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来月にもイラク攻撃決断か−。11日で米中枢テロから1年を迎え、米ブッシュ政権の宿敵・フセイン政権打倒の動きが風雲急を告げる。米側はウサマ・ビンラーディンと関係するイラクの核開発疑惑を力説、11月の米大統領中間選挙を前に国民と国際社会の説得に躍起となる。ネックとなっていた政権内の穏健派と欧州の同盟国も態度を軟化させ、ブッシュ大統領が名指しした「悪の枢軸国」に対し、兵員10万人以上の配備を終え、強行突破に出る雲行きだ。
同時中枢テロから1年を前に、ラディン傘下のテロ組織「アル・カイーダ」による新たなテロに備え、米連邦捜査局(FBI)が出したテロ警戒情報に基づき、米国外でも超厳戒体制が続く。
イラク攻撃に動く米軍の主な拠点
首都ワシントン周辺では、演習も兼ねて地対空ミサイルが配備。海外でも、インドネシアの米大使館が閉鎖された。
この緊張を一気に高めるのが、「イラク攻撃間近」の観測である。
チェイニー副大統領は8日、米テレビに出演して「(イラクへの武力行使に踏み切るかは)ここ数週間以内に決まる」と大胆な発言を行った。
ラディンとの関係について、世界貿易センターへのテロを指揮したモハメド・アタ容疑者が事件の2、3カ月前、プラハでイラクの情報部員と会っていたとする一部報道を間接的に認めた。
そのうえで、イラクが既に2通りの核兵器を設計、1年ほどの間に核兵器の原料入手を何度も企てていた−といった衝撃的な事実を明かした。
この日は、ラムズフェルド国防長官ら政権内タカ派が相次いでテレビ出演。「同時テロが大量破壊兵器によるものだったら、(犠牲者は)3000人では済まない」と“広報活動”を展開した。
慎重派だったパウエル国務長官まで、10日から総会が開かれ、イラク問題が討議される国連について、「何かをすべきと感じるべき」と発言し、注目を浴びている。
「ラディンと大統領が少なくとも2回会い、資金提供した」。フセイン大統領の30年来の愛人だったという女性(54)が証言したとする衝撃的なニュースも流れた。
英研究機関の調査結果まで飛び込み、米国民の緊張は高まっている。
「イラクは炭疽(たんそ)菌など生物化学兵器の原材料を秘蔵している恐れが強い。核分裂物質を海外から調達できれば、数カ月で核爆弾製造可能」
ブッシュ大統領は既に米議会に対し、11月初めの中間選挙前にイラク攻撃を認める決議の採択を要請。12日の国連総会演説でイラクの危険性を国際社会に訴える。
日米軍事筋は「安保理に対し、国連の大量破壊兵器の期限つき査察受け入れをイラクに要求し、米国は否決されても武力行使を辞さない構えだ。国連手続きは単独行動への批判をかわすジェスチャー」と解説する。
「弟分」の英国以外は慎重姿勢が大勢を占めていた欧州の同盟国も、シラク・仏大統領が米紙のインタビューに「(イラク攻撃は)不可能ではない」と応じ、「やむなし」とのムードが漂う。
その一方で、軍事的な準備は着々と進む。
攻撃の足場となる中東では、カタールに新たな発進基地を建設。攻撃に難色を示すサウジアラビアから、主要な武器や兵力を移動させている。
「イラク周辺には常駐軍に加え、9・11後は秘密裏に援軍が集結している。既に10万人の兵力が配備され、軍事的には数週間以内で攻撃可能だ」(前出の日米軍事筋)
そのイラクも、応戦態勢を整えている。
米国が見積もるイラク地上軍は湾岸戦争時の3分の1の37万人。
米情報当局は「イラク軍の士気低下は著しい。クーデター未遂が何度も起きている。フセインは一部親衛隊を除き、バグダッドから遠ざけている」とみている。
圧倒的な軍事力にもかかわらず、米国にも“落とし穴”はある。
ロシア製スカッドミサイルが次々とパトリオットミサイルに撃ち落とされたように、フセイン大統領は湾岸戦争の教訓から米軍の圧倒的な軍事的優位を自覚している。
米紙の報道だと、アフガンでタリバンが山岳地帯でのゲリラ戦を試み、失敗したように、イラク軍はバグダッド周辺に地下基地を掘るなどし、「いざ血戦」となったら厄介な市街戦に持ち込む腹積もりだという。
そこで、米軍事専門家の間では、ハイテク戦での勝利は間違いないが、「米軍の大量犠牲は不可避」との見方が強い。
ブッシュ政権にとって、同時テロ後は国民の約8割が支持していたイラクへの軍事行動の支持率が最近、低下しているのが「頭痛のタネ」だ。
8日付ワシントン・ポスト紙の世論調査だと、「支持」は64%で、米軍の犠牲を懸念する声が強い。ブッシュ大統領の強硬姿勢のウラには複雑なお家事情が見える。
まずは7割を切った本人の支持率の低下。アフガン攻撃で最高の支持を受けた大統領は、戦争とは切っても切れない。
「戦時を強調してきたが、株安などで経済の先行き不透明に加え、チェイニー副大統領ら政権のスキャンダルが相次ぐ。自らの再選に影響しかねない中間選挙を前に、魔力を取り戻したいのだ」(米国務省関係者)
親米だったサウジアラビアと関係悪化や、ブッシュ大統領が「悪の枢軸国」と名指ししたイランの不穏な動きなど、中東情勢が悪化している。
こんな憶測も欧州の専門家の間で飛び交う。
「パレスチナ情勢も混迷し、中東諸国が『アラブの大義』に目覚め、イラクの核兵器入手で反米的になるのを恐れ、米国がイラク攻撃を足場に中東を流動化させ、各国に『真の親米政権』を樹立しようとしている」
複雑な思惑も絡み、米国の軍事行動は、いよいよ第2ラウンドに入ろうとしている。