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印パ:核戦争はあるか 専門家「現実性なし」[毎日新聞6月9日] ( 2002-06-09-00:32 ) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 09 日 15:22:32:

(回答先: 対パキスタン緊張緩和措置、インド数日内に発表か〔読売新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 09 日 15:16:39)

軍事的に緊迫するインドとパキスタンをアーミテージ米国務副長官が6〜7日に訪問、双方から「先に戦争を仕掛けない」との確約を引き出した。これにより、今回の対立も緩和に向かうとの観測が強まっている。だが、当事者である印パ両国の専門家の分析は当初から冷静で、そもそも核戦争はあり得ないとの見方が大勢だ。それでもなお米政府が調停に乗り出したのは、「テロとの戦争」を掲げた新たな国際秩序維持のために、不安定要因となる当面の「火種」を摘み取るというもう一つの判断があったためとみられる。【ニューデリー井田純、イスラマバード春日孝之、ワシントン中島哲夫】
米国が先月末、外交官を除くすべての米国人にインドからの国外退去を勧告して以来、外国人の脱出の動きが加速している。日本政府も7日、インド在留邦人保護のため民間チャーター機を現地に派遣すると発表した。
印パ両国の専門家は、カシミールを舞台にした限定紛争の可能性は否定しない。しかし全面戦争や核戦争の危機を指摘する声は両国ともに極めて限られている。
インド国家安全保障理事会の元委員、バラト・カルナド政策調査センター教授は、核戦争の可能性について「あらゆる点からみてあり得ない」と断言する。同教授は、インドの核先制不使用を定めた「核ドクトリン」起草委員の一人である。
教授によると、99年のカルギル紛争(カシミールでの大規模武力衝突)を含め、過去3回の印パ戦争はいずれも限定的で抑制されていた。戦車対戦車、砲撃対砲撃だけの戦争で、互いの都市を爆撃することもなかった。
「両国は、他国の人には理解が及ばないほど有機的に強く結びついている。パキスタン政府高官のほとんどはインドに家族や親類がいる。ムシャラフ・パキスタン大統領自身がデリー出身だ。兄弟同士で殴り合いはしても、その存在を抹殺するようなことはしない」と教授は強調する。
パキスタン・カイデアズム大学地域研究所のラスール・ライス所長(南アジア専攻)も「核戦争の可能性は限りなくゼロに近い」との立場だ。「両国は長い国境線を共有する。核の使用は、報復核攻撃を受けずとも自らの破滅につながることを指導層は十分に認識している」と指摘する。
印パ首脳は「核使用の選択肢もあり得る」と、しばしば発言するが、印パ核実験(98年)実施当時、パキスタン外相を務めたアユブ・カーン氏は「核カードは(カシミール問題などで)それぞれが一定の目標を達するために相手への圧力に使うだけで、ミサイル実験を含め戦略的なゲームの一環だ。実際に使うことはあり得ない」と語る。
実際に、両国は分離独立以来、核兵器や通常兵器の使用よりも効果的な政治戦術を駆使してきた。先のカルナド教授は「パキスタン各地に火種が残る分離独立・民族運動を刺激し、インドの政権に揺さぶりを掛けるという手段がある」と指摘。パキスタンがカシミールで採用しているのも、まさにこうした戦術だ。
このため、米国や英国が自国民に退去を促しているのは「印パに圧力を強めるための外交的メッセージ」(カルナド教授)と当事国内では受け止められている。
今回の調停は、先乗りしたアーミテージ国務副長官が両国訪問の結果をラムズフェルド国防長官に報告、その上で同長官が現地入りするという二段構え。「外交当局のナンバー2」から「国防のトップ」へのリレーは、紛争の本質であるカシミール問題への政治的取り組みはさておき、目前の危機回避を最優先させたいというブッシュ政権の姿勢を反映している。
カシミールの帰属をめぐる印パ対立は1947年の両国独立以来のものだが、冷戦構造崩壊、核保有問題、「テロとの戦争」などの要素が浮上するたびに、米国にとっては「新たな難題」となってはね返ってきた。
98年の相次ぐ核実験の後、米政府は両国に経済制裁を科してきた。しかし、同時多発テロ(昨年9月)後に始まった「テロとの戦争」で制裁は解除され、両国を取り込んだ米国主導の国際秩序づくりが進んできた。クリントン前政権は経済関係の利害でインド重視に傾いていたが、ブッシュ政権はアフガン攻撃の必要からパキスタンに急接近した。
アメリカン大学のムスタファ・パシャ教授(パキスタン出身)は「米国にとって、経済と中国への対応を考えた場合、明らかにインドが重要だ。しかし、今や国益は複合的、重層的。パキスタンを決して軽視できない」と語る。しかし、深刻化した今回の印パ対立は、世界各地での「テロとの戦争」、とりわけイラク攻撃をにらんだ米国の戦略を阻害する要因になりかねない。
「核戦争の危機」のアピールには、両国を強くけん制し、米国主導の国際秩序の枠を維持しようという意思が込められている。ただ、パシャ教授は、米政府が紛争を深刻に受け止めているのも事実だと指摘する。
「いったん戦争が起きれば、予測できない事態に発展する可能性を否定できない。特に危険なのは、双方が核の惨禍を知らないことだ。日本とは事情が違う」。パシャ教授はその不確実性を米政府が恐れているとみる。
米国の調停などで当面の危機が回避されたとしても、カシミール問題は解決しない。核保有国がにらみ合う構図の危うさは、残り続ける。
1947年に印パ両国が英国から独立するまで、カシミールは英国の下で藩王が直接統治する地域だった。住民の多くはイスラム教徒であるため、パキスタンへの帰属を望んだが、ヒンズー教徒の藩王はインドへの帰属を表明。これを機に47年に第1次印パ戦争がぼっ発した。
49年1月、国連決議で停戦が実現し、3分の2をインド(ジャム・カシミール州)、残りをパキスタン(アザド・カシミール地方)が支配する現在の形が固まったが、印パ間の全面戦争は第2次(65年)、第3次(71年)と続いた。
ヒンズー教徒が多数派のインドにとって、カシミール地方は、多民族、多宗教共存の世俗国家としての象徴的存在。パキスタンにとっては、イスラム教国として独立した国家の存在意義にかかわる地域になっている。【西尾英之】

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