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http://www.mri.co.jp/TODAY/KASADA/2002/0715KN.html
ブッシュ政権の落とし穴 −経済問題の呪縛?日米関係に変化も−
コメンテータ
ワシントン駐在員事務所 所長 笠田伸樹
9.11以降、対テロ戦争への勝利を錦の御旗にホームランド・セキュリティ(国土安全保障)を唱え、国民から圧等的な支持を得てきたブッシュ政権の足元に影が忍び寄って来ている。
核兵器を巡る印パの対立、イスラエル・パレスチナ問題も大きな不安材料には違いないが、最大の懸念は、エンロン、アンダーセン、グローバルクロッシング、タイコ、クエストコミュニケーションズ、そして先日38億ドルもの利益水増し操作が発覚したワールドコム等、次々に発覚する米国を代表する企業の会計操作の影響が米国経済の回復に水を差す恐れが出てきたことである。
勿論、いくつかの最新世論調査を見ても未だ国民の7割がブッシュ大統領を支持しており、支持率から判断する限り、11月の中間選挙、そして2004年の大統領再選に向けて磐石な状況に見えるが、その支持にも微妙な変化が出てきている。
無党派の研究機関がおこなった世論調査で、経済に関して「ブッシュ大統領ができることを全てやっている。」と答えた国民は1/3に過ぎないという結果が先日発表された。
つい最近まで、中間選挙に向けて有権者の関心を引くブッシュ政権、共和党との争点を探しあぐねていた民主党は、ここに来てブッシュ政権の経済政策への批判を全面に出して選挙戦に臨む構えである。
米議会の現有議席は、上院が民主党50(内改選対象14)、共和党49(20)、下院は共和党222、民主党221(全議席改選対象)でかなり拮抗している。
今後財政赤字、貿易赤字の拡大、ドル・株価の下落、ヘルスケアコストの上昇等が続き、企業業績の悪化、経済成長の減速により国民生活に影響を及ぼす恐れが出てくるようであれば、中間選挙の波乱要因となるのは間違いない。
古典経済学にもあるように大砲とバターの関係はトレードオフであり、これまでテロ対策(大砲)だけに注力していれば良かったブッシュ政権が、経済(バター)にも配慮しなけれならなくなった時、どのような舵取り取りをおこなうかが注目される。
再選を狙うブッシュ大統領にとっては、「いつか来た道」(湾岸戦争直後に90%の支持率を得ながら、経済問題で有効策を打ち出せずに再選に失敗した父親、ブッシュ元大統領)を辿ることだけは何としても避けなければならないからである。
また、米国経済の動向次第では、ブッシュ政権の対日政策も、これまでのような日米両首脳の信頼関係にもとづいた静観スタイルから軌道修正がおこなわれるかもしれない。
最近、米国でも日本の構造改革に対する期待は影を潜め、半ば諦めの心境に変わってきているように見受けられる。6月21日付のワシントンポスト紙では、小泉首相を日本のゴルバチョフにたとえ、構造改革は失敗したとかなり厳しい、辛辣な見方も伝えている。