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【ワシントン20日=林路郎】
ブッシュ米政権が早ければ年明けにも、イラクのフセイン体制転覆に向けた軍事行動を起こすとの観測が米軍事筋の間で強まってきた。外交、軍事両面での準備が着々と進んでいることが背景にある。一方、米議会はこうした状況に、「政権が独走するのは危険だ」として、政府に対して説明を求める姿勢を強めている。政府としては、対イラク攻撃の準備を進めながら、議会の懐柔という微妙な対応を迫られることになりそうだ。
ブッシュ大統領は19日、ニューヨーク州の陸軍基地で演説し、「可能なら外交手段を使うが、必要なら武力を行使する」と明言し、先制攻撃を辞さない強硬姿勢を改めて示した。国務省のバウチャー報道官も同日、「大統領は(イラクのサダム・フセイン大統領を排除する)選択肢についてはまだ決めていない」と述べ、「大統領は何も決めていない」とのこれまでの公式見解を一歩進めて見せた。
こうした中で、軍事筋の間では「早ければ年明けか春にも攻撃」との観測が強まっている。
その根拠は三つで、まず、イラク攻撃の際に米軍にとって重要な出撃基地となるトルコから、攻撃に反対しないとの感触を得ていること。16日のチャクマコール国防相らとの会談で、ウォルフォウィッツ国防副長官は、総額40億ドル以上に達するトルコの対米債務の軽減や、同国内のクルド人の分離独立運動を刺激しかねないイラク北部へのクルド人国家樹立を米国が支持しないことを条件に暗黙の了解を得たと伝えられており、攻撃を決定づける要因となる可能性がある。
また、アフガニスタンでの軍事作戦で量的不足が生じていた滑空型精密誘導弾「J―DAM」や、対戦車ミサイル「ヘルファイアー」の在庫が年明けには十分な水準に回復し、アフガン作戦で疲弊した空母の整備も年明けには終わるなど、兵器面の準備が整うことがある。
さらに、天候の面でも暑さが厳しくない年明けから春にかけてが攻撃には最適ということも指摘されている。
こうした状況に懸念を強めている連邦議会は、11月の中間選挙を前に、ブッシュ政権との違いを際立たせたい思惑もあり、民主党が主導権を握る上院は週明けにも公聴会を開き、政府高官から対イラク戦に向けた政権の真意を聞き出す構えだ。
政権側は「証人を送るかどうかは未定」とけん制しているが、上院は「軍事行動がイラク問題解決の最良の手段なのかどうかを精査することは重要だ」(カール・レビン軍事委員長)として譲る姿勢を見せていない。
(7月21日02:06)