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【カブール24日=新居益】アフガニスタン暫定政府と米国防総省は24日までに、アフガンのカルザイ大統領の身辺警護を強化する必要があるとして、特殊部隊を含む米兵を直接警護に当たらせることで合意した。軍閥や民族間の対立が大統領の身辺さえ危うくしているとの事情があるとはいえ、自国の治安部隊さえ信用できずに米国部隊に頼らざるをえない事態は、アフガンの政情不安ぶりを如実に示している。カルザイ政権の米国の「傀儡(かいらい)」ぶりを印象づける結果にもなり、国民の間からも反発する声が広がりだした。
国連筋が24日明らかにしたところによると、大統領の警護に当たっていたファヒム副大統領兼国防相に近いタジク人主体の警護隊約70人は既に任務を解かれ、代わりに45人前後の米兵が大統領府に入り、大統領の警護を開始した。米軍はアフガン警護隊を「数か月間」(ラムズフェルド米国防長官)訓練し、警護に必要な能力を身につけさせる予定だ。
カブールでは今月6日、パシュトゥン人のカディール副大統領がカブール市内で白昼暗殺された。事件は依然として未解決で、軍閥や民族間の対立が背景にあると取りざたされ、政権内にも動揺が広がっている。
大統領は民族融和や軍閥解体を最優先課題としてきたが、タジク人勢力からの反発を覚悟の上で、自身の安全を優先させなければならないほど深刻な状況に追い込まれていたようだ。
一方、米国には、親米カルザイ政権を支えることが、反テロ戦争の遂行には必須という事情がある。アフガン最大民族パシュトゥン人の中に傑出したリーダーが存在しない中、仮にカルザイ氏が暗殺されるようなことがあれば、微妙な民族バランスが一挙に崩壊し、混乱に陥りかねないからだ。
ただ、「背に腹は代えられない」(外交筋)状況にあったとはいえ、大統領に不信任を突きつけられた形のタジク人将校の1人は、「タジク人は信用できないということなら、解任された部隊の中には事件を起こす者が出てくる」と早くも警告。別の将校も「大統領に対するタジク人の対立感情を増幅させるのは間違いない」と語り、民族間の不信感が広がりかねない情勢だ。
カブール市内でも、古物商のシャー・アガさん(40)が「大統領はアフガン人のものなのに、なぜ異教徒の米国人が出てくるのだ」と話すように、米国に対する不信感も強まっている。