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【ワシントン31日時事】
当地の有力シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)の国際安保問題専門家、ハーラン・ウルマン氏は30日、時事通信のインタビューに応じ、昨年米国を襲った同時テロの再発を防ぐには、テロの「根源」を断つべきだと述べ、第2次大戦直後に米国が欧州に対して行ったマーシャルプランのような、単なる経済援助を超えた大規模な支援を中東から南アジア地域にかけて行うべきだと主張した。
ウルマン氏は現在の対テロ戦争について、テロの原因を除去する戦いにはなっていないと批判。「テロの根源を断たなければ、いずれ(同時テロの容疑者)ウサマ・ビンラディン氏以上の人物が現れ、米国にさらに大きなダメージを与える」と警告。パキスタンや中東諸国で反米感情をあおる動きの中に若者が巻き込まれるのを防ぐため、経済はもちろん、教育や政治、思想など広範な分野で「過激主義」が国民の間に浸透しないような支援を、日本など各国の協力も得て工夫しなければならないと論じた。
近著「未完の任務」の中で、冷戦時代の国家安保体制から脱却すべきだと主張しているウルマン氏は「米ロなど従来の核保有国にインド、パキスタン、イスラエルの潜在的な核保有国を加えた新たな戦略的枠組みをつくり、核の安全管理に取り組むべきだ」と訴え、「私の最大の懸念は、パキスタンのムシャラフ政権が倒され、過激なイスラム政権が核兵器を保有することだ」と語った。
また、ブッシュ政権が準備しているイラク攻撃に関して、同氏は「政権内の一部の人々が考えているよりはるかに困難だ。一般市民の犠牲も多くなる」と予測。議会での「宣戦布告」宣言や国連での決議など、強力な国内および国際社会の後押しがなければ、「大きな政治的誤り」になると警鐘を鳴らした。
同時テロ以降、米国が置かれている現状について、ウルマン氏は「冷戦時代よりはるかに深刻かもしれない。米国史の中では19世紀半ばの南北戦争以来、最も危険な時期ではないか」と指摘。自由な社会を維持しながら、テロを封じ込めるには、国土安全保障省の設置だけでは不十分で、例えば、連邦捜査局(FBI)が担当する「犯罪捜査」と「対テロ対策」の2つの任務を分離するなど、抜本的な機構再編が必要だと語った。(了)
[時事通信社]