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08/19 15:01 のぞき屋が見張る「安全」 政府奨励の密告社会へ 外信425
共同
経済、軍事、文化と圧倒的な優位を確立し、世界帝国を築いたと
いわれるアメリカ。米中枢同時テロ後、「敵か味方か」の二元論で
新秩序を描く米国の実像を報告する。
× ×
「三百万人のアラブ系のコミュニティーは、すべて監視されてい
る。白人たちはおれたちの中にテロリストが隠れていると疑ってい
るんだ」。首都ワシントンのエジプト移民、モハメド・ハミドさん
(42)は、アラブ系市民に対する人種的偏見に不満を漏らす。
米司法省は「テロリストは市民の中に」(アシュクロフト長官)
との考えから、アラブ系を中心に監視を進めてきた。政府当局者に
よると、個人商店やモスク(イスラム教寺院)など約五百のアラブ
系施設が監視対象となっている。
この監視を徹底させるのが、アシュクロフト司法長官が七月に構
想を明らかにした「TIPS(通報)作戦」だ。
全米を走る三百万のトラック運転手、郵便や宅配便の配達人や電
気、ガス、ケーブルテレビ会社の作業員など、一般家庭との接点を
持つ労働者を組織化し、「怪しい人物」を当局に知らせるシステム
だ。
全国に政府のスパイを張り巡らせるこの制度で、テロ捜査は格段
にやりやすくなる。八月とされていたTIPS作戦の正式発表は、
議会との調整でずれ込んでいるが、長官は実現に並々ならぬ決意を
示す。
人権団体「全米市民自由連合」のワシントン事務所長、ローラ・
マーフィー氏は「郵便配達人が『あの家にサウジアラビアから不審
な郵便物が届いた』と勝手に通報するのはプライバシーの重大な侵
害。政府が『のぞき屋』を奨励するやり方は自由を尊重する米国の
精神に反する」と怒りを隠さない。
同連合は、インターネットを通じて一般市民向けに「のぞき見を
許さない」と書かれたカードを配布、各家庭のドアに掲げるよう呼
び掛ける運動を続けている。
しかし、「(対テロ)市民部隊を組織しよう」とのブッシュ大統
領の呼び掛けに応じ、地域社会を自主的に監視する住民組織が今、
全米各地で次々とつくられている。
全米保安官協会のトーマス・ファウスト会長によると、その数は
八月現在で二千百に達した。
「近所の住民や配達人がよってたかってあなたの生活を監視する
。米国は近い将来、かつての共産主義国家のような『密告社会』に
なってしまう」。マーフィー氏の危ぐは真実味を帯びて聞こえる。
(ワシントン共同=近沢守康)
(了) 020819 1500
[2002-08-19-15:01]