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【ニューヨーク上村幸治】パレスチナ自治区ジェニン難民キャンプで起きたイスラエル軍による住民虐殺疑惑に関し、国連事務局は1日、アナン事務総長の作成した報告書を公表した。報告書は事件に対する具体的な評価を避け、「虐殺」という言葉を使わなかった。国連事務局は「虐殺があったともなかったとも言わないということだ」と説明したが、イスラエルと米国はこの日「虐殺がなかったことが証明された」と評価する声明を発表し、報告書を政治的に利用する姿勢を示した。
報告書は、ジェニン事件の死者数について「パレスチナ当局は、500人以上が殺されたと主張しているが、これまでに明らかになった証拠では、証明されていない」と指摘した。
その上で「イスラエルは死者52人で、14人が(武装勢力と関係のない)一般市民だったと主張している」「人権団体は、殺された一般市民が20人ほどと指摘している」などと紹介した。
国連はジェニン虐殺疑惑を調べるために調査団を結成したが、イスラエルに拒否されたために現地入りできなかった。このため、イスラエルとパレスチナに情報提供を求めたが、イスラエルは回答しなかったという。
報告書はこのため「利用可能な情報にたよるしかなかった」と釈明しながら、メディアの報道や人権団体の報告などをそのまま列挙した。この中には、報道機関が伝えたイスラエル政府の発表も使われている。
今年4月に起きたジェニン虐殺疑惑については、国際人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が5月に「虐殺の証拠は見つからなかった」「22人が武装勢力と関係のない一般住民だった」という報告を出している。今回の報告書は、同団体の報告より見劣りする、中途半端なものに終わった。(毎日新聞)
[8月2日10時40分更新]