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(回答先: 我々は 投稿者 ひもろぎ 日時 2002 年 7 月 27 日 07:50:32)
ひもろぎさん、こんにちわ。
考えられている趣旨の資料であれば、ゾンバルトの『ユダヤ人と経済生活』(邦訳書:金森誠也監修・訳/安藤勉訳:荒地出版社:6,800円)をお勧めします。
原著は、ナチスドイツという歴史過程以前の1911年に発行されたものですから、以降のような“政治性”はありません。
600頁を超える大著ですが、具体的な記述も多く面白い本です。
ヴェルナー・ゾンバルトはドイツ人で、マックス・ヴェーバーと同時代の経済学者です。
マックス・ヴェーバーは資本主義の精神をプロテスタンティズムに求めましたが、ヴェルナー・ゾンバルトは、資本主義の精神はユダヤ教に由来するところが多いと主張しています。
(『ユダヤ人と経済生活』そのものが、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に触発されて書かれたものです)
個人的な簡単な感想を述べると、マックス・ヴェーバーは産業資本主義の側面に、ヴェルナー・ゾンバルトは金融資本主義の側面に、それぞれ焦点を当てたと思っています。
ヴェルナー・ゾンバルトは、『恋愛と贅沢と資本主義』や『近代資本主義』など優れた論文を書き、ベルリン大学の教授まで務め、1941年に死去しています。
そうでありながら、マックス・ヴェーバーの論文があれほど普及している一方で、ヴェルナー・ゾンバルトの論文は片隅に追いやられています。
そうなった大きな要因は、反ユダヤ主義の支えともなりかねない『ユダヤ人と経済生活』という論文を発行したことだと考えています。
私としては、マックス・ヴェーバーよりもヴェルナー・ゾンバルトのほうが、分析力や総合力で優れていると判断しています。