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「ペイオフ解禁問題に関する一連のマスコミ報道から判断して、マスコミサイドとしては何が何でも、“官邸ｖｓ自民党デフレ対策特命委員会”という構図の中で記事を作りたいようだが、現時点でそれは完全に誤りだ。そもそも、デフレ対策特命委員会が現在検討している『第三次デフレ対策』の中に、“ペイオフ全面解禁の延期要求”が盛り込まれるかどうかについては、現段階ではまだ何も決まっていないのが実情だ−」
デフレ対策特命委員会（相沢英之委員長）の事務局スタッフがこう言ってみせる。
７月２０日付の朝日新聞朝刊が、「ペイオフ解禁延期を要求自民第三次デフレ対策室」とタイトルされた記事を掲載した。
とりあえず、この記事のサワリの部分を以下で紹介しておくことにする。
「自民党デフレ対策特命委員会が検討中の『第三次デフレ対策』の原案が、明らかになった。来春のペイオフ全面解禁の延期を求めるほか、贈与税の住宅取得時の特例措置の拡大、地方の雇用対策事業に対する支援などを盛り込んだ。今月中に正式決定、今秋の臨時国会での法案化を目指す−以下略−」
この記事は、１９日に開かれたデフレ対策特命委員会の定例会合を受けて書かれたものだが、「１９日の時点では、“原案”なるものは全く形になっていなかった、と断言していいだろう。デフレ対策特命委員会の各メンバーから、“原案”のタタキ台となる“私案”の提出を受けていたに過ぎない。朝日の記事は、そうした“私案”の一部を“原案”として書いたものだ」（前述の事務局スタッフ）
デフレ対策特命委員会は今日（７月２３日）、総会を開いてとりあえず“原案”をまとめる方向だ。
少なくとも昨日の段階では、“原案”そのものはまとまっておらず、いくつかの“私案”が事務局（相沢事務所）に上がってきているに過ぎない。
もっとも筆者としては、前述の朝日の記事を揶揄するつもりは毛頭ない。それというのも、これまで日経を含む他の大手日刊紙の報道も似たりよったりだからだ。極めて不思議なことに各社は横一線で、デフレ対策特命委員会を中心とする与党が、９月の臨時国会でペイオフ全面解禁の延期を盛り込んだ預金保険法改正案を、議員立法の形で提出してくると断定口調で報じているのである。
「実は、デフレ対策特命委員会の中でも、ペイオフ完全解禁に踏み切るべきかどうかについて、あるいは議員立法の形で預金保険法改正案を提出すべきかどうかについて、その意見は集約されていないのです。その件に関して結論を出すまでには、もう少し時間がかかりそうです」（前述の事務局スタッフ）
そして筆者が取材したところでは、相沢委員長は決して教条主義的な“ペイオフ延期論者”ではないということだ。
「とはいえ今後、全国の知事や商工会議所サイドから相次いで“ペイオフ解禁延期”の要望が出て来ることが予想される。もうすでにその予兆が出てきているのが実情だ。そうした“要望”受けて、党−つまりデフレ対策特命委員会としてどのように動くかは、今後の重要テーマだろう」（前述の事務局スタッフ）
いずれにしても、ペイオフ延期問題に関してこのデフレ対策特命委員会の動きには要注意だろう。
当コラムとしても、継続的にその動向をウオッチしていくつもりだ。

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