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【エルサレム6日=当間敏雄】
ヨルダン川西岸の中心都市ラマッラに6日未明に再侵攻したイスラエル軍は、アラファト議長のいる自治政府議長府に突入して一時制圧した後、同日朝には撤退した。テロを放置した議長に対する最大限の警告の意味を込めた懲罰的な限定作戦であるとともに、米国などの和平再生への動きをにらみ、「治安問題」では一切妥協しないとの強いメッセージを内外に示す狙いがあったと見られる。
パレスチナ治安当局筋によると、午前2時過ぎに始まった再侵攻には戦車、装甲車、特殊ブルドーザーなど計50両以上が動員された。議長府の外壁を爆破して突入路を開き、戦車やブルドーザーが敷地内部に侵入して制圧、治安施設2か所を爆破するなど計6施設を破壊した。
アブルデイナ議長顧問は攻撃で少なくとも自治政府の情報将校1人が死亡、30人が負傷したと語った。議長自身は無事で、軍部隊撤退後、民衆に「Vサイン」を示しながらイスラエル軍の作戦を「ファシズム」と非難した。
シャロン首相は、3月末から1か月半にわたって西岸全域で実施した大規模作戦の終了後、特定の過激派摘発を目的とした短期的な侵攻にとどめ、大規模な報復作戦を控えてきた。米国の強力な介入を受けて先月初め、議長の監禁を解いた後も、議長が過激派解体に動かなかったばかりか、自治政府改革に絡んだ内閣改造で自爆テロを行ってきたハマスなどに入閣を要請。ハマスなどは断ったが、「統一パレスチナ指導部」への参加を改めて呼びかけるなど正反対の方向に進み、先月下旬からは議長の傘下にあるパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの系列組織「アルアクサ殉教者旅団」が自爆テロを続発させた。
ブッシュ大統領は7日夕から8日にかけ、キャンプデービッドでムバラク・エジプト大統領と、10日にはシャロン首相と会談し、パレスチナ国家創設に向けた中東和平政策に関する基本方針を打ち出す見通しとなっている。しかし、首相にとっては、新たな約束は「テロに褒賞を与える」結果となりかねないとの思いが強く、象徴的な作戦によって、この流れにクギを刺すことを狙ったと見られる。
(6月6日23:26)