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http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020808201.html
「全国民データベース」化が懸念される米国防総省のテロ防止データベース計画
Eliot Borin
2002年8月7日 2:00am PDT 昨年9月11日の同時多発テロ発生後に、もしウィンストン・チャーチルが生きていたら、テロ発生前の米国の諜報機関の働きに関して次のように述べたかもしれない――これほど多くの者がこれほど多くを知っていながら、これほど何もしなかったなどということはあってはならない。
米国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)は7日(米国時間)、『全情報認知』(TIA)システムの設計と構築に向けた契約の締結を開始する。
DARPAの構想では、TIAシステムはテロリストの情報につながる痕跡――手がかりは事前に入手されるが、正確な分析が行なわれるのは概して事件の後だ――を探知し、テロ発生前にそれらを解明する。DAPRAの情報認知局によると、この任務は「われわれの現行の諜報活動の基盤、および他の政府機関を超える」ものになるという。
TIAプログラムの責任者たちはまた、この任務が現行のテクノロジーよりも段階の進んだものになると考えている、と明かす。彼らが最も重要視するのは、科学、技術、システムにおいて革命的な前進を遂げること、そして「人間とマシンが複雑な問題に共同で取り組むことを可能にするような、協調と自動化と認知支援のテクノロジーの開発だ」
現在よりも優れたネズミ捕り――つまり、全く斬新なテロリスト捕獲システム――を作ることが至上命令であるため、TIAプログラムでは、契約を結ぶ可能性のある企業に対して公式に「基本的に既存技術の延長線上にある改善につながる研究」には一銭たりとも資金を投じないと申し渡されている。
計画の青写真によると、TIAが5年がかりで達成しようとする最終目的は、「情報の蓄積およびアクセス技術を根底から作り直すこと」だという。そして「データベースのサイズはもはや従来のものとは比較にならず、蓄積されアクセスされるデータ量は、ペタ(1000兆)バイト級の空前の規模になる」という。
ペタバイトの生のデータが、説明責任も不十分な状態で1つの機関に管理されるというのは、『電子フロンティア財団』(EFF)の上級専任弁護士であるリー・ティエン氏のような市民的自由を擁護する活動家にとっては、まさに頭の痛い問題だ。
「十分な保護と責任のない『情報監視』プログラムはいかなるものでも、その拡大には反対すべきだ」とティエン氏は言う。「このプログラムは、国民IDカードを作ろうとする試みと同様のもののようだ。人々は、それが身元を確認するシステムだと考えがちだが、実際それは追跡のためのシステムなのだ」
「TIAプログラムでは、クレジットカードから、雇用、医療、ISPに関する記録に至るまで、すべての情報を常時蓄積可能になる。市民が、自分の記録を誰が閲覧しているのかを知り、自分たちが記録を確かめ、修正できる条件が整わなければ、市民的自由にとって脅威となる」
「システムがいずれにおいても最悪の結果を招くことは避けなければならない。つまり、大量にあるほとんど無関係な情報が邪魔し、事前にテロ行為を予測することができず、反対に普通の市民やマーティン・ルーサー・キング牧師のような活動家を入念に監視するには最適、という事態だ」
まだ計画が始まったばかりだが、ティエン氏の懸念は広がっている。プログラムの予算はどの程度か、開発された技術を実際に使用するのは既存の諜報機関なのか新しい「スーパー・スパイ」機関なのか、今月行なわれる契約の対象はプログラムのどの部分なのか。プログラムに関するDARPAの発表はこうした内容には触れていない。
「DARPAのプロジェクトは、スピルバーグ監督の『マイノリティ・リポート』に登場する犯罪予知局の前提にそっくりだ」と、セキュリティー・コンサルタントで本も書いているリチャード・フォーノ氏言う。映画の中で犯罪予知局は、人々が犯罪におよぶ前に逮捕してしまう。
「私は凝り性だし、持っている2つの学位は国際関係に関するものだ。仮に突然私が、テロリズムや生物兵器戦争、現在の情勢に関する本を買いはじめたら、潜在的危険人物のレッテルを貼られるのだろうか?」
[日本語版:多々良和臣/岩坂 彰]