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【ロンドン9日=渡辺覚】
英政府は8日、英防衛大手BAEシステムズ社に対し、同社が製造した戦闘機の装備品を、米国経由でイスラエル軍へ「間接輸出」することを認める決定を下した。ブレア政権が公約した武器禁輸基準の厳守に反するもので、対米関係を重視した結果、武器禁輸の原則を曲げたブレア政権に対して、与野党から批判の声が上がっている。
英国からイスラエルへの間接輸出が認められたのは、BAEシステムズ社が製造した戦闘機航行・照準装置。同装置は、米ロッキード・マーチン社のF16戦闘機に搭載され、米国経由で来年、イスラエル軍に納入される。
今回の許可をめぐってストロー外相は8日、英BBC放送などに対し、「F16戦闘機への英国製装備の搭載を妨害することは、米国と英国の防衛関係に、深刻な影を落とすことになる」と述べ、対米関係を重視する英政府の立場を主要な理由としてあげた。
重ねてストロー外相は、各国の防衛産業が多国籍企業に生まれ変わり、国際間の取引が日常になっている事実を指摘し、「英国が、軍需品の輸出に関与しなければ世界の平和が維持できるわけではない」と弁明。英首相府の報道官も、防衛産業界の現実に照らし、英国の武器輸出規制を見直す必要がある――との見解を表明した。
これに対し、与野党からは「米国追従の武器輸出は、国際社会の強い反発を買う」(与党・労働党議員)、「対イスラエル武器輸出は、中東和平の努力を無にするものだ」(野党・自民党議員)など、強い反発が巻き起こっている。
英国は1982年、当時のサッチャー政権が、イスラエルのレバノン侵攻を受けて対イスラエル武器禁輸を実施。97年発足のブレア政権は、「侵略や抑圧に英国製の武器を用いることは認めない」とする間接輸出も含む武器禁輸基準を掲げ、事実上、イスラエル向けの武器輸出を禁じていた。
(7月9日23:37)