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★ 対イラク戦争、日本はどうする？★Newsweek Japan Online
イラクに先制攻撃をかけるべきかどうか、アメリカ国内では最近急速に慎重
論が高まっている。先週、元国務長官のキッシンジャー、ブッシュ元大統領の
安全保障担当補佐官だったスコウクロフトが相次いでイラクを先制攻撃すべき
ではないという論陣を張った。主な論点は、以下のようなものだ。
まずイラクが昨年のテロに関与したという明白な証拠はなく、同盟国の賛同
は得られそうもない。もし同盟国がアメリカから離反すれば、肝心の対テロ戦
争そのものが危うい。仮にフセイン政権を打倒できたとしても、その後の政権
構想がなく、アメリカ軍の駐留などコストがかかりすぎる。
ヨーロッパ諸国では、アメリカのイラク攻撃に反対する声も強い。とりわけ
ドイツのシュレーダー首相は、9月に総選挙を控えていることもあって、再三
にわたり慎重な姿勢を表明してきた。最新のニュースでは、もしアメリカがイ
ラクを攻撃しても、ドイツは資金も人員も出さないと表明したという。反対の
理由を簡単にいってしまえば、湾岸戦争とは違って、イラクへの先制攻撃には
「大義」がないということである。
そこに飛び込んできたのが、テロ組織アルカイダが化学兵器の実験を行って
いる模様をおさめたビデオが発見され、これに関してアメリカ政府高官はイラ
クの化学兵器開発施設を攻撃する可能性を示唆したというCNNのニュースであ
る。あまりにもタイミングのいい報道で、アメリカに反対する同盟諸国やアラ
ブの主要国への揺さぶりのように見えなくもない。
これほど対イラク戦争の可能性が取りざたされているにもかかわらず、日本
政府首脳が是か非かの立場を表明したことはない。湾岸戦争や対テロ戦争のと
きと同じように、アメリカが日本に対して協力を求めてくることは明らかだ。
しかも9月には小泉首相、川口外相とも訪米し、ブッシュ大統領やパウエル国
務長官と会談することになっている。そこでアメリカ政府は日本の考え方を問
い質してくるだろう。
ブッシュ大統領に協力するのかしないのかと問われたとき、わが小泉首相は
何と答えるつもりなのだろうか。ノーと言えるなら国民はほっとするだろう。
もしイエスなら、アメリカに答える前に国民を説得しなければならない。あい
まいな姿勢に終始すれば、外交の三流国であることを証明することになる。
（藤田）
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