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イラン原発でせめぎ合い 反テロ協調の裏で米露 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 7 月 17 日 23:23:57:

07/17 17:37 イラン原発でせめぎ合い 反テロ協調の裏で米ロ  外信46
共同
 ロシアのイランへの原発建設協力が、米ロ関係の最大の争点に浮
上してきた。「悪の枢軸」の核兵器開発につながると批判を強める
ブッシュ米政権と、これに反論するロシア。双方の主張は真っ向か
ら対立したままで、米中枢同時テロを契機に始まった「反テロ協調
」の裏側でのせめぎ合いは、激しさを増している。       
 「ブシェール原発の建設が止まったのではないか」。五月二十四
日にモスクワで行われた米ロ首脳会談からしばらくして、ロシアの
消息筋の間にこんなうわさが流れた。             
 ブシェール原発はロシアの全面協力で建設中のイラン初の原発。
ロシア政府高官は「建設は順調」とうわさを全面否定するが、米ロ
新時代の到来をうたった首脳会談後の記者会見で、唯一批判の応酬
となったこの問題の行方は注目を集める。           
 米中央情報局(CIA)はロシアがブシェール原発の建設に協力
することで、イランの核兵器研究開発が進展すると指摘。特に兵器
級のウラン濃縮を可能にする原子蒸気レーザー同位体分離(AVL
IS)関連装置の供与の可能性などに、重大な懸念を示している。
テロ組織が入手を狙っているとされる放射性物質入りの「汚い爆弾
」の生産にもつながりかねない。               
 一方のロシアは、イランが国際原子力機関(IAEA)の査察を
受け入れ、すべての国際法を順守していると強調。米朝合意に基づ
く朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への軽水炉供与、米国が黙認
する台湾のミサイル計画などを例にとり、大量破壊兵器・ミサイル
拡散問題では、米国こそがダブルスタンダード(二重基準)だと反
論する。                          
 ロシアがイランの原発支援にこだわるのは、巨額の外貨収入が期
待できる原発建設協力の「旗艦事業」だからだ。ブシェール原発1
号機の契約額は約八億ドル。2号機や新規立地原発でも追加契約が
期待でき、成功すれば原発建設を計画する他国にロシアの実績をア
ピールできる。                       
 またイランとの関係を絶った場合、通常兵器の有望な売却先が失
われる。国内的にもこの問題で米国に明らかな譲歩をすれば、欧米
協調批判派を勢いづかせる危険性がある。           
 ロシアのルミャンツェフ原子力相は「圧力は常にかけられている
。米国は徹底している」とこぼす。米国との協議は「ゴールまでは
まだ遠い」と語る。                     
 現在、米ロの核専門家の間でささやかれているのは、外国の使用
済み核燃料を輸入、再処理して二百億ドルの収入を見込むロシアの
核ビジネスを米国が支援する代わりに、ロシアがイランとの協力を
制限するという取引の可能性だ。               
 世界の核燃料の九割は米国が原産。国際法上、核燃料の搬送には
原産国の承認が必要で、米国の同意が「のどから手が出るほど」(
関係筋)欲しいプーチン政権が、米国と「核カード」を交換すると
の見方だ。                         
 ロシアの軍事評論家フェリゲンガウエル氏は「米国はブシェール
建設を絶対許さず、物理的な破壊も辞さない考えだ」として、条件
次第でロシアが方針転換する可能性を指摘している。(モスクワ共
同=有田司)                        
(了)  020717 1736              
[2002-07-17-17:37]
07/17 18:09 中東の「核の連鎖」に懸念 決め手欠く拡散防止策  外信51

 米国がロシアによるイランの原発建設協力に神経をとがらせる背
景には、中東の広い地域で核兵器開発疑惑が絶えず、核保有の「連
鎖反応」が懸念されるためだ。「悪の枢軸」として危険視するイラ
ンとイラクの核武装は米国にとって悪夢に等しいが、泥沼化するパ
レスチナ情勢など不安定要素が増える中、有効な核拡散防止策は打
ち出せない。                        
 フセイン大統領が君臨するイラクの核疑惑が注目を集めたのは一
九八一年六月。フランスの支援を得たイラク中部オシラクの原子炉
をイスラエル軍機が突然、空爆し破壊した。          
 イラクの核開発計画は、湾岸戦争(九一年)で米軍を中心とした
多国籍軍の攻撃で壊滅的打撃を受けたとされるが、米国は将来的な
核武装の危険を指摘、国際社会も大量破壊兵器の査察を要求。ブッ
シュ米政権は「査察は終了した」として拒否するイラクに対する本
格攻撃を検討中だ。                     
 一方イスラエルによる核兵器保有は公然の秘密で、核弾頭は推定
で百―二百発。イスラエル政府は「中東で核兵器を使用する最初の
国にはならない」と述べ、報復的な核使用をちらつかせている。 
 中東各国にはイスラエルの疑惑は放置したままイラクやイランの
核開発を力ずくで阻止する米国の「二重基準」への不満が強い。九
八年にパキスタンが核実験に踏み切った際には、「イスラム教徒に
よる最初の核兵器保有」(イラン)などと歓迎する声が出た。  
 また反米で知られるカダフィ大佐のリビアは、当時の西ドイツか
らプルトニウムを入手した疑惑が浮上した過去を持つ。     
 米中枢同時テロに続くアフガニスタン攻撃や、現在のパレスチナ
情勢に刺激を受けたイスラム原理主義組織が、ずさんな管理下にあ
る旧ソ連の核物質に触手を伸ばす危険性もあり、核拡散の可能性は
多様化している。                      
 「中東非核地域」構想を唱えるアラブ穏健派のエジプトですら、
ドイツ紙に最近「中国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の協力
で核開発に乗り出した」と報道されるなど、中東の核疑惑の根深さ
を見せつけている。(共同=半沢隆実)            
(了)  020717 1808              
[2002-07-17-18:09]
07/17 17:29 ブシェール原発とは  外信47

 ブシェール原発 ロシアの協力でペルシャ湾岸に建設中のイラン
初の原子力発電所。出力百万キロワットの軽水炉。1970年代、
ドイツ企業が建設を始めたが、イラン・イラク戦争(80―88年
)で破壊され、核技術の拡散を危ぐする米国の圧力もあり事業継続
をいったん断念。その後ロシアが建設引き継ぎの交渉を開始、95
年にイランとロシアは1号機の建設契約を正式に結んだ。04年に
稼働開始予定で、2号機の建設も計画されている。(モスクワ共同
)                             
(了)  020717 1728              
[2002-07-17-17:29]

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