現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
大量破壊兵器廃棄をめぐる査察再開に向けた国連とイラクの協議が失敗した今月初め以降、イラクのフセイン政権転覆を目指す動きが相次いで表面化している。これに対し、イラクが戦争準備を進めているとの情報も目立ち始めた。「フセイン大統領は戦争回避は困難と感じ始めている」(アラブ外交筋)との見方も出ており、イラク情勢は今後、ますますきな臭さを増しそうだ。
「増大する危険を無視すれば、逆に危険を招く。必要ならば武力を行使する」。ブッシュ米大統領は19日、米ニューヨーク州の陸軍基地で演説し、イラク攻撃をも視野に入れ、先制攻撃を辞さない方針を改めて明らかにした。
これに先立ち、米国務省はイラク人法律専門家を集めたセミナーを開催。その目的はフセイン政権高官らを戦争犯罪などで裁くための意見交換とされ、米国が具体的に「ポスト・フセイン」を見越した政策に乗り出したものとみられている。
これと軌を一にするように、イラク反体制派の動きも活発化。元イラク軍幹部らで作る「イラク国民連合」が呼びかけ、12日から3日間、ロンドンでフセイン政権打倒を目指す会議が開かれ、元軍人15人で構成する「軍事評議会」が発足し、イラク軍内部の反体制分子との連携を強めることなどを決めた。
また、イランを拠点にしたイラク・シーア派反体制組織「イラク・イスラム革命最高評議会」指導者のアルハキム師は20日、ロイター通信に対し、「国際社会が支援し、フセイン大統領による大量破壊兵器使用を防ぐことができれば、イラク人はフセイン政権を打倒できるはずだ」と力説。その上で、イラク北部のクルド人反体制組織と常に連絡を取り合っていると述べ、フセイン後のイラクの将来像をめぐる動きが活発化していることを確認した。
ロンドンでの会議初日、米政府代表がオブザーバーとして出席するなどしており、イラク反体制派が米国の”後ろ盾”に刺激を受けていることは確かだ。
こうした中、エジプトの政府系英字紙「エジプシャン・メイル」は、最近、フセイン体制内部で変化が顕著になっていると報じた。同紙は「フセイン大統領が最近、新たな隠れ家として極秘の住居を建設した」「米国による盗聴を警戒し、大統領は幹部と連絡をとる場合も、電話を使わず、もっぱら、手紙か直接の面談で行われる」などと伝えた。このほか、自爆攻撃の訓練を活発化させているとの情報もある。
イラクは厳しい情報統制下にあるだけに、これらの情報を確認する術はない。だが、イラク政府系紙は今月初旬、フセイン大統領が「我々はもはや、米国との関係改善模索を目指すいかなる代表団や仲介者も歓迎しない。そうした時代は終わった。彼らは戦争がしたいのだ」と発言したと報じている。米軍は年明け早々にも20万人の兵士を動員したイラク攻撃を計画中と伝えられるだけに、フセイン大統領が着々と戦時態勢を整えていることは疑いなさそうだ。
【カイロ小倉孝保】