌を含む生物兵器や化学兵器の開発・保有を「立証」しようとしている。
これまでのところ、最も説得力が弱かった核兵器開発の疑惑に関しては、今月9日に発表されたばかりの英国際戦略研究所(IISS)の報告が「イラクは核物質さえ入手できれば数カ月以内に原子爆弾を製造できる」と指摘していることなどを紹介。フセイン大統領が原子力分野の科学者としばしば面談している事実にも言及している。
●米のイラク報告書=要旨●
◇大量破壊兵器の開発
フセイン大統領は10年以上にわたって国連の査察を拒否し、大量破壊兵器の開発を続けている。<生物兵器>
一、イラクの亡命者は01年、化学、生物、核兵器を製造する20ヵ所の秘密工場を訪れたと証言した。
一、イラクは95年、高級幹部の亡命後、スカッドミサイルの弾頭用として、炭そ菌、ボツリヌス菌、アフラトキシンなど数千リットル菌の製造している事実をを認めた。
一、米国防省は01年、化学兵器や生物兵器を輸送できるジェット機の製造など武器製造計画を進めていると報告した。
<化学兵器>
一、イラクは1980年代、少なくとも10回にわたり、イランおよびクルド人に対しマスタードガスなどの化学兵器攻撃を行った。
一、国連イラク大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)によると、イラクはVX、サリン、マスタードなどの毒ガスの製造、貯蔵を続けている。
一、イラクは数トンに及ぶ化学物質、数千に及ぶ軍需品について何の説明もしていない。
一、イラクは化学兵器を装備していた少なくとも1500発のロケット弾および550発の砲弾を説明していない。
一、イラクは化学兵器の購入を求めており、化学兵器工場の操業を隠そうとしている。
◇核兵器
一、イラクは湾岸戦争前から核兵器を開発、現在も続けている。
一、英国際戦略研究所報告書によると、原料があれば数カ月以内に核兵器を作ることができる。
一、この14カ月間、ウラン濃縮するためと思われる数千の特別なアルミ管を手に入れようとした。
一、設計図や実験データなど過去の核開発に関する資料を公表しない。
一、核兵器を作るた専門知識や設備を持つ。
一、ここ2年間、フセイン大統領は核技術者に度々会って、核開発への興味を示している。
◇弾道ミサイル
一、国連決議687号が禁じている射程150キロ以上の弾道ミサイルを開発していると思われる。
一、UNSCOMによるとスカッド型のミサイルを保有している。
一、00年のバグダッド軍事パレードで、アルサムド型ミサイルが確認され、配備が推察される。
一、建設中の新しい発射台が長距離ミサイルの開発を示唆している。
一、UNSCOMが撤去した発射台を再建した。(毎日新聞)
[9月12日16時20分更新]