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【ワシントン31日時事】
アフガニスタンのタリバン政権打倒を果たしたブッシュ米大統領は、イラクのフセイン政権転覆を「テロとの戦い」の第2段階の最大目標に据え、ミサイル増産態勢を強化するなど、イラク攻撃を視野に着々と準備を進めている。しかし、英国を除く同盟諸国にはイラク攻撃を支持する声はほとんどない上、国内でも慎重論が徐々に強まっており、大統領の思惑通りに事が進みそうな状況にはない。
チェイニー副大統領は29日の演説で、フセイン政権が「大量破壊兵器を保持・開発し、米国および同盟諸国に使用しようとしている」と強調、イラクが国連の査察を受け入れても、同政権打倒のため先制攻撃も辞さない考えを表明した。
ホワイトハウス当局者も「フセイン政権はテロを支援しており、査察だけではその脅威を除去できない」と指摘。「欧州諸国が求める査察受け入れによって、フセイン政権の延命を認めるべきではない」と主張した。
◇単独行動も辞さず
ただ、武力行使には、中ロ両国やアラブ諸国ばかりか同盟諸国にも反対意見が強い。ドイツのシュレーダー首相は、イラク攻撃に参加しない立場を明確にするとともに、米国がイラク政策の最優先課題を査察問題からフセイン大統領排除に変えたのは間違いだと批判。攻撃の際、米国が空軍基地の提供を期待するトルコやサウジアラビアも武力行使に反対している。
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演説する米大統領
米アーカンソー州リトルロックの高校で演説するブッシュ大統領(アメリカ・リトルロック)2002年8月29日撮影【AFP=時事】
こうした意見に配慮し、ブッシュ大統領は「イラク攻撃は未決定で、同盟諸国とも緊密に協議する」と繰り返し強調。しかし、ラムズフェルド国防長官は「(同盟国との)意見の一致よりも、正しい決定を行うことの方が重要だ」と述べた。
◇議会承認は不要
一方、米国内でも、イラク攻撃に伴う巨額の費用負担などを懸念、軍事力を行使する場合は議会の承認を求めるべきだとの意見が強まっている。
ブッシュ政権はこうした意見に対抗するため、法律顧問を動員、軍最高司令官としての憲法上の大統領権限や過去の議会決議を根拠に、武力行使決定に議会承認は不要との「お墨付き」を得た。
フセイン大統領が外交手段で政権を明け渡す可能性は低い。同盟諸国が反対する中、議会の承認も得ず攻撃に踏み切るのか。ブッシュ政権の「テロとの戦い」は、近く大きな岐路に立たされそうだ。(了)
[時事通信社]