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防衛庁「中国ミサイル発射」の誤報 ミサイル防衛に思惑も
30日のW杯決勝戦中に政府内を駆けめぐった「中国が日本近海に向け弾道ミサイルを発射した」との情報は誤りだったと防衛庁が1日、正式に認めた。米軍の早期警戒衛星による誤報は、昨年11月にもあった。防衛庁がさぞかし頭を抱えているのかと思えば、一連の誤報騒ぎをミサイル防衛(MD)計画の追い風にしたいとの思いもある。
●相次ぐ誤報
防衛庁の伊藤康成事務次官は1日の定例記者会見で事実経過を明らかにした。「米軍からの早期警戒情報として、ミサイルが発射されて我が国の近海に落下が予想されるとの情報を得た。(その後)米軍から当該情報は誤りであったという訂正の連絡があった」
関係者によると、早期警戒情報は30日午後7時40分ごろ、赤道上に浮かぶ米軍の静止衛星から防衛庁中央指揮所に送られ、首相官邸や外務省などにも転送された。米軍から訂正が入ったのは、同午後10時近くになってからだった。
防衛庁は地上レーダーやP3C哨戒機などでミサイルの飛来状況や落下した形跡などを調べたが、確認できなかったという。関係者は「米軍のシステムの誤作動」「中国の誤発射」などという見方をとっている。
同じような「事件」は昨年11月にもあった。実際は韓国が短距離ミサイルの発射実験を行ったのだが、米軍の早期警戒情報が寄せられたことから日本側が、朝鮮人民民主主義共和国(北朝鮮)のテポドンではないかと疑ったのだ。
98年のテポドン発射のときも早期警戒情報が寄せられたが、その後、日本側の分析により着弾地点が変更されたという。
●MD推進の思い
こうした誤報が、日米が「共同研究」を進めているMDにどう影響するかという点では、防衛庁内で見方が分かれる。
防衛庁には「もともと弾道ミサイルの軌道予測は難しい。1回目からそう簡単には(迎撃)はできない」という声が支配的だが、世論が米軍の技術そのものに不信を持つのではないかと懸念する向きも少なくない。
一方で、「ミサイルが日本に向けて飛んできたとしても、迎撃などの防御ができるわけではないというのが現状」(幹部)なのだから、誤報とはいえ、国民が危機感を持ってくれれば、MD推進に役立つという見方だ。
MDについては、「憲法解釈上禁じられている集団的自衛権の行使にあたる恐れがある」という慎重論が国内には少なくない。ただ近く米側が、「研究」から「開発」への移行を求めてくることは必至で、ある幹部は「誤報騒ぎを積極参加に向けた国内世論形成の一里塚にしたい」と話す。