現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
【ワシントン10日金井辰樹】
十一月の中間選挙を控え、共和党がユダヤ系票に露骨なまでの急接近を進めている。ユダヤ系は伝統的に民主党支持が圧倒的だったが、共和党はブッシュ政権がイスラエル寄りの政策をとっているのを利用し、切り崩しを進め中間選挙を有利に進めようともくろんでいる。
アラファト自治政府議長の交代を明確に求めたブッシュ大統領の新中東和平構想は、米国に住むユダヤ系住民を狂喜させた。構想発表直後の先月二十四日夕、ライス大統領補佐官はユダヤ系米国人有力者三十人との会合に出席したが、会合は祝勝会のような盛り上がりだったという。出席者の一人は「今、大統領選があればブッシュ氏は史上最もユダヤ票を勝ち取る共和党候補になる」と上気した表情で語った。
共和党のユダヤ系へのすり寄りが顕著になったのは五月、下院でイスラエルを支持する決議案が採択された時だ。同決議に賛成票を投じなかった五十人のうち四十四人は民主党。共和党は六人だけだった。
この問題は、民主党内の複雑な党内事情も内包している。同党は、ユダヤ系だけでなく、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系など他のマイノリティー(少数派)住民の支持を受ける。非ユダヤ系のマイノリティー市民にとっては、ユダヤ系だけに肩入れすることは面白くない。これが遠因となって、同党のアフリカ系議員らが、決議案に反対票を投じたのだ。
危機感を持った民主党のダシュル上院院内総務ら指導部はユダヤ系票の流出防止策の協議を開始。ユダヤ系団体の指導者らと“手打ち式”を行うことなどを検討しているという。秋の選挙に向けて両党によるユダヤ系票争奪戦は一層激しさを増すことになる。このままでは米国の中東政策そのものが、選挙目的の政争の具になりかねない。